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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第70話 いざデータセンターへ

 遠征隊がデータセンターを目指して行軍を始めた。人数は百五十人。パワードスーツを着た兵士が百名、補給係が四十名に、医療班が十名という構成となっている。兵士の大半は主に翔の第三師団第三部隊と大樹の第二師団第六部隊から構成されている。三十名ほどの足りない兵員は各師団の他部隊から借りている。補給係は調達部人員で医療班は師団の各部隊から優れたものを翔が選抜した。

 市場からデータセンターまでは、北上して直線で二キロほど。先頭は大樹が率いる部隊が付き、次に大神と杏が乗るトラックを護衛する翔の部隊と補給用のトラックが続く。

 確保した豊洲市場だが、部隊は残さず遠征隊に帯同しない者はすべてPA334へと引き上げる。PA334はデータセンターでの作戦が終わるまで海ほたる沿岸で待機し、遠征隊からの作戦終了の連絡を受け再度接岸しツマサキ市へ帰還する。

 特務第十小隊は兵員輸送車に四人が乗り遠征隊の最後尾についていた。

 車両はレイが操縦し、銃座には黒田が付いていた。連絡係は未結が担当し、甘菜は盾を装備し車体後方に立って周囲の警戒に当たっている。警戒担当の甘菜が周囲を見つめている。荒れたアスファルト道路、彼女らが進む道路の脇には鉄道の高架が平行に走っている。周囲はひっそりと静まり返り、レインデビルズらしき影は見えるが遠巻きにして様子をうかがっているようだった。


「ねぇ」

「どうした?」

「後方の守りって私たちだけだけど。大丈夫なのかな?」


 最後尾を進むレイたちの周囲には何もない。隊列は前面に一番多く兵力がさかれ、杏が居る中央から後部にかけては薄い。


「後ろの配備を薄くするって駄目なんじゃないの? 背後から襲われたら大変でしょ」


 背後からの強襲を心配する甘菜、彼女の質問をレイは小さく首を横に振って否定する。


「いや。遠征軍の目的はデータセンターへ杏ちゃんを連れて行くことだ。仮に背後から襲われたても前進してデータセンターへ急ぐつもりなんだろう」

「えっ!? でも、挟み撃ちとかされたら」

「変わらないさ。前の戦力で前面を突破してデータセンターへなだれ込むつもりだろう」


 道の先を指すレイだった。この隊列の狙いは一つ、データセンターに杏を届けることだ、敵に襲われたとしても前面に戦力を集中し突破し反転することは考えてないのだ。


「誰も手伝ってくれないんだね……」

「そうさ。だから置いて行かないように必死で戦うんだ。わかった。姉ちゃん?」

「うー」


 不満げに声をあげた甘菜に直後に車両が停止した。急な停車だったてめ、彼女の体が揺れ前に倒れそうになり、右手を車両にかけ体を支える。


「どうしたの?」

「悪い。隊列が停まったんだ」

「前面の道路の一部が陥没して狭くなってるみたいです。迂回して先に行くみたいです」


 車両中央にいる未結が千里眼を使って隊列の先の状況を伝える。


「あっ! あそこ何か動いた。左の後ろの白い建物の壁!」


 何かに気づいた甘菜が左後方を指さした。銃座に座る黒田が重機関銃を彼女が指した方向に向ける。だが、甘菜が指した場所には、広い歩道の先に白い四角い建物が静かにたたずむだけだった。


「甘菜くん。何が居たんですか?」

「壁に何かが張り付いて追って来ていたんです」


 黒田は目の前に映るディスプレイにジッと目を凝らす。何かが擬態しているのか白い壁にわずかに影が映っている。人型で尻尾を持つ顔の長い魔物が壁に張り付いているようだ。黒田は影を見てすぐに魔物の正体を見破る。


「リザードマンです。建物の壁に張り付いて魔法で擬態しているようです。武器は持ってないみたいですから偵察でしょうかね」


 壁に張り付いていたのはリザードマンという魔物だった。緑色や赤いうろこに覆われた長い尻尾を持つトカゲ人間だ。リザードマンは素早く身体能力が高く、十メートルほど高さまでジャンプができる。知能は高く魔法を使え弓矢や槍などの武器を自作する。また、手足は吸着性があり壁などに張り付いて移動できる。


「黒田さん。すぐに威嚇射撃で追い払ってください」

「いや。待って先輩! 黒田さん。狙えます?」


 レイは未結の指示を止め、首を振り返り黒田に確認する。


「もちろん。命令をもらえばいつでもハチの巣にできますよ」


 黒田は照準をリザードマンに合わせたまま、レイに右手をあげ答えるのだった。


「お願いします」

「了解」


 返事をした黒田は重機関銃で、壁に張り付いているリザードマンを撃つ。機関銃を横に動かし薙ぎ払うようにリザードマンを狙う。銃弾は壁に張り付いたリザードマンを撃ちぬき、リザードマンたちの頭や手や体に穴があく。白い壁が赤黒い血で染まっていく。


「「「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」」」


 悲鳴がかすかにレイの耳に届く。黒田は射撃を止め壁を確認する。


「生き残りが二匹ほど逃げていきます。追撃は?」

「いや。追撃は不要です」

「了解」


 右手をあげたレイに、黒田も同じく右手をあげる。そこへ……


「おい! 銃声がしたぞどういうことだ!?」


 特務第十小隊の全員に大樹から通信が入る。レイが大樹に答える。


「後方からリザードマンが接近したので追い……」


 報告するレイの言葉を大樹が遮る。


「うるさい。そんなことは聞いてない。何で撃ったんだ? 誰の命令だ?」


 やや怒り気味に大樹が話す。レイは淡々と冷静な口調で答えるのだった。


「命令? いや。こっちの判断だ。敵が増えたら対処が難しくなるからな」

「勝手なことをするじゃない!! どうして俺に指示を仰がなかった! 戦闘は指揮官の命令があってだろう!!!」


 怒鳴りつけられるレイ、甘菜と未結は目をつむり、黒田は不快な表情をする。レイは呆れた表情で話をする。


「だそうですよ。相原司令官。聞いてるんでしょう? なんとかしてください」

「なっ!?」


 レイは大樹から連絡くると、翔との通信回線をつないでいた。特務第十小隊と大樹の会話を翔にも聞かせていたのだ。


「ふぅ。大樹…… 勝手なのは君だよ。レイ君たちの判断は間違っていない。そもそもこの隊列は彼らが背後の守りを固めてくれることで成り立っている」

「フン。お前は甘いんだよ!! 指揮官に許可なく発砲する方が悪いんだ!!」


 大樹と翔で言い争いを始めた。レイは舌を出して笑っていた。そのうち飽きたレイは話を打ち切ろうとする。


「じゃあもういいですよね……」

「待て! 何を勝手に! これから懲罰委員会を開いてだな・・…」

「いや。指揮官は俺たちの判断で良いと言ってるだろ。この遠征隊の指揮官は相原指揮官だ。あんたは副指揮官だろ。ねぇ。大口・ふ・く・指揮官さ・ま!!!」

「貴様ぁぁぁぁ!!! いますぐこっちへ来い! どっちが上かわからせてやる」


 口を尖らせ馬鹿にしたように話すレイに怒り出した大樹。レイはかまわず通信を終わらせる。


「はい。通信終わりまーす」

「こら! おい! 待てと……」


 大樹との通信だけを強引に切るレイだった。


「はははっ。レイ君は面白いねぇ。大樹とは僕が話しをつけておくから気にしないで任務を続けてくれ」

「はい」


 レイは笑顔で翔に返事を任務へと戻ろうと通信を終わらせた。すぐに黒田がレイに口を開く。

 

「まったく…… 何をしているんですかレイくんは…… あれじゃ大口君が怒るのも当然ですよ。言ったじゃないですか。指揮官にどっちがつくかでもめたと……」

「黒田さん。レイ君はいじわる君ですからね。その情報を聞いてわざとやってるんです!」

「まぁな」


 ニヤリと笑ってレイは平然と答える。彼の回答に甘菜は不満げにし、黒田は呆れるのだった


「うわぁぁぁ。レイさん…… 最低ですね……」

「なっ!? 先輩!? そっそんな……」


 話を聞いていた未結は、心底あきれドン引きするのだった。彼女の声はふんだんにレイに対しての嫌悪を含まれいた。普段はあまり相手を批判することない、未結の辛辣な反応に慌てるレイだった。陥没した道路を迂回した遠征隊に目的地であるデータセンターが近づくのだった。

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