表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/47

宣言

その夜、俺は意識を失い、ふと気がつくと、またしても牢屋の中で目覚めた。

 臭い。固いベッド。閉じ込められているという不安がじわじわと押し寄せてくる。なぜ、俺はここにいる?


 すると、ルナウドが俺のそばに歩み寄ってきた。

「ルーネは、もう少しで殺される。お前はそれを見ているがいい」


 一瞬、その言葉に違和感を覚えた。ルナウドらしくない……そう思い、俺は手を顔にかざす。すると現れたのは、ルナウドではなく、ヴィルだった。


「ヴィル、お前……生きていたのか?」

「おー、そんなこともあったね。これって、神々が暇を持て余してやってる遊びの一つなんだよねー?」と、ヴィルは呑気に言った。


「なに言ってるんだよ! 人が死ぬんだぞ?」

 俺は苛立ちながら声を荒げる。


「えー、俺には関係ないし」

 ヴィルは耳をほじりながら、まるで何も気にしていないかのように答える。


「ここから出してくれよ、ヴィル?」

「いやいや、それだとさ、シナリオがずれちゃうからさ」


 俺の怒りのボルテージは一気に上がった。手錠がはめられていて思うように動けない。足枷も重い。鉄格子越しに見えるヴィルのふてぶてしい表情に苛立ちが募る。


「わかった。今からお前をぶん殴るから、そこにいろ!」


「へっ? どうやって? 手錠も足枷もついてるし、鉄格子まであるんだぜ? やってみなよ、弱者」


 俺は静かに呟いた。

「罠解除」


 ガチャリと手錠と足枷が外れる。


「――もう一度」


「罠解除」


 次に鉄格子が開いた。ヴィルは一瞬青ざめ、ルナウドの姿に戻って逃げ出そうとするが、もう遅い。


「身体強化」


 俺は一瞬で追いつき、ルナウド(ヴィル)のイケメンフェイスに向かって拳を突き出した。

「あの時は楽しかったぜ、ヴィル。あと、これは返しとくからなぁ!」


「ぐっはあぁぁぁ!!!」


 ヴィルは宙を回転しながら吹っ飛び、床に激突する。

 俺は肩を回しながら、軽く息を整え、城の中を歩き出した。


「さあ、ルーネを助けに行くか」


そう言いながら通路に出ると、兵士たちがゾロゾロと集まってきた。数は多いが、俺には問題ない。


「スキル: 武器生成 金属バット」


俺の手には、驚きのマークのような形状をした日本製の金属バットが現れた。しっかりとしたグリップで握りやすく、まるでホームランを狙うかのように構える。兵士たちはその光景に戸惑いを見せる。


「さあ、行くぞ。ホームラン宣言だ」

俺は笑みを浮かべながら、兵士たちに突っ込んでいった。


バットを振りかざし、最前線の兵士に一撃。金属音が響き渡り、兵士が宙を舞った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ