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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第89話 これからは共に

 エルフの里アルセイユ。エルフたちは植樹した、幹の太く大きな木の小さい枝に家を建て暮らしていた。飼育されていた動物は地上で放し飼いにされていた。また、里の周囲は魔法の結界により覆われ、行き来はレイたちがくぐった転送トンネルのみで、動物たちがにげだすことも他のレインデビルズが侵入することもできない。

 里の中心にあるひときわ大きな大樹の前にレイたちはやってきた。大樹の上にある緑の屋根の二階建ての家が建っていた。

 

「では、我が家へお越しください」


 手で家を指して微笑むアオーナだった。大樹の上にあるのは彼女の家だ。杏はアオーナに笑顔でうなずく。


「わかりました。大神さんはパワードスーツを外して私と一緒に来て」

「はっ!」


 大神に一緒に来るように指示をだした杏は振り向く。


「愛生さんとお兄ちゃんたちはここに居て…… あっあと…… 通信も開いてて会話を聞いてて」

「えっ!? あぁ。わかったよ」


 三人を残して大神と杏はアオーナの元へ。アオーナが手を空にかざすと地面が青く光り丸い光の板がせりあがってく。あっという間に杏たちはアオーナの家へ運ばれていった。

 アオーナの家に入った杏たち、中は人間のものとほとんど変わらなかった。テーブルとソファがある客間へと通された二人。ソファに座ると向かいの椅子にアオーナが座った。


「血の盟約って…… これですよね」


 タブレットをテーブルの上に置いて画面をアオーナに見せる杏だった。画面には文字がびっしりと書かれた、開かれた古い巻物の画像が表示されていた。画面を見たアオーナは笑顔でうなずく。


「はい。これです。エルフと人間とドワーフとケンタウロスによる血の盟約です」

「やっぱり……」


 アオーナの答えを聞いた杏は真顔で小刻みにうなずいた。隣に座る大神はひどく驚いた顔をする。


「山神博士? 血の盟約とは一体なんですか?」

「えっとね。詳しくは調査中だけど…… 同盟みたいなものよ。危機には互いに協力をしあう的な……」


 平然とレインデビルズと人間が同盟を結んでいたと答える杏だった。


「どうしてそんなことを黙って……」

「しょうがないでしょ。私だって知ったのは二年くらい前だしこの巻物が本物かの精査中だったんだから! だいたいみんなが悪いのよ。書類の精査より兵器開発を優先しろって言うんだから!!」


 腕を組んで口を尖らせて不満そうにそっぽを向く杏だった。杏の態度に頭を押さえる大神だった。二人の様子をアオーナはきょとんとした顔を見つめていた。


「とっといてよかった。平安時代のただの古文書じゃなかったんだ……」

「平安時代…… えっ!? ちっ血の盟約って平安時代からあるんですか?」

「うん。そうみたいね」


 納得したよう顔をする杏の横で大神がひどく慌てた顔をする。

 

「そんなバカな…… レインデビルズは出現してから二十年も経ってないはずでは……」


 少し混乱した様子で杏に尋ねる大神だった。レインデビルズと魔の巣は、今から十八年ほど前にその存在初めて確認されたはずなのだ。

 大神の態度を見ながら杏はタブレットを操作し、画面に別の巻物を表示させた。彼女は巻物を見ながら大神に話をする。


「うん。ほらここに当時の帝に仕えていた陰陽師の記録もあるし…… それに話は竹藪に現れた絶世の美女が月に帰るって少し変わった形で一般的に知られているみたいだけど」

「えっ!? それって…… 竹取物語…… おとぎ話のかぐや姫ですよね」

「あら。大神さんよく知ってるわね。すごーい」

「もう…… それくらいは一般常識の範囲ですよ」

 

 笑顔で茶化す杏に大神が少し不満げに答える。杏は大神に笑顔のまま話を続けるのだった。杏は大神に淡々と古文書を読み上げていく。

 今から千年ほど前、近くの竹藪の老夫婦の元に美しい美女が舞い降りた。絶世の美女の噂は都まですぐに届き貴族が数多く老夫婦の元へ訪れ姫に求婚をしたという。都の人たちの間でも突如あらわれた美女の噂で盛り上がったという。

 ついにその噂は時の帝へと届いた。美女を都へと迎えるために帝は彼女の元へと出向いた。だが、美女は帝の申し出を断りこうつげた。


「三日後の満月のよる。私は迎えと一緒に祖国へと帰ります。同時に悪霊や鬼が都にあふれます。その時にこれをお使いください」


 美女が両手を天にかざすと帝の前に一振りの太刀と弓矢が現れた。帝は申し出を拒否し老夫婦の屋敷を強者(つわもの)たちで囲み鬼の討伐と美女が帰るのを阻止しようとした

 三日後…… 雨が降り出し満月を不気味な赤紫の雲が満月を隠した。直後に老夫婦の館の前に鬼や大量の悪霊が現れた。強者たちは鬼や悪霊へ攻撃を加えるが矢も刀も通じず。次々と討ち取られていった。ついに鬼や悪霊は帝が守る美女の部屋の前へと迫ってきた。死を覚悟した帝だったが……

 そこへ二人の強者が飛び出してきた。出て来たのは甲冑に身を包んだ強者と華麗な容姿の陰陽師だった。二人は美女が出現させし、太刀を使い鬼や悪霊を蹴散らしたという。戦いが終わり美女の迎えがやってきた。強者たちを失った帝は抵抗せずに美女を送り出したという。

 美女を迎えに来たのは背の低い耳が尖った髭づらのおのこ馬の体を持つ巨人だったという。彼らは馬車にのりおのこが御者台に座り巨人は馬車を守るように横を歩いていた。美女を守った強者と陰陽師に何も書かれていな巻物を渡しこう告げたという。


「ありがとう。私たちは血の盟約で結ばれた……」


 直後に何も書かれていなかった巻物に、見たことのない文字が浮かびあがったという。その後、美女は馬車にのり晴れ上がった満月へと帰っていったという。


「それで…… 鬼や悪霊との戦の際に活躍した強者というのが、温ノ上熱朝(おんのうえあつとも)という人ね。この人の鬼斬蒼光(きざんそうこう)っていう太刀と蒼光弓(そうこうきゅう)って弓はライザー博物館にも展示されていたわ」


 話を終わり満足げな顔をする杏だった。話を聞いていた大神は真顔だった。


「ちなみにこの記録を残して熱朝と一緒に戦った陰陽師、山神雷鳴は私のご先祖さまだからね」


 タブレットを指した得意げな顔をしてい杏がふと顔をあげた。むかいにいるアオーナは頬を赤くして恥ずかしそうに両手で押さえている。


「どうしたの? アオーナさん?」


 アオーナの様子が気になり杏が声をかけた。彼女はうつむいて小さな声で杏に答える。


「いえ…… さきほどから美女とか姫と言われた少し恥ずかしくて……」

「えっ!? まさか…… 平安時代にやってきたエルフってアオーナさんのことなの?」

「コク…… 懐かしいですわ。熱朝様や雷鳴様には本当によくしていだいて…… あぁ。熱朝様の力強い瞳は今でもわたくしを……」

「ははっ…… エルフは長命っていうもんね……」


 古文書に記されていたエルフの美女はアオーナだった。恥ずかしがるアオーナに杏は笑っている。大神は真剣な表情で何かを考えていた。そして…… 大きく目を見開いた大神はある重大なことに気付く。


「山神博士! アオーナさんたちは自国と地球を行き来できるってことですよね?」

「えっ!? あっ…… そうか! あの! どうやって地球から国へ帰ったんですか? そしてなんでまた地球へ?」


 目の前にいるアオーナもレインデビルズなのだ。彼女は一千年前にも地球を訪れ、現代でも地球にいるつまり異世界と地球を行き来していることになる。


「それは…… 導かれるんですよ」

「導かれるって誰が導いてくれるんですか?」

「マナです。我々は使命をもってマナに呼ばれ使命を終えるとマナによって帰されます」

「帰される…… あの! マナってなんですか?」

「これです」


 右手を上に向け杏に差し出すアオーナ。彼女の右手は青く光り出す。


「マナは世界に流れる魔力の源流です」

「魔力…… でもこの光は……」


 呆然とアオーナの右手の光を見つめていた。アオーナは静かに手を下し自らの胸に置き寂しそうな顔をする。


「私たちエルフ族は五年前に再び地球へと召喚されました。すぐに山神様と連絡を取りたかったんですが…… 地球はもう……」


 アオーナはさみしそうにつぶやくと、急に立ち上がり両手を広げ杏に頭を下げた。


「私たちはマナに血の盟約を果たせと呼び出されました。山神様…… エルフの里アルセイユは皆さまへの協力いたします」

「アオーナさん……」


 ほほ笑んだアオーナは杏に右手を差し出した。杏は差し出された手をしっかりとつかむのだった。エルフと人間の協力関係がここに築かれたのだった。今後、人間はエルフと協力しレインデビルズに支配された地球を取り戻す。

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