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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第51話 試験の後に

 ダークデイノスクスを倒し、レイたちは周囲の安全を確保した。魔の巣消滅弾の試験を開始する。魔の巣が正面に見える開けた場所へと移動した四人。開けたコースが見渡せる四人が移動場所は、かつてゴルフのティーショットを打つティーイングエリアだった。スナイパーライフルを持つ未結を前にし背後にレイ、甘菜、黒田の三人が横にならんでいる。


「シンシアさん重射撃モードに移行してください」

「リョウカイデス」


 未結のふくらはぎの装甲から、追加の足が飛び出して地面に固定された。彼女はスナイパーライフルを構え照準を魔の巣に合わせる。黒田が彼女の背後に近づく。


「山神博士くんの話からエーテル拡散しやすいように中心に撃ち込んください」

「りょっ了解です」


 少し緊張した様子で未結は黒田に返事をした。ディスプレイに映る卵型の巨大な紫色をした雲の塊である魔の巣を見つめていた。


「姉ちゃん。射撃が終わったら前に出てレインデビルズが来るかもしれないから」

「わかったよ」

「黒田さんもいつでも射撃できるように待機してください」

「わかりました」

「先輩。いつでもいいですよ」


 射撃後の指示を出したレイは未結に声をかけた。未結は左手をあげ、スナイパーライフルをまた構えると、照準を黒田に言われた通りに魔の巣の中央に合わせた。彼女の目がわずかに青白く光り出す。

 静まりかえる放棄されたゴルフクラブ、わずかな風が吹いて地面の草がわずかに揺れている。


「そこです!」


 引き金を引く未結。沈黙を切り裂き銃声が轟く。空気を切り裂きながら一直線に、魔の巣へと銃弾が向かって行く。銃弾が雲を貫通していく、レイたちの位置からはわずかに開いた穴と、青白い稲光のようなものが魔の巣の中から発生しているのが見えた。


「雨が降り出しましたね……」


 じっと魔の巣を見つめていた未結がつぶやく。わずかに魔の巣が青白く瞬いた直後に、雲の色が濃くなり魔の巣の下から雨が地面へと落ちていっていた。

 指示通りに甘菜は、未結の前に出て黒田は拳銃を抜く。レイは太刀を肩に担ぎ、周囲を警戒しながら魔の巣の状況を見つめていた。

 時間と共に雨足は強くなっていく、それに比例して魔の巣は徐々に小さくなっていった。数分も経たずに魔の巣は消え空は青くなった。


「魔の巣は消えちゃったね」

「あぁ。実験は成功か…… でも」

「えぇ。後は魔の巣からレインデビルズが出ているかですね」


 三人は魔の巣が消えた空を見て話しをしていた。レイは前を見て狙撃を終えた未結に声をかける。


「先輩!」

「今、確認します」


 スナイパーライフルから左手をはなしこめかみ辺りに手を置く未結だった。千里眼により彼女の視界に、魔の巣の雨が降った場所の光景が見えてくる。魔の巣の真下にあった、木々に囲まれた森の光景が未結に見える。

 そこには魔の巣から落ちて来たと思われるオークの集団が居た。オークの数は二十体ほどで、手には剣や槍を持って森を抜け出そうとしているのか集団で駆けていた。


「やっぱりレインデビルズは出ましたね。オークです…… 数は二十体ですね…… はっ!?」


 視界を操り駆けているオークを追いかけていき数を確認していた未結。視界が先頭まで行くと彼女は何か異変に気付いた。オークたちは森を抜けるために駆けていたのではなかったのだ。


「どうした。先輩?」

「人…… 子供…… こっ子供がオークに追われてます」

「はっ!? 子供って…… なんだってこんなとこに」

「わっわかりません。ただ本当に女の子がオークに激しく追われているんです!!!」


 未結の視界には金髪の白服を着た小さな女の子がオークから逃げる姿だった。壁の外に子供が一人でいるのが信じられないレイだったが、未結の必死な様子と彼女が嘘をつくはずがないので、すぐに子供のことを信じるのだった。


「クソ! 視界をすぐにリンクしてくれ! 俺が行く!」

「私も!」

「わかりました」

 

 手をあげて自分も行くと言う甘菜、レイはうなずいて彼女に近づき肩に手を置いた。未結は青白く光る眼が強く光り出す。レイの視界が変わっていく。


「先輩は俺たちのフォローを頼む。黒田さんは先輩を頼みます」

「りょっ了解です」

「わかりました。気を付けてレイ君、甘菜君」


 振り向いたうなずいたレイ、直後に彼と甘菜の姿が黒田と未結の前から消えた。

 レイたちが居たゴルフクラブから、北に二百メートルほど行った森。うっそうと草木が生える森を未結が見た少女が逃げていた。背は小さく年齢は十歳くらいの少女だった。彼女はすらっとした高い鼻に目はぱっちりとして青く綺麗な瞳を持っち口は小さく唇は薄いピンクの美しい少女だった。輝く金髪のストレートの髪に肌は白く透き通っていた。服装は短い裾の白いワンピースに足は長い革のブーツを履いていた。


「ウガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

「ガアアアアアアアアア!!」

「ヒッ」


 不安そうに振り返り涙目になる少女、必死に逃げる彼女の後ろにオーク達が迫っていた。走る度に彼女の服の裾が、木にひっかかり破かれてぼろぼろになっていく。


「キャッ!」


 湿った落ち葉に少女は足を滑らせこけてしまった。前のめりに倒れた少女の綺麗な顔に泥がかかる、すぐにたちあがり泥らだけになった服にかまわず彼女は前を向き走り出す。

 しかし、すぐ後ろに一体の槍を持った、オークが迫っており彼女の長い髪に手を伸ばす。


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 悲鳴をあげ苦痛に顔を歪ませる少女。オークは彼女の髪を掴んだ左手に髪を巻き付けるようにして、自分の元へと引き寄せた。少女を引き寄せ持ち上げ、オークは自信の顔を彼女に近づける。醜く下あごが突き出たオークがにやりと笑う。少女の鼻をオークの口から洩れる、生臭く何かが腐ったかのようなにおいが刺激する。


「ウッホホホ!!」


 少女の破れた服を見て興奮し鼻息を荒くするオークだった。少女の右手が赤く薄っすらと光っているのにオークは気づかなかった。少女はオークの顔の前に自分の手を出した。


「シーアオンダイース!!」

「うがああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 少女が叫ぶと同時に右手から炎が噴き出しオークの顔を焼いた。顔を真っ黒に焦がされたオークは仰向けに倒れた。


「アンバラニア、ランドクイナ!」


 必死に叫びながら少女はオークの左手から自身の髪を外す。


「うがああああああああああああああああ」

「キャッ!!」


 別のオークが少女に飛び掛かった。少女は押し倒された地面を転がる。少女は倒れてもはって逃げようとした、だが、すぐにオークは立ち上がったオークが彼女の首を左手で掴んで持ち上げた。オークは武器を持っておらず、後ろからつかんでいた少女の首を今度は右手で前からつかみなおす。オークは少女を木に押し付けた。


「うーーーーーーーー!!!」


 声が出せずに苦しそうにオークの右手を両手に掴む少女。彼女は必死に抵抗してオークを足でけっていた。裾がまくりあがり白い下着と太ももがオークにあらわになる。


「うがああ」


 少女のあらわになった、太ももと下着を見てニヤニヤと笑うオークだった。オークが少女を強姦しようとしているのは明白だった。少女の綺麗な青い瞳に涙が浮かぶ…… オークは少女を生まれたままの姿にしようと、体に左腕を伸ばしそうとする。


「うがああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


 少女は呆然と目を大きく見開く。彼女の目の前が一瞬だけ光ったと思うと、頬に生暖かいべっとりとした赤い液体が降りかかった。同時に息苦しさが少し和らぎ地面へと体が落下する。オークの右腕が斬り落とされたのだ。;

 右腕が斬り落とされたオークの横にはレイの姿が見えた。


「おらよ!」


 腕を斬られたオークを蹴り飛ばすレイ、オークは吹き飛び近くの木に当たって動かなくなった。そこへすかさず。


「ふん!」

「ブギャアアアアアアアアアアアアア!!!」


 甘菜のモーニングスターが横から飛んで来てオークの頭は叩きつぶされた。


「うがああああああああああああああああ!!!」

「邪魔だよ」


 レイの姿が少女の前から消えた。レイは太刀を構えた姿で、別のオークの前に姿を現した。横から水平に振りぬかれた太刀は、目の前のオークを腰の上を切り裂き真っ二つに切り裂いた。レイはすぐに姿を消し次のオークの元へと向かう。


「ふんふん!」

「「ぷぎゃ!!」」


 森を進みながらモーニングスターを振り回す甘菜。彼女のモーニングスターは木をなぎ倒し次々にオークをつぶしていく。


「「「ウガアアアアアアアアアアアアアアア!!」」」

 

 レイと甘菜によって二十体いたオークはあっという間に残り数体になっていた。二人にかなわないと察したオークたちは背中を向け一目散に逃げだした。


「逃がすかよ!」


 太刀を地面に刺したレイはアサルトライフルを抜く。右腕を伸ばし引き金を引く。銃声が響いて銃弾が発射され逃げ出したオークたちは倒れていく。

 

「ふぅ」

「全部やっつけたね」

「あぁ……」

 

 銃撃を止め息を小さく吐くレイの横から甘案が声をかけてきた。二十体のオークはすべて二人によって倒された。

 レイは甘菜を連れ少女の元へと戻ってきた。少女は木の下でしゃがんで呆然としていた。自分で外したようで喉首をつかんでいたオークの右腕が彼女の足元に転がっていた。

 近づいてきたレイと甘菜を少女は見上げる。レイは彼女に声をかける。


「えっと…… 俺たちは番傘衆特務第十小隊。君は?」


 レイの言葉を聞いた少女はハッとした表情をし口を開いた。


「エッタリア! エルズ!」

「なっなんだ!? どこの方言? いや外国語か…… シンシア! 翻訳を……」


 少女が出した言葉はレイは、聞いたことのなく容姿から日本人ではないと判断し、彼はシンシアに言語の翻訳を依頼した。


「デキマセン。コノゲンゴノホンヤクハプログラムデロックサレテイマス」

「はぁ!? なんだよ。それ…… っていうかロックって……」


 シンシアの回答に不満を漏らすレイ、彼の横にいた甘菜は少女を指して口を開く。


「レイ君…… 耳を見て…… 人間じゃないよ。この子」

「えぇ!? なんだよこれ」

「エッエルフさんかな……」

「はぁ!? エルフって……」


 甘菜に言われたレイが再度少女を見た。叫んだ時に少女の髪が乱れて、綺麗の髪の隙間からピンと長く上に細長く伸びた耳が見えた。甘菜の言う通り少女は地球人ではなく、レインデビルズとして異世界からやって来たエルフだった。レイと甘菜は彼女の耳を見つめ呆然とするのだった。


「エッタリアー!」

「「あっ!」」


 エルフの少女は二人に向かって叫ぶと、糸が切れた人形のように倒れてしまった。レイと甘菜は慌てて少女の元へと駆け寄るのだった。

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