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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第73話 地獄の夜の始まり

 日が傾き廃墟となった東京湾の沿岸の都市が夕日に照らされている。遠征隊により周囲にバリケードが築かれ要塞となったコロッセオ豊洲も例外ではなかった。

 赤く照らされる床の上でパワードスーツを脱いだ、特務第十小隊の面々は少し早めの夕食をとっていた。彼らは焚火を起こし飯盒で米を炊き缶詰をおかずにする。レイと黒田が並んで床に座り、焚火を挟んで向かい側に甘菜と未結が椅子に座っている。顔をあげた甘菜は焚火越しに食事をとっているレイを見つめる。


「レイ君…… 明日もちゃんと朝ご飯を食べようね!」


 箸を膝の上に置いてレイに声をかける甘菜、レインデビルズは夜に活発活動する。防壁も結界もなくこの場所を一夜防衛するに無傷というわけにはいかないのだ。彼女を見たレイは静かに笑って答える。


「あぁ…… もちろん。つーかちゃんと残しておけよ朝飯用に! いま全部食って朝飯なくしてもやらないからな」

「そっそんなことしないもん! べー!!!」


 必死に否定した甘菜はレイを睨んで舌を出すのだった。黒田と未結は二人のやり取りを見て笑うのだった。


「よーし。ごちそうさんと! じゃあ警戒任務に戻りますか」

「そうですね……」


 箸をおいて立ち上がり片づけを始める特務第十小隊の四人。片づけを終えた彼らはパワードスーツに装着したのだった。特務第十小隊の持ち場はコロッセオ豊洲の屋上。第三師団の兵士五名と共に重機関銃で敵を狙撃する。レイと甘菜は屋上に展開する射撃部隊の護衛だ。


「あれ!?」

「どうした?」


 屋上から見回りをしていた甘菜とレイ。途中で甘菜が何かに気付いてヘリまで行って下を覗き込む。レイも彼女に続く。


「あれって大口さんじゃない?」

「本当だ」


 甘菜が見つけたのは建物脇に、置かれた廃車の前に立つ大樹だった。


「何しているんだろうねぇ。放置された車のトランクを開けてるみたいだけど……」

「トラップでも仕掛けてるんじゃないか? ほらあんまり見るなよ。絡まれるぞ」

「そうだねぇ」


 返事をした甘菜、レイも大樹の行動は気になったが、彼の今までの言動を踏まえ気にしないことにするのだった。

 真夏を少し過ぎた頃の東京、六時を過ぎ夕闇が辺りを覆っていく。昼間にはなかった血に飢えた獣の気配がコロッセオ豊洲の周囲に漂い始めてくる。レインデビルズのたちの喧騒にレイたちは飲み込まれていく。

 重機関銃を持ち、背中にスナイパーライフルを水平に収納している未結が、こめかみ辺りに手を当てた姿勢で屋上の中央に立って居た。彼女の目は青く光り輝き、千里眼を通して豊洲の様子を見通している。


「北の道路と東……」


 静かにつぶやいた未結は全員に通信を開いた。


「屋上の特務第十小隊です。ゴブリンが北、リザードマンが東から接近中です」


 遠征隊にレインデビルズの襲来が告げられた。全員が戦闘準備を始めるのだった。北と東にある二階歩道と入り口にパワードスーツを着た兵士が展開する。バリケードの前でパワードスーツを着た兵士たちが銃を構える。


「相原です。防衛線を越えたら発砲してください」


 翔の指示が出る。円形のコロッセオ豊洲は北側と西に交差点があり、北から南にかけてコロッセオ豊洲に沿うような道路によって囲まれている。防衛線とはこの道路と交差点でレインデビルズが道路を超えた場合に攻撃する。

 近づけば即座に発砲しないのは、彼らの存在が周囲のレインデビルズに把握されていない可能性があり、無駄な戦闘を避けるためだ。


「よし。俺と先輩で東側に行く。姉ちゃんは黒田さんと一緒に北側の対処を頼む」

「わかった。レイ君! 気を付けて」

「あぁ。姉ちゃんもな!」


 レイと未結は東側のリザードマンに対処する。未結とレイは東側のヘリへと移動してきた。レイは太刀を持たずに腰にアサルトライフルを装備している。

 二人の他に第二師団の機関銃を持った、二式のパワードスーツを着た二人の兵士が一緒に居る。


「進軍前って感じか」


 へりに立って下を覗き込むレイ、日がほとんどなくなり真っ暗道路の向こう側に、たくさんのの赤い二つの光が見える。赤い光はリザードマンの目だった。


「向こう側に見えるタワーマンションから出て来てるみたいですね」


 未結が前を指す。道路を挟んだ向かい側の敷地に三角形の巨大なタワーマンションが見える。リザードマンはタワーマンションを巣にしているようでそこから這い出ていた。


「もしかしてここは産卵場で向こうが住処だったのかもな。ここを取り返すために集合しいているわけか」

「どうでしょうか…… ここにいたリザードマンと違う部族かも知れません」

「どっちでもいいか。俺たちにはどっちも敵に変わらないしな。さて、じゃあ防衛線を超えるまで待つか」

「うん!? ちょっと待って下さい……」


 こめかみの辺りに右手を置いた未結、彼女の目が青白く光り出す。彼女の目に一匹のリザードマンが防衛線を越えて建物の前に植え込みに身を隠している姿が見えた。


「偵察が一匹…… 防衛線を超えて来てますね」

「よし。じゃあ先制攻撃だな…… えっ!?」


 小さくうなずいた未結は、重機関銃を置き背負っていたスナイパーライフルを取り出した。レイは彼女がそのまま重機関銃を撃つと思っておりスナイパーライフルを取り出したことに少し驚く。

 スナイパーライフルを構えて照準を前に向けた未結が口を開く。


「シンシアさん…… 重射撃体勢へ移行してください」

「リョウカイシマシタ」


 スナイパーライフルを構えた未結のふくらはぎの装甲から脚が出た。未結は瞳を青白く光らせジッと前を見つめる。


「そこです!」

「えっ!? どっどこを狙って!?」


 引き金を引く未結、けたたましい音が響いて銃弾が発射された。

 未結のスナイパーライフルから発射された銃弾は、リザードマンに向かわず彼らの頭の上を通りすぎタワーマンションを貫いていった。激しい音にリザードマンたちがざわめいている。

 驚くレイだったが、未結はかまわずさらに二発の銃弾をタワーマンションへ撃ち込んだ。


「「「「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」」」」


 タワーマンションが崩れる大きな音が轟く。未結に撃たれたタワーマンションは上から押しつぶされるようにして、崩れていき倒れていった。崩れたがれきがリザードマンに降り注ぎ、砂埃が舞いリザードマンたちが見えなくなっていく。


「三発でマンションが崩れるなんて……」

「どんな建物でも支えているは柱です。そのうち何本か撃ちぬいて破壊すれば自重で崩れるんですよ」


 スナイパーライフルの銃口を空に向け得意げなに話す未結。彼女はスナイパーライフルを背中にしまうと床に置いた重機関銃を拾い、銃口をヘリから出して下に向け砂埃が舞う道路を指さす。


「さぁ。あの中に生き残りがいるはずです。片付けましょう!」


 うきうきと嬉しそうに砂埃に銃撃をするように伝える未結だった。二人の兵士は顔を見合せてあと、未結を挟むように彼女の横に立ち射撃を始めた。真ん中に立った未結も射撃を始めた。


「これでこの辺のリザードマンは全滅ですよ!! ひゃっほーいですね!」

「ははっ。たまに怖いんだよな…… この人」


 気持ちよく射撃する未結の姿にレイは苦笑いをするのであった。けたたましく鳴り響く銃声、三人が撃った重機関銃の銃弾は砂埃を巻き上げながらリザードマンを貫いていく。銃弾はいとも簡単にリザードマン体を貫通し引き裂いていく。地面に血に染まり、飛び散った肉片が地面を盛り上げていく。地上には血と水と泥の混じったような臭いが充満していた。


「撃ち方やめです!」


 未結が射撃を止めた。三人の重機関銃から一筋の白煙が天へと上り、暗闇を黄色く染めていたがれきの砂埃が消えていく。


「大丈夫ですね…… 動く影はありません。生きていても深手を負っているでしょう」


 重機関銃を床に置いて、右手をこめかみ辺りに置いて千里眼を使い、未結は下の様子を探るのだった。彼女に目に動いているリザードマンは見えず、みな血を流し折り重なって倒れていた。


「ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」


 突如、甲高い鳴き声が上空から響く。空に現れた黒い影が、未結へと向かって急速で下りて来ていたのだった。

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