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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第68話 最後は彼女に

 迫って来るマンティコアの鋭い瞳が光を放つ。マンティコアは二人の前で速度を一気に落とし頭を下げ後ろ足を伸ばし尻をあげた。サソリのように鋭くとがった尾を二人に向かって伸ばしてくる。


「そんなの効かないよーだ」


 レイの前に出てかばうようにした甘菜は、持っていたタワーシールドを尾の軌道に合わせる。


「飛べ! よけるんだ!」

「えっ!?」


 甘菜のすぐ後ろに居たレイが、叫んで飛び上がった。彼の声に反応して彼女も飛び上がって尾をかわした。振り下ろされた尾は鋭く伸びて甘菜が居た床に突き刺さった。マンティコアの尾が突き刺さった床に黄色の液体がばら撒かれた。

 二人は左右に分かれてマンティコアを挟むように着地した。


「なんで避けさせたの? 私の盾ならあれくらいへっちゃらだよ」

「姉ちゃん! そいつの尾を見ろ!」


 マンティコア越しに話だした甘菜にレイが尾を見るように答えた。地面に突き刺さった尾を見る甘菜、レイも同じように尾を見つめながら淡々と話をする。


「あいつの尾はサソリだ。毒を持ってるだ。少しでも体内に入ったらイノシシみたいに動けなくなる。かわせない時以外は盾でもうけない方がいい」

「そうなの? でも毒なんか盾でも……」

「もし毒で盾が使い物にならなくなったら予備の盾はV428に一つだけだろ。船にも予備があるがどれくらい作戦に時間がかかるかわからないんだ。無駄に消耗する必要はないだろ」

「そうか。わかった! ありがとう」


 うなずいて返事をする甘菜だった。マンティコアの尾はサソリと同じもので、先端が毒針となっており獲物に突き刺し毒を打ち込む。毒は致死性のものではなく相手の体を自由を奪う麻痺毒で、主に獲物を動けなくし仕留めたり、巣に持ち帰って捕食するために使用する。


「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 マンティコアは床に突き刺さった尾を抜くと、今度は体を横に回転させ二人を伸ばした尾で薙ぎ払おうとした。しなりながら地を這う尾がうなりをあげ二人に迫って来る。


「よっと!」

「ふぅ!」


 レイと甘菜は向かって来た、マンティコアの尾を飛び上がってかわす。


「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 着地と同時にレイに向かい、マンティコアが唸り声をあげ襲い掛かって来た。爪を出した両前足をレイに向かって同時に振り下ろした。


「ほっ!」


 太刀を両手で持ち上げ、レイは頭の上に水平にし、マンティコアの両前足を受け止めた。爪と太刀がぶつかって大きな音を立てる。


「ウガア!?」


 声をあげるマンティコア、自分よりも小さいレイが攻撃を受け止めたのに驚いているようだ。


「はあああああああああああ!!」


 レイが意識を集中し全身に力を込める。彼が着たパワードスーツが青白く光り出した。レイは足と太刀を持つ両手に力を込めマンティコアを押し返す。


「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」


 押し返されたマンティコアは後方に吹き飛ばされ、バランスを崩して倒れそうになるがなんとか踏ん張った。金属のすれる嫌な音がして踏ん張ったマンティコアの後ろ足が床に爪の痕を三メートルほどつけていく。マンティコアの後ろに居た甘菜は後方に飛んで距離を取る。


「素早くて力も強い。やっかいだねぇ」

「あぁ。そうだな。でも、一瞬でいいから動きを止めれば仕留めてくれるさ」

「うん! 行くよ!」


 甘菜は盾の裏から、モーニングスターを取り出し、頭上で回転させ始める。レイは太刀の切っ先をマンティコアに向け構える。甘菜とレイは何も合図もなく、同時に走りだしマンティコアを挟み撃ちする。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 マンティコアは背後にいる甘菜に尻尾を伸ばして来た。


「はっ!」


 先ほどと同じで甘菜は横に飛んでマンティコアの尻尾をかわした。レイはマンティコアとの距離をつめ飛び上がって両腕を引き突き出す。マンティコアの額を狙って突き出された太刀は鋭く伸びていく。


「チッ!」


 突き出したレイの太刀が空を切った。マンティコアは地面を蹴って翼をはためかせ飛び上がったのだ。


「翼がありゃ飛べるか……」

「来るよ!」


 甘菜は着地したレイの元へと叫びながら駆け寄って来た。飛び上がったマンティコアが口を開けた、周囲に青白い光の粒子が集まっていく。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 口を開けマンティコアが唸り声をあげると、同時に口から光輝く稲妻が飛び出し二人へと向かって来る。これはサンダーボルトというマンティコアが操る魔法だ。


「尾じゃなきゃ受けていいよね?」

「あぁ。頼んだぜ」


 前に出た甘菜はレイをかばうようにして立って、稲妻に向かってタワーシールドを向けた。タワーシールドと稲妻がぶつかった。激しい光が周囲へと発せられた。光は卸売場の窓や空いた屋根か飛び出し空や周囲を激しく照らす。すぐに光がおさまっていく。マンティコアが黒い煙に包まれた床を見て心なしか笑っているように見えた。しかし、煙がなくなるとその表情は変わる。


「ガウア!?」


 目を大きく見開き驚いているような顔に変わったマンティコアだった。甘菜がタワーシールド上に向けたまま無傷で立っておりその後ろには同じく無傷のレイが居る。


「今だよ! レイ君!」

「おう!」


 レイの姿が消えた。彼は瞬間移動でマンティコアの背後へと移動した。


「その邪魔な翼をもらうぜ!!」

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 マンティコアの背後に現れたレイは、太刀を大きく振りかざしコウモリのような翼に振り下ろした。振りぬかれた太刀はマンティコアの翼を真っ二つに縦に切り裂いた。浮力を失ったマンティコアは地面に叩きつけられた。大きな音がし、砂埃が舞って床がマンティコアが叩きつけられた衝撃でへこむ。


「これも邪魔だね!」


 落ちたマンティコアに、モーニングスターを頭の上で回しながら、甘菜が背後から近づく。彼女は床に落ちた尾っぽにモーニングスターを叩きつけた。


「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 マンティコアは声をあげた。飛び上がった甘菜はマンティコアの尾っぽをモーニングスターで叩きつぶしたのだ。毒針がある先端から数十センチの場所から叩きかれた尾は、押しつぶされて少量の黄色の液体を床にまき散らすのだった。

 後部ハッチを開けた状態で、V428はホバリングし海上で待機していた。開いたハッチの先に、スナイパーライフルを構え射撃姿勢の未結がおり、彼女に背後に黒田が立って居た。戦況を千里眼で確認していた未結は市場への移動を止め待機していた。彼女は静かにマガジンを外し、エーテル鋼弾がセットされているのを確認し、すぐにマガジンを戻す。


「マンティコアも圧倒しますか…… 他の部隊なら指揮官クラスか十名以上でやっと互角だというのに」


 未結の後ろに立つ黒田がつぶやく。彼がかぶったヘルメットに搭載されたディスプレイには、小型ウィンドウでレイと未結がマンティコアと戦闘する映像が流れている。小型のディスプレイには千里眼を通して見られる未結の映像を共有している。

 黒田のつぶやきに未結が答える。


「アークデーモンを退けた二人ですよ。マンティコアでは役不足な気もします」

「二人ってあなたもでしょう?」

「えっと…… 私は…… 仕留められなかったんです。それで…… ヤマさんを……」


 自信なさげに小さな声で黒田の質問に答える未結だった。黒田は自信なさげに答える未結の肩に軽く手を置いて前方を指さした。


「それは違いますよ。あなたのことを信じてるんですよ。二人はあなたを頼りにしてますよ」

「えっ!?」

「ほらそろそろ。あなたの仕事みたいですよ」


 小型ディスプレイに映しだされた映像にマンティコアが映っている。尾っぽを叩きつぶされたマンティコアが起き上がろうとした前足に投げられたレイの太刀が突き刺さった。太刀は足の骨を砕き床まで貫通した。


「先輩。今です」


 レイからの通信が未結の耳に届く。小さく息を吐いた未結の目が青白く光り、スナイパーライフルの引き金に指をかけた。


「そこです!」


 銃声が響きスナイパーライフルがわずかに上下に動き、V428が発射の衝撃で前後に揺れる。発射された儒弾は一直線に豊洲市場へと向かって行く。卸売場の壁を貫通しマンティコアの頭を貫くのだった。

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