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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第67話 終わった後で

 指を伸ばし左手を前にだし前進の合図を送るレイ。甘菜は盾を前に構え前に進む。彼女の背後でレイはアサルトライフルを構え周囲を警戒している。物が散乱し床に血だまりが出来た廊下を甘菜とレイは進んでいく。二人が進む度に何かにぶつかったり踏みつけたりして物が破壊される音がする。


「……」


 視線を天井に向けたレイ、天井の裏から足音が聞こえる。おそらく天井と二階の床の隙間にゴブリンが入り込んでいるのだろう。天井裏にいるゴブリンは襲い掛かることなく、レイたちが向かう場所を確認しているようだ。


「「ギャっ!? ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」」


 レイは天井に向けてアサルトライフルを発射した。銃声と同時に天井には直径数センチの穴が開き、ゴブリンの叫び声が響く。


「どうしたの?」


 甘菜は天井裏のゴブリンに気付いておらず、急に天井に向けて発砲したレイに驚いていた。


「ゴブリンが居たから撃っといた。見逃しても良かったけど脅しにな」

「そうなんだ……」


 前を向いた甘菜、天井に開いた穴から赤黒い血が垂れてきて、床に血だまりをつくっている。レイは左手を前にむけ薄暗い廊下の先を指す。


「前に進もう。もう上に敵はいない」

「わかったー」


 二人は前進を再開し薄暗い廊下の先を目指すのだった。廊下の席にも建物の入り口と同じく、物を積み上げられたバリケードのような物があり下に、ゴブリンが出入りする用の直径三十センチほどの穴が開いている。

 バリケードの一メートルほど前で二人は立ち止まる。レイはグレネードランチャーの銃身を横にスライドさせ新たな閃光弾を装填する。


「一、二、三でバリケードを破壊しろ。中に突入はするな」

「りょうかーい!」


 返事をした甘菜、レイはアサルトライフルを構え、マガジンの前にあるグレネードランチャーの引き金を指をかけた。


「じゃあ。行くぞ。一、二、三!」

「とおりゃあああああああああああああああああ!!」

 

 甘菜がバリケードを蹴り上げた。激しい音が響きバリケードは蹴り飛ばされ散らばる。バリケードの向こうは天井が高い広い空間だった。ここではかつて食物が並びセリなどが行われていた卸売場のようだ。今はその頃の面影はなく物が散乱し、ゴブリンたちの焚火やトーテムポールなどを建て、骸骨の装飾などが置かれ不気味な空間となっていた。


「「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」」」


 バリケードが破壊されたと同時に待ち伏せしていたのだろう。ゴブリンが一斉に飛び出して来た。レイは未結からの情報で、ゴブリンが待ち伏せしていることは把握しており、飛び込めば襲いかかって来ることも想定

 冷静に彼はグレネードランチャーの引き金を引き、閃光弾を卸売場に撃ち込んだ。音がして発射された閃光弾が床に転がり爆発した。激しい音と光がゴブリンたちを襲う。


「「「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」


 叫び声をあげゴブリンたちは、目を押させてのたうちまわる。


「ギャッ!」


 銃声がして一匹のゴブリンが頭を撃ちぬかれて倒れる。アサルトライフルを構えたレイが左手を前にだす。彼がもつアサルトライフルの銃口から一筋の煙が立ち上る。


「よし銃撃をしながら前へ!」

「はーい」


 タワーシールドを構え前に右手の小型ガドリングを撃ちながら前進する甘菜、レイは後ろでアサルトライフルを構えゴブリンたちを撃ちながら旧卸売場の中央までやって来た。


「ボスは…… あいつか!」


 周囲を見渡すレイ、卸市場の奥に木製のパレットを重ねて築かれた舞台のような物があり、その上に骨と木で出来た椅子が置かれていた。椅子には骨で作られた王冠をかぶった体格が一回り大きいゴブリンが居た。ゴブリンが座る椅子の横には大きな石斧が置かれている。

 椅子に座っている体格が大きいゴブリンはボスゴブリン、文字通りゴブリンたちのボスで、普通のゴブリンもよりも体格が大きく力も強い個体だ。


「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 ボスゴブリンが立ち上がって椅子の横の石斧を振りかざし、レイと甘菜に向かって牙をむき出しにし叫んで威嚇してくる。冷たい目でその姿を見つめるレイは静かに、アサルトライフルの構えを外し腰に戻した。


「グギャ!?」


 目を大きく見開いて驚いた顔をするゴブリンボス。視界に捉えていたレイの姿が消えたのに驚いたのた。レイはゴブリンボスの背後へと姿を現した。彼は手を右肩の上辺りに持っていく天井に向けた左手を右手に添えるようにうごかした。彼の右手に太刀が出現する。素早く太刀を握った彼はゴブリンボスの首をめがけて、水平に太刀を振りぬく。


「!!!!」


 太刀の一閃が旧卸売り場に輝き消えていく。鋭い太刀の一撃でゴブリンボスの首は、真っ二つに切り落とされた。ゴブリンボスは声をあげることもなく絶命し、その首がパレットで作られた台の上に転がった。レイは軽く右手を上下に動かし太刀の血を拭うと再び姿を消した。


「姉ちゃん! 残りを片付けてくれ」

「えっ!? どうやって」


 瞬間移動で甘菜の元へと戻って来たレイが彼女に指示をだした。彼の指示の意味がわからず首をかしげる甘菜だった。レイは言葉を続ける。


「プラズマシールドを展開して全力で大きくして」

「わかった!」


 甘菜は指示通りにタワーシールドを地面に叩きつけた。彼女の体が青白くか輝きドーム状のプラズマシールドが展開された。


「はああああああああああああああああああああああ!!!」


 声をあげプラズマシールドを全力で大きくする甘菜だった。普段なら味方を囲む程度の大きさにしかないならなりプラズマシールドがどんどんと大きくなっていく。


「「「「「ぷぎゃあああああああああ!!!」」」」」


 大きくなったプラズマシールドにゴブリンたちが触れる。彼らの体はプラズマシールドに触れると破裂し肉片と変わる。


「市場全体を囲むくらい大きくするんだ」

「了解! はああああああああああああああ」


 レイの指示通り甘菜はプラズマシールドを、市場を覆いつくすほどに大きく展開した。いたるところでゴブリンの破裂する音と悲鳴が聞こえる。


「ふぅ…… 終わりっと…… 疲れた」

「ありがとう」


 タワーシールドを床から離して小さく息を吐く甘菜だった。タワーシールドが地面から地面から離れると同時にプラズマシールドは消えてなくなってしまった。


「先輩。状況を確認して」

「はっはい」


 左手で耳を押さえる仕草をしてレイが未結に連絡する。V428で射撃姿勢で待機していた未結の目が青白く光りだす。


「残りはほとんどいませんね」

「ありがとう。俺たちは引き続き周囲の警戒をする。先輩たちもこっちへ移動を始めてくれ」

「了解です」


 ゴブリンの掃討が終わりレイは未結たちを呼ぶのだった。


「レイくーん。ゴブリンさんたちはどうする?」

「どこかにまとめておこう。魔石の回収が楽になるしな」

「わかった」


 右手をあげ返事をした甘菜だった。彼女はゴブリンのバラバラなった体を持って一か所に集めだす。レイはジッとバラバラなったゴブリンたちを見つめていた。


「でも…… 簡単すぎるな…… そもそもゴブリンがこんなに大きな場所をどうやって占領」


 レイが難しい顔でつぶやいている。彼が立って居る場所は卸売り場のちょうど中央に当たる。そこは屋根が崩れて直径十メートルほどの穴が開き空が見え日差しが差し込んでいる。周囲は薄暗いがレイが立って居る場所は火罪に照らされて明るい。


「うん!?」


 急に顔を上に向けたレイ。彼の周囲が急に暗くなったのだ。


「マンティコア!!!」

「えっ!?」


 レイが叫び声をあげた。屋根の開いた穴から獅子の体と顔をもち、背中に蝙蝠の翼とサソリの尾を持つ魔物マンティコアが下りてきたのだ。

 マンティコアが爪を立てレイに向かって来る。彼は姿を消して甘菜の元へ瞬間移動した。レイと甘菜は並んでマンティコアと対峙する。マンティコアは目を見開いたイノシシを咥えていた。イノシシを吐き出すように地面においたマンティコア。イノシシは体をけいれんさせ白目をむいている。


「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 眉間にシワをよせレイと甘菜を睨みつけうなるマンティコアだった。


「ねぇなんかマンティコアさん怒ってない? すごい睨んでるよ。私たちのこと」

 

 番傘衆がレインデビルズに、敵意を向けられるのはいつもの事だが、マンティコアは敵意というよりは怒り狂っているように甘菜に見えたのだ。レイは天井の穴を見つめ周囲に散らばるゴブリンに視線を向けハッと目を見開いた。何かひらめいたようだ。


「なるほど…… ここのゴブリンはマンティコアの餌だったんだよ」

「えっ!?」

「ゴブリンは雌が居ねえからね。他から動物とか雌の魔物とか捕まえてこいつらに与えて繁殖させてマンティコアが食うんだろうよ」

「へぇ! 頭いいねぇ。自動おやつ作成機みたいな感じだね」


 レイの推測にうらやましそうにいう甘菜だった。


「あのなぁ…… そんなかわいらしいものじゃなくてもっとグロいけどな」

「えぇ。でも自動でおやつ増えるんだよ。いいじゃん!」

「はいはい」


 甘菜の主張にあきれて首を横に振るレイだった。


「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 マンティコアはさらに大きな唸り声をあげる。声の圧により空気が震えて振動する。


「餌をとられてご機嫌斜めか。うちの姉ちゃんとかわらないな」

「あっ! ひどーい! あんなに怒んないよ」

「うそつけ! ほら来るぞ! 構えろ」


 地面を前足で二度ほど蹴ってからマンティコアは駆け出した。レイは太刀を両手に持って構え、甘菜はタワーシールドを前に向けた。二人はマンティコアを迎えうつのだった。

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