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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第69話 怖い人たち

 旧卸売場に機械音が断続的に響いている。

 中央にゴブリンたちが築いた舞台があり、その上にマンティコアの死体が乗せられている。マンティコアの周囲や上にゴブリンの死体が積み重ねっていた。ゴブリンの数は数百を超えていた。

 甘菜がゴブリンの山へと近づく。彼女には卸売場にあったまだ動く一輪車を操作している。その一輪車には山盛りのゴブリンの死体を積み上がっていた。舞台の前に来ると一輪車を止めゴブリンの死体を掴んだ甘菜。


「ほい! ほいほい!」


 一輪車に乗っていたゴブリンの死体を、舞台の上へと手際よく投げていく甘菜だった。投げ捨てたゴブリンの死体が積みあがっていく。すべてのゴブリンを投げ終わると


「こっちのお掃除は終わったよー」

「お疲れさん。こっちも終わったぞ」


 振り向いた甘菜は壁際に立って居たレイの元へと駆け寄って来る。レイは彼女が近づくと対魔法障壁用エンジンカッターを置いて右手をあげる。マンティコアとの戦闘が終わり未結たちも合流していた。レイたちは豊洲市場を片付け本隊を迎える準備をしていのだ。


「壁、あんなに壊しちゃって平気なの」


 レイの背後にある大きな壁の一部が高さ、五メートル幅十メートルほど破壊され道路が見えている。


「この壁を取り払っておけば車両をいれやすいだろ。がれきは前の道に積んでバリケードにしてもらっている」

「ふーん」


 道路を一輪車を持った黒田が歩いて来て壁の中へと入って来た。


「こっち終わりましたよ」

「ありがとう。マー…… 黒田さん」

「むぅ」


 不機嫌そうに黒田がレイを睨みつけていた。そこへ未結からの通信が届く。


「皆さんが到着しましたよ」

「受け入れ態勢は出来てるからそのまま上陸してもらって」

「了解です」


 未結から強襲揚陸艦PA334が到着したと連絡があった。レイたちは外に出るとPA334からV428とトラックや兵員を乗せた揚陸艇が発進し向かって来ていた。

 しばらくして、卸売場にはトラックが横づけし、中からたくさんの兵士やパワードスーツが降ろされ並ぶ。レイたちは卸売場の端へ移動していた。パワードスーツを外し朝食をとる、レイたちは上陸部隊に防衛任務を引き継ぎ彼らは休憩をしていた。


「やぁ。君たちが特務第十小隊ですね。お疲れ様です」


 灰色の迷彩柄の戦闘服に身を包み、短い青い髪をオールバックにした鋭い目を隠すような黒縁眼鏡をかけた笑顔の青年がレイたちの前へとやって来た。

 エナジーバーを食べていた、手を止め立ち上がったレイは、青年に向かっていく。


「誰だあんた? 見ての通り休憩中だから用事なら後に……」

「レイさん!」


 慌てて立ち上がってレイと青年の間に未結が入った。彼女は青年を手で指してレイに説明をはいz


「この人は相原翔(あいはらしょう)さん。第二師団第三部隊の隊長で今回の遠征軍の指揮官ですよ」

「ありがとう。如月さん。僕はみなさんの指揮官です。よろしく」


 レイに声をかけてきた青年は、相原翔、二十六歳、第二師団第三部隊の隊長で遠征軍の指揮官だった。翔は表情を変えずにニコニコと笑いながら説明してくれた未結に礼を伝えレイに握手を求め手をだした。レイは翔と握手した。


「失礼しました」

「気にしなくていいよ。山神博士が最少人数での打ち合わせにこだわったから顔見せも出来ずに作戦開始したからね」


 レイと握手を終えると、翔は甘菜や黒田と握手をする。最後に未結と握手をする。


「またあなたとご一緒できるのは光栄ですね。如月さん」

「そっそんな…… 私はそちらでは何もできなくて」


 第二師団第三部隊は未結が訓練直後に配属された部隊だった。半年ほどでレイが訓練を終え同時に特務第十小隊が発足したため彼女は異動した。

 翔はうつむいて申し訳なさそうにする未結に笑顔のまま手を離し握手を終える。彼はレイの方に顔を向け話を始める。


「レイさん。君がマンティコアを倒したんと聞いたよ。いい腕をしているね。次も期待してますよ」

「俺じゃねえ。死体の銃弾の痕を見てねえのか。俺の得物は刃物だ。仕留めたのは先輩だよ」

「おぉ。失礼。相変わらずいい腕をしているんですね。如月さん」


 首を横にしてマンティコアを仕留めたのは、自分で吐く未結だと説明するレイだった。未結はまた慌てて彼の言葉を否定する。


「ちっ違います。私はレイさんと甘菜さんが動きを止めたのを撃っただけですから」


 首を横に大きく振る未結だった。レイは淡々と彼女の言葉にかぶせるように話をする。


「俺はスナイパーの為に敵の動きを止めるっていう、前衛なら当たり前のことをしただけだ」

「そうですよ。未結ちゃんなら絶対に当ててくれるもん。私と違って。ねぇ?」

「あぁ。そうだな。信頼度が段違いだ」

「プク!」

「えぇ!? なんでだよ!!」


 首をかしげレイに同意を求めた甘菜、彼は大きくうなずいて未結を褒めた。しかし、なぜか甘菜はうなずいたレイを睨みつけ頬をふくらませる。甘菜の行動に困惑するレイだった。三人のやり取りを見ていた翔はにこにこと笑ったまま未結の肩に手を置く。


「ふふふ。良いチームに恵まれましたね。如月さん」

「はっはい」


 翔の言葉に嬉しそうに答える未結に彼も小さくうなずいた。


「じゃあ。私はこれで! 次の指令までゆっくりしていてくださいね」


 右手をあげた翔はレイたちの元から去って行った。一列に並んで翔を見送るレイたち、彼の背中を見つめていた甘菜がレイの横でつぶやく。


「なんか穏やかな人だけど…… 少し怖かったね」

「そうだな。笑顔が逆に不気味というか…… 黒田さんみたいだな」

「なっ!? レイくん。それはどういう意味ですか」


 横から詰め寄って来る黒田にレイは体を引きながら舌を出してからかう。


「でも、相原さんはいい人ですよ。私にも優しいし!」

「そうなんだ。じゃあ大丈夫か」

「うん。未結ちゃんが言うんだもん」


 未結の言葉に納得したようにうなずくレイと甘菜だった。三人の後ろでうつむいた黒田が近づく。


「あの…… それだと僕は悪い人で優しくないことになるんですが……」

「「「あっ!?」」」


 黒田がつぶやくがレイと甘菜と未結の三人は、ハッという顔をして気まずそうに食事に戻るのだった。

 二時間ほど後…… 指示を待っているレイたち、卸売場に居た兵士たちは、移動の準備を始め騒がしくなっていた。


「特務第十小隊!」


 灰色の戦闘服に身を包んだ青年がまたやってきた。彼は茶色の髪に目が鋭く鼻が高く端正な顔立ちをしているが、眉間にシワを寄せ口を真一文字に結んでおり怒っているようだった。呼ばれたレイたちは右手をあげ答えると青年はイライラしたように眉を震わせた。


「おい!! 上官が来たんだぞ! 整列しろ!」


 レイたちを怒鳴りつけ並ぶように命令した。怒鳴りつけられて驚いたレイたちだったが彼らはすぐに青年の前に並ぶ。見たことない青年に未結はおそるおそる名を尋ねる。


「あっあのどちら様ですか?」

「なんだと! 貴様らは上官の名前も知らんのか! この!」


 青年は未結を殴りつけよう右拳をふりかざす。すぐにレイと甘菜が飛び出し、甘菜は未結の前に立ちかばい、レイは青年の右の手首をつかんだ。


「貴様ら! 何の真似だ!」

「それをこっちのセリフだよ。俺たちに喧嘩を売りに来たんだったら買うぞ」


 掴んだ手首を強く握り、レイは青年を睨みつける。


「まぁまぁ。レイくんも大口くんも落ち着いてください」

「お前は黒田か…… チッ!」

「黒田さんのお知り合いだったんですか?」

「えぇ。以前同じ部隊に居た大口くんです。僕がもう少し早く思い出してればよかったですね。申し訳ない」


 未結と青年に謝る黒だった。青年の名前は大口大樹(おおぐちたいき)、二十五歳。第三師団第六部隊隊長で遠征隊の副指揮官を務めている。レイは大樹の腕から力が抜けたのを、確認してから彼の手首をはなすのだった。

 大樹は右手首を左手で押さえながら黒田を睨む。


「まったく…… 黒田! 上官に対する態度をだな」

「大口くん。わかりました。僕が後で注意しておきますよ。ほらレイくん。甘菜くん。上官のお話です。黙ってききましょう」

「ふん!」


 不機嫌そうに鼻息を荒くする大樹、黒田がレイと甘菜を手招きして並ぶように指示し二人はそれに従うのだった。


「これからデータセンターへ移動を始める。お前たちはしんがりだ。後方から我々を支援しろ」


 四人をそれぞれ指さして横柄に指示する大樹、レイは彼の態度に怪訝な表情で視線を外す。


「しっかりとレインデビルズを防ぐんだぞ。我々をしっかりとデータセンターまで届けるようにな」

「りょっ了解しました」


 未結が答えると調子に乗り大樹が話を続ける。


「いいか!? 後方には第三師団の兵が多い。お前たちはその盾となるんだ! わかったな」

「えっ!? りょっ了解ししました」

「わかったな。じゃあすぐに準備をしろよ」


 大樹は未結に顔を近づけすごむように念を押し、彼女が返事をすると満足そうに笑い顔をあげた。そのまま振り返りレイたちに背中を向け大樹は歩き出した。レイが吐き捨てるようにしゃべりだす。


「なんだ…… 盾になれって俺たちはどうでも良いみたいに言いやがって」

「ねぇ。嫌な人だわ」

「二人とも! 聞こえますよ」


 不機嫌そうに文句を言うレイに同意する甘菜、二人をいさめる未結だった。


「確か大口くんと相原くんは同期でしたね。学生時代からの友人とかなんとか」

「えぇぇぇ!? 友達なのに全然違うんですね…… 相原さんは良い人だったのに……」


 激しく驚く甘菜に黒田は冷静に淡々と話をする。


「まぁ大口くんは昔から出世欲が強かったですからね。おそらく今回の任務で相原くんの下についたのがきにいらないのでしょう」

「それで私たちに不機嫌になるって最低じゃないですか!! べーーーー!!」

「はははっ」


 頬を膨らませて甘菜は去っていく大樹の背中に舌をだすのだった。黒田はそんな彼女を見て苦笑いをするのだった。レイたちは休憩を終え、旧豊洲市場からデータセンターへ移動を始めるのだった。

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