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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第88話 エルフの里を目指して

 遠征から帰還して数日後…… レイたちはレイルを連れ彼女と出会った森へとやって来た。メンバーはレイと甘菜に大神と杏に愛生の五人だ。黒田と未結は同行していない、二人のパワードスーツは遠征で受けたダメージによりメンテナンス中のためだ。


「こっちよ」

「わかりました。皆こっちだ」


 大神が操る機械犬に乗った杏がタブレットを見ながら皆を先導する。ドローンの横に立つ大神が返事をし後ろを行く皆に杏の指示を伝える。

 並んだ杏と大神の後ろにレイルを抱っこした愛生が居て、最後尾にはレイと甘菜が続く。六人の前に大きな大木が見えて来た。大木は青々と葉が茂り周りの木と比べても背が高く目立っていた。

 タブレットを見ていた杏が顔をあげ、大木の根元を指す。そこは根がせりあがり大きな空洞になっていた。


「レイル! あれがブリテン大樹?」

「うん」


 笑顔でうなずくレイルだった。杏は大きな木を見上げた、彼女の顔が厳しくなり目には涙が浮かんでいく。


「ブリテン大樹…… エルフが植えた木の名前…… このためにいくら犠牲を……」

「博士」

「あっごめん」


 悔しそうにうつむく杏、心配そうに彼女を見つめるレイルの視線に気づき大神が声をかけた。目の前の大木は自然の木ではなく、レイルたちがエルフが植樹したものだった。杏が持っていた言語データでは、植樹という意味のものはなく翻訳が出来なかった。この一言のデータを得るために百五十名の遠征隊が組織され四十名を超える死傷者をだした。

 愛生は抱いていたレイルの顔を覗きんだ。


「あそこがレイルちゃんのお家なの?」

「ううん! くぐるの!」

「くぐる?」

「うん。くぐると里へビューンって行けるの。早く行こう!」

「わかったから暴れないで」


 レイルは愛生に早く行こうとせがむのだった。自分の腕の中で身を乗り出しそうになるレイルを愛生はとなだめる。二人の様子を見た杏が横を向き大神を見た。


「じゃあ行くよ。大神さん」

「はい」


 先を行く大神と杏が大木へ向かう。愛生とレイルは後に続く。


「姉ちゃん。俺たちも行くよ」

「はーい」


 四人の後にレイと甘菜も大木へ向かうのだった。大木に着くとレイルが両手を前に伸ばす。


「どうしたの。レイルちゃん?」

「降ろして!」

「えっ!?」

「愛生さん。大丈夫よ。降ろしてあげて」

「はっはい」


 愛生は膝をついて抱きかかえていたレイルを地面へと降ろした。するとレイルは走って木の根元がせりあがった空洞の前へと向かう。空洞は根が張り出してようになった地面との隙間で、高さ二メートルと幅は三メートルほどでかなり大きい。


「レッレイルちゃん!?」


 空洞の前に立ったレイルの体が青く光り出した。


「ブリターニャ! エルドゴランド!!!」


 両手を前に出したレイルが叫んだ。すると空洞の根と地面にそって青い光の輪が出現した。大木の根元に出来た空洞は青い光により、根に沿って縁どられたようになった。


「青い光の輪…… なるほど」


 杏が根元に出現した光を見て小さくうなずいた。


「ここからお家に行けるよ。愛生! 行こう!」

「えっと……」


 レイルが手を引っ張り行こうと愛生を促す。突然現れた得体の知れない光に驚き愛生は躊躇し視線を杏に向けた。杏は愛生にニコッとほほ笑みうなずく。


「大丈夫よ。これは転送トンネルだから。人体に影響のあるものは検出されてないしね」

「わかりました。じゃあ行きましょう」

「こっちこっち」

「待って走ると転んじゃうわよ」


 愛生はレイルに引っ張られ空洞の中へと入った。空洞に体が触れると二人の体は青く光りそのまま消えて行った。消えた二人を見た杏は横に居る大神へと顔を向けた。


「私たちも行くわよ」

「ちょっと待って下さい。上空で待機している加菜を基地へ帰還させます」

「あぁ。そうか! いつ帰って来られるかわからないもんね。お願い」


 杏たちは加菜が操縦するV428で近くまでやって来た。そのままV428は上空で待機している。レイルの故郷の状況が不明のため、加菜たちをいつまでも待機させるわけにはいかず基地へ一時帰投させる。

 大神が加菜への連絡を終えると二人も空洞へと消えて行った。最後に……


「じゃあ俺たちも行こうか」

「うん。はい!」

「えっ!? 怖いの?」

「いいから!!!」


 甘菜はレイに向かって左手を差し出す。手をつなげという意味だ。レイは左手甘菜の左手を握って少しだけ前を歩き先に青い光で縁どられ真っ暗で何も見えない空洞へと入っていく。

 空洞に入ると向こうにすぐに抜ける。抜けた先は青い空に周囲に山や森が見えるアスファルトの床を持つ場所だった。

 

「ここって……」


 さび付いた廃車が並ぶ光景にレイが声をだす。転送トンネルの先はどこかの駐車場だった。先に到着した杏たちはレイたちの五メートルほど前で立ち止まっていた。レイと甘菜がやって来たのを見た愛生は、レイルの横でしゃがみ彼女に確認する。


「レイルちゃんのおうちってここなの?」

「うん。ここが私の里。アルセイユだよ」


 廃車の並ぶ駐車場の奥に入場ゲートのようなものがあり。ゲートの上には象の看板が向かいあって置かれている。


「レイ君…… ここって…… 象さんがいっぱいいる動物園だった場所だよね。小さい頃に一緒に来て象さんに餌あげたりしたよね」

「あぁ…… 象王国だよな……」


 笑顔で甘菜は看板を見つめレイは信じられないという顔をしていた。この場所はかつて房総半島の中央部にあった象が中心に展示されていた動物園だった。ここがレイルの故郷だという。


「象…… いるよ。いっぱいまだ元気だよ」

「えぇ!? そうなの? 行こう! レイ君!」

「こっこら! 遊びに来たんじゃないだろ」

「そうだ…… ごめんね」


 レイと甘菜の会話を聞いていたレイルが答えた。エルフたちは放棄された動物たちを守って暮らしているようだ。


「レイル!」

「アオーナ様!!!」


 ゲートから一人のエルフが駆けて来た。レイルはエルフに向かって駆けていく。エルフは革のブーツにスリットが太ももツケ根まで入った緑のローブを身にまとった緑髪の女性だった。レイルと同じ尖った耳に長いストレートの髪、目は丸くやや垂れており瞳の色は黄色く輝く美しい女性だった。なお、駆け出したレイルを寂しそうに愛生が見つめていた。

 レイルは女性に抱き着いた。女性はほほ笑み優しく彼女の髪を撫でるのだった。すぐに女性は杏たちの存在に気付く。


「人間…… レイル…… どうして彼らと?」

「あの人たちは悪い人じゃないよ。愛生や杏やみんなにいっーぱい助けてもらったの」

「杏…… ハッ!?」


 女性はレイルの言葉に目を大きく見開いて驚いた顔をする。すぐに穏やかな表情に戻った女性はレイルから手を離した。


「レイル。先に行きなさい。ご両親が心配していますよ」

「えっ!? でもみんなを……」


 レイルは愛生の方を見た。まだ彼女らと別れたくないようだ。愛生はレイルに向かって右手をあげた。


「行って大丈夫よ。私たちはここで少しお話していきますから」

「わかった。勝手に帰っちゃダメだよ!!」


 笑顔でうなずいたレイルは皆に手を振ってゲートの中へと入っていった。女性はレイルを見送ると杏たちの方を向きゆっくりと歩いて来た。愛生の前に止まると女性が口を開く。


「あなたたちにずいぶんなついてますね」

「えぇ。レイルちゃんはとてもいい子でしたからいっぱいお話したんです」

「ふっ」


 得意げに話す愛生に女性は笑った。彼女は自分の右手を胸に置き頭を下げた。


「私はアオーナ。アルセイユの長を務めています。レイルが世話になりました。里を代表してお礼を言わせてほしい」


 顔を上げたアオーナ、機械犬から杏が降りて愛生とアオーナの横に立つ。


「この人は下溝愛生さん。こっちは大神伸一さん。私たちの後ろに居るのは温守冷夜お兄ちゃんと温守甘菜お姉ちゃんだよ。そして…… 私がこの部隊のリーダー山神杏よ」


 杏は右手を出して握手をしようと手を伸ばした。アオーナは彼女の手を掴もうと右手を差し出した。しかし、アオーナの右手が杏に触れた瞬間、彼女は大きく手を引いて目を大きく見開いたまま固まってしまった。杏はアオーナの様子に首をかしげた。

 

「ねぇ!? 握手しよう。確かエルフにも握手の慣習はあるわよね?」

「ははぁ!!!」

「えっ!? なになに!? なんで!?」


 アオーナは杏の前に膝をついて頭を深く下げた。


「血の盟約を結びし同胞。山神様! そなたたちを歓迎する」

「えっ!? 血の盟約って…… 山神様って…… はっ!? そうか! 私が血の盟約を継いでることになるの?」


 自分を指さす杏、笑顔でうなずいたアオーナは立ち上がり振り向いた。ゲートの前にレイルや他のエルフたちが集まっていた。


「皆! 集まれ! 同胞が尋ねて来たぞ!!」


 アオーナは振り返りゲートに居たエルフたちに向かって叫ぶのだった。レイたちはアルセイユの里に迎え入れらられるのだった。

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