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第7話 向こう側の未来
オアシスの広場。そこには凄惨の二文字で片付けるのすら憚られる光景が広がっていた。
フードで隠した少年の素顔に瓜二つの可憐な少女は磔にされ、口から赤い液体を流し息の根を止めていた。
慣れた光景。明日は我が身と少年は自己に暗示する。
同胞を見てもそう、自分に言い聞かせるのに使う程、殺戮とは少年にとって当たり前であり、同胞の命も軽いものであった。
少年は石や木が飛び交う刑場の端に向かい罪状が書かれた立て札を読む。
『この悪女は何処からか迷いこんだ”龍の民”だ。よって処刑に処す。これにより我々人の尊厳は守られ、我々の灌漑計画も守られることとなる。祝いの時だ』
「おいガキ!それ読んだなら早く退けよ!読めねえじゃねえか!」
立て札を読んでいると後ろから怒号を浴びせられる。
それを聞いて横にそれた少年は、一旦オアシスの外に出る。
同胞の死では動かなかった少年は、立て札のある一言で動かされたのだ。