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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第78話 一難去って

 ガデルによりゴブリンロードは討たれた。王の居なくなったゴブリンの軍団は統率力を失い崩壊し逃走した。コロッセオ豊洲は一時の平穏を取り戻していた。レイに翔から通信が入った彼はレイに大樹が殉職した経緯の報告を求めていた。


「ふむ…… 大樹がそんなことを…… 証拠や証人は?」


 大樹に起きたことを説明したレイに翔は、それが真実が証明できるものがあるかの確認を行う。翔はレイのことを信頼しているが周囲は違う誰もが納得できるものが必要だった。


「提出したボディカメラの映像に映ってます」

「証言なら私もできます。直接みたわけではないですけど……」


 淡々と答えるレイ、さらに一緒に報告に参加していた未結が彼をフォローする。


「わかりました。状況から処分なしか訓告処分が妥当でしょうが現在は作戦中です。レイ君への処置は遠征後になるでしょう。それまで引き続きよろしくお願いいたします」

「わかった」


 翔との通信を終わらせたレイの表情は安堵に満ちていた。彼は横に居た未結の肩に手を置いた。


「ありがとう。先輩がいてくれた助かった」

「いえ。何かのために見ておいてよかったです」

「でも…… なんで俺を見てたんだ? まさか俺が頼りないから……」

「えっ!? ちっ違います! ただ…… 私が心配で…… レイさんを見ていたくて……」


 声から自信がなくなって、小さくなっていくレイ、未結は驚き慌ててまたフォローする。しかし、レイは彼女が優しいから、彼が頼りないと正直に言わないのだと勝手に思い込み話を続ける。


「だよな。俺は先輩から見たらまだまだ駆け出しだもんな」

「あっあの本当に違うんです! そっその…… レイさんに何かあったら…… 嫌だからです。本当はずっと…… ずっと……」


 恥ずかしそうに顔を赤くしてもじもじとする未結、真剣にレイを見た彼女は口そっと開く。普段は引っ込み思案な未結だが、レイを慰めようとする勢いで目の前に彼に秘めた想いを告げようと……


「レイくーん。下から弾薬とタンクを持ってくるから手伝って!」

「おう。ごめん。呼ばれたから行って来るわ」


 甘菜がレイを呼んだ。右手をあげ嬉しそうに左右に振り甘菜に答えるレイだった。彼はそのまま振り返り右手をあげ未結に断って甘菜の元へと向かうのだった。


「えっ…… もう!」


 すっといなくなるレイ、甘菜の元へと向かう彼の足取りは、軽く弾んでいるように見えた。口を尖らせ不満げな表情をした未結は軽く床を蹴るのだった。

 コロッセオ豊洲の地下二階にある駐車場。目の前に斜めに伸びた、自動車用のスロープがあり、これは地上入口へつながっている。周囲にはレイたちが乗って来た軍用車両やトラックが置かれていた。トラックの中には負傷者の治療を行う医療班やトラックの運転士たちが戦況を見守っている。翔は護衛の二人とスロープの前に立ちジッと考えている。


「今は午前二時…… 死亡三名に負傷者は六名…… 夜明けまでこのまま静かにしててくれるといいんですがね」


 地上へと続くスロープを見つめ翔はつぶやくのだった。

 一時間後。屋上にいるレイたちは補充を終え、次なるレインデビルズの侵攻に備えていた。


「嫌な天気だな……」


 屋上のへりにたち北側の交差点を警備していたレイが空を指してつぶやく。横にいた甘菜が彼の指を追って顔を空に向ける。深夜を迎える頃は晴れて星が見えて空は灰色の雲に覆われていた。


「えっ!? ほんとだ。雨が降るのかな」

「ただの雨ならいいけどな…… 先輩。天気が悪化した近くの空の監視を頼む」


 振り向いたレイは彼から二メートルほど後方にいた未結に指示を送る。未結は右手をこめかみの辺りへと持っていく。彼女の目が青く光り出し千里眼が発動し、彼女の目に二十キロ先の空が見えてくる。

 方角や距離を変えていく未結に、コロッセオ豊洲の西十キロ先の空を見た時に彼女の顔が青ざめる。


「紫の雲!!! 魔の巣です! 距離は十キロ。こちらへ向かってます」


 未結は空に浮かぶ紫色の雲、魔の巣を見たのだ。レイは右手をあげ小さくうなずき冷静な口調で彼女に返事をする。


「了解。翔さん。聞こえましたね」

「えぇ。やはり来ましたか…… 総員対応をお願いします」


 翔の指示を受けたレイは甘菜に体を向け右腕を伸ばし、屋上の出入口横に並んだ箱を指さす。並んだ四つの箱には弾薬とエーテルタンクが入っていた。


「姉ちゃん。物資を中へしまうぞ」

「えぇ。せっかく運んだのに……」

「空から敵が降って来るんだから補給物資なんかあっても無駄だよ」

「わかってるよ」


 不満げに返事をした甘菜、二人は補給物資が入った箱を、屋上から地下へと移動させるのだった。あわただしく迫る魔の巣へと対応するレイたちだった。

 箱を運び屋上へと戻ったレイと甘菜、少ししてから新たな翔からの指示が届く。


「屋上部隊へ。相原です。特務第十小隊以外は地下へ移動し防衛体制の構築をお願いします」


 翔は屋上に特務第十小隊のみ残るように指示をした。


「後はよろしくお願いします」

「はっはい」


 第二師団の兵士二人が敬礼をし屋上から地下へと移動する。四人は並んで兵士を見送った。


「なんで人を少なくするんだろ?」

「さあな。結局は翔さんも俺たちのこと嫌いなのかもな」

「えぇ!? そんなぁ……」


 レイの言葉にしょんぼりとする甘菜だった。二人の会話に黒田が割り込む。


「違いますよ。地上の部隊も間引いてますね。現在三時過ぎです。地下を最終防衛線にし夜明けまで耐えるつもりで精鋭だけを残してでしょう」

「ふーん。精鋭と言われるのは悪い気はしなけど。大規模な集団だったらさすがに四人だけじゃ守り切れないぞ」


 屋上を見渡してレイは首を横に振った。魔の巣から直接レインデビルズが降って来る。どの魔物がどれくらい振って来るかはその時にならないとわからない。


「えぇ。相原君は生き残って敵の情報を持って帰れる人を残してるんですよ。魔の巣から落ちて来るレインデビルズは外からじゃわかりませんからね」

「あぁ。そういことか。俺たちが持って行った情報を使って作戦を変えるつもりなのか」


 黒田は小さくうなずく。翔は何通りかの作戦があり、レインデビルズの種類や規模を確認してから手を打つうつもりのようだ。

 話を聞いていた甘菜が何かを思い出したようで目を大きく見開いた。


「あっ! 魔の巣消滅弾は使えないのかな? 未結ちゃんのライフルで撃って遠くなら近づく歩きになるから遅くなるじゃん」

「確かに…… でも、あれってまだ正式配備されてないだろ」

「杏ちゃんに聞いてみようよ。持って来てるかもよ」

「うーん。先輩。どうしようか?」


 少し考えてからレイは未結に話を振った。未結は小さくうなずいてレイに答える。


「そうですね。甘菜さんの言う通りです。使用できれば有効かも知れません。確認してみます…… 大神さん。杏さんに……」


 右手をあげ通信を大神につないで話し込む未結だった。しばらくして未結が通信を終えた。


「杏さんが一発だけ持っているみたいです」

「わかった。じゃあ行って来る」

「私もー!」

「いいよ。取ってすぐ戻るから待ってなよ」


 歩き出そうとしたレイを未結が止める。


「レイさん。私が行きます。自分で撃つ弾ですからついでに作戦の許可も相原さんにとって来ます」

「えっ!? わかった。じゃあお願い」

「はーい」


 返事をした未結は地下の杏の元へ魔の巣消滅弾を取りに向かうのだった。地下三階駐車場へ到着した未結、円筒型の階段の入口で大神が待っていてすぐに魔の巣消滅弾を受け取ったのだった。

 彼女はすぐに仲間が待つ屋上へと戻るのだった。

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