第43話 最下層の悲劇
海水採取船ビューティアプリコット。船内は警報が鳴り響き、レインデビルズの襲撃を知らせる赤い警告がブリッジの横で激しく回転している。サハギンは百体以上が乗り込み作業員と中学生たちに襲い掛かっていた。
船内にある食堂。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
積まれたテーブルと椅子の向こうの、ドアが激しく叩かれサハギンの声が響く。中学生が残ったテーブルの下にうずくまって隠れていた。
食堂の中央付近に置かれたテーブルには冬羽が隠れ、目の前に英翔が春奈に覆いかぶさるようにして隠れている。二人の後ろにテーブルにはもう一組の男女が隠れていた。
「あんたがここでサボろうなんていうから! もう最低!」
「はぁ!? お前だってのりのりだったろ! うるせえな!!」
「二人とも! 静かにして」
「「チッ!」」
顔をあげ英翔と春奈に注意し、二人を蔑んだ目でみる冬羽だった。
英翔と春奈と友人二人は、授業をサボろうと船の最下層にある食堂に隠れていた。冬羽は男子生徒と美里を探していたところ、彼らを発見し注意しに食堂へ。その後、サハギンの襲撃にあい五人は扉を塞いで隠れていた。他の生徒たちは作業員により、ブリッジと倉庫へ分かれて避難していた。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……」
サハギンの声が徐々に遠くなり気配が消えていく。五人はホッと安堵の表情をし、ゆっくりとテーブルの下から出て来る。
しかし、その直後……
「「「「「!!!!」」」」」
再び激しく扉が叩かれ五人は同時にドアを見た。だが、叩く力は弱くその後にすぐに人間の声がした。
「開けてください。倉です」
扉の向こうには美里がいるようだ。レインデビルズに襲われ皆とはぐれ心細かった五人は、顔を見合せるとすぐにバリケードとして積み上げたテーブルや椅子をどかすのだった。
泣きながら女子生徒が、パリケードが撤去された扉を開け飛び出す。
「先生!!! よかった…… キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
飛び出した女子生徒に見えたのは腹を撫でながら微笑む美里だ。美里の元に駆け寄ろうとした女子生徒の横から腕が伸びて来た。やや湿った鱗がざらざらとした青い腕、不快な生臭い臭いが彼女の鼻の奥を刺激する。女子生徒は横から手を伸ばしたサハギンに引き寄せられ拘束されてしまった。
「「「「ひぃ!!!」」」」
サハギンの姿を見て悲鳴を上げる冬羽たちだった。美里は笑いながら前を指さす。彼女の後ろからさらに二体のサハギンが飛び出し扉の中へと走り込んだ。
「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」」
部屋に飛び込んだサハギン二体は、三又の槍を四人に向け威嚇するように叫ぶ。四人は後ずさりしながら、部屋の中央に集められるようになった。
サハギンに続いてゆっくりと美里が食堂の中へ入って来た。
「どっどうして先生!!! なんで魔物と……」
冬羽が美里に向かって叫んだ。首をかしげ美里は必死な彼女を不思議そうに見つめていた。
「どうして? 私はあなた達に幸せを届けに来たのよ」
「しっ幸せ……」
視線を春奈と英翔に向けた美里は嬉しそうに笑った。
「ねぇ? 覚えてる? 少し前にも同じようなことあったわよねぇ。私は川に引きずりこまれ…… あの時は怖かったわ。でも…… 私はおかげで選ばれたの……」
「いや…… あれは…… でも先生は普通に救助されたんじゃ…… 半年くらい入院したけど……」
「そっそうよ! それにあたしじゃない! こいつが……」
「違うお前が!!!」
互いを指さして責任を擦り付けあう英翔と春奈。実は昨年に行われた、壁外での社会科見学で今回と同様にサボろうとして、二人を探しに行った美里はサハギンに襲われていた。その後、治療を受け入院していた病院でユースレスアンブレラの勧誘を受け組織へと加わったのだ。
「先生は確か…… 入院先で旦那と知り合って……」
美里は愛おしそうに、腹を撫でる姿を見つめ冬羽の顔が青ざめていく……
「はっ!? そのお腹の子供って……」
「そう…… 聖獣様の卵が入ってるの…… 素晴らしいでしょ?」
笑顔で答える美里、四人は自分の担任から出た言葉に絶望する。
「「うわ」」
「「「キャッ」」」
巨大な何かがタンカーに、ぶつかったのか激しく船が揺れた。激しい揺れみんな驚き、なんとか踏ん張って耐えていた。ただ美里だけは平然と立って満足そうに笑顔を向けていた。
「なっなんだよ…… これ」
「新しい世界への使者が来たみたいね。みんなで行きましょう」
両手を広げて微笑む美里、温かいまなざしで生徒たちを見つめる、その姿はまるで聖母のように輝いて見える。しかし、同時になんとも言えない恐怖が漂っていた。
「先生! ごめんなさい! 許して!」
恐怖にたえきれず春奈が土下座をして許しをこう。美里は変わらず春奈に優しい笑顔を向けていた。
「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」」
「「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」
とつじょ二体のサハギンが槍を突き出した。男子生徒と英翔は腹をつかれ悲鳴をあげる。突き破られた二人のはらから血が出て槍を伝って血がぽたぽたと流れる。二体のサハギンは槍を抜いた。一体のサハギンは引き続き冬羽たちに槍を向けていた。もう一体は……
「バリバリ…… ごっくん」
サハギンの一体は倒れた英翔の横にしゃがむと顔を腹につっこみ食べ始めた。租借動作が激しくなり、赤い血と肉と臓物が床にぶちまけられる。
「いっいやあああああああああああ!!!」
「うっ」
膝をついたまま体をあげ、春奈は泣き出し叫び声をあげ、冬羽は凄惨な光景に吐き出しそうになってしゃがむ。
「大丈夫よ。あなた達ももうすぐ選ばれるわ…… おいで!」
二人の前に立った美里は振り返り手招く仕草をする。女子生徒を羽交い絞めにしたサハギンが部屋の中へと入って来た。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
連れて来られた女子生徒を見た、サハギンが立ち上がって声をあげた。
「うん。たくさん栄養を取って元気になったわね。頑張って!」
起き上がったサハギンの股間から、赤い管のような垂れ下がっている。美里はそれを見て満足そうにうなずく。
サハギンは股間から管をぶら下げたまま羽交い絞めにされている女子生徒の前に立った。女子生徒を拘束していたサハギンが、手を緩め彼女を投げ捨てるようにしてはなす。
投げ出された女子生徒は膝をつき英翔を食ったサハギンの前に膝をつく。サハギンは両手で女子生徒の頭を押さえつけた。サハギンの股間からぶら下がった管がピンと張ってまっすぐに伸びた。サハギンは女子生徒の顔をひきよせ、管の先を彼女の口元へと持っていく。
「きゃっ!? いや! やめて!! んーーーー!! ぐはああああああ!!」
強引に管を口にねじ込もうとするサハギン、女子生徒は必死に抵抗する。サハギンは右手を頭から離し女子生徒の頬をつかんで強引に口を開けさせた。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
「グボォォォォォ!」
わずかに開いた口に強引に管をねじ込む。管は長く彼女の喉をこえて体の中へ。目を大きく見開き苦しそうに声をあげる女子生徒だった。
「なっなにを……」
管を口に突っ込まれる同級生を呆然と見つめる冬羽だった。
「あれはサハギンの卵管よ。あなたたちの体に卵を産んでくれるのよ。よく見て!」
嬉しそうに女子生徒を見ろと言う美里。女子生徒に突っ込まれた管にゴルフボールくらいのでこぼこが先端へとうごめいていた。女子生徒は口の端からよだれと、サハギンの白い体液を流して床に染みが点々と出来ていく。
「ぶほぉぉぉぉぉ!!!!!」
管が女子生徒の口から飛び出した。白いドロッとした液体が女子生徒の口から洩れていく。彼女の腹はぱんぱんに膨れてブレザーとシャツははちきれ、スカートもずり落ちてうっけつした肌が見えていた。
女子生徒は仰向けに倒れ、光を失った目で呆然と天井を眺めていた。サハギンに性別はなく卵生、卵を他生物に産み付け種族を増やす。卵を産み付ける際の性別はどちらでも構わないが、主にメスに卵を産み付けオスは産卵前の栄養補給に捕食されることが多い。特に人間の場合は女性の方が卵の栄養となる脂肪が多いためサハギンは意図的に女性に卵を産み付け男性は食料という扱いになる。
「ふふふ…… これであなたも聖獣様の御子を授かるわ」
しゃがんで床に転がった、女子生徒の頭を撫でる美里だった。
「次は……」
立ち上がった美里は冬羽と春奈を交互に見つめる。呆然とする冬羽、泣いていた春奈はハッという顔をした。黙ったまま春奈の右腕は自然と上がって冬羽を指さした。美里は春奈を見てにっこりと微笑む。
「じゃあ次は香川さんね」
「えっ!?」
美里が春奈をさすと男子生徒を食べていたサハギンが立ち上がる。血を口の周りべっとりとすけたサハギンが春奈に近づく。
「来るなよ! あいつに行けよ! 来るな!」
必死に叫びながら春奈は、冬羽を指した。近づくサハギンを蹴ろうと彼女は足をあげた。
「あらあらはしたない。でも元気そうね。下からでいいわよ」
優しくサハギンに声をかけた美里。サハギンは蹴り上げられた春奈の右足をつかんだ。次に左足をつかみ両腕を広げ股を開かせた。スカートの下に履いていた青い短パンがサハギンにさらけ出される。
「へっ!? いやだ! やめて!」
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「キャッ!」
抵抗し足を閉じようとした春奈、サハギンは右手をはなすと素早く彼女を殴りつけた。頬がはれ鼻から血を流す春奈は大人しくなった。サハギンはスカートの裾をあげ、短パンをつかむと強引に引きずりおろした。彼女の青色の下着がサハギンに見える。サハギンは淡々と彼女の下着もはぎ取る。
サハギンは春奈の上に覆いかぶさった。腰を動かしサハギンは股間の管を彼女の股へと近づける。顔を横に向けた春奈、自分が置かれた状況に絶望した彼女の目の光は徐々に失われ瞳には恐怖で口を覆い固まったままの冬羽が映っている。
「たっ助けて……」
最後の気力なのか春奈は手を伸ばし冬羽に手を伸ばす。しかし、冬羽は混乱と恐怖で首を横に振り体を足を床について座ったまま少し後ろに下がっていく。春奈は冬羽を見て表情が変わっていく。眉間にしわを寄せ冬羽を睨みつけた。
「おい! 逃げんなよ。お前! 真面目しか取り柄のない良い子ちゃんのくせに! 代われ! 代われよおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
春奈は必死に冬羽に手を伸ばし叫ぶ。直後にサハギンは表情を一つ変えずに、管で彼女を貫いた。なにかがこすれる音が春奈の体内から彼女の耳に届く。春奈に腹を圧迫する息苦しさと体を引き裂かれるような痛みが走る。
泣きながら叫び声をあげる春奈。女子生徒の時と同じくスカートの裾からわずかに見える管が伸縮しながらうごめく。春奈の腹が徐々に膨らんでいく。
「いっいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
!!!!!」
体に侵入した生暖かい管の感触と、膨らむ自身の腹…… 彼女に冷酷に着きつけられた現実。春奈は頭で自分が何をされたかということを、理解すると襲い狂ったように泣き叫ぶのだった。
「ふふふ。あらあら。気に入ったのね。いいわよ。いっぱいあげなさい」
膨らむ春奈の腹を見て嬉しそうに笑う美里だった。目の前の光景に冬羽は腰を抜かし、恐怖で動かずゆっくりと後ずさりするしかできなかった。




