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第6話 碧眼の灯火
少年は喧騒の中を進む。
少年は、背中にしょった荷物の一つの木材の欠片を使い、ある情報を手にしたのだ。
どうやらここに住まう同胞が、今日死にゆくのだという。
しかし同胞が死ぬのにもかかわらず、少年の心は特に沈むことはない。
なぜならそれはあまりにもありふれた事象だからである。
少年達は生きているだけで忌避されるべき存在なのだ。生まれれば殺され、見つかれば殺される。
現に少年がわざわざこんなに人のいる場所に足を運んだ理由も食料と水分の節約にほかならない。
死ぬべき運命にある少年は、今日も必死に生きる。