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エンディングへ


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 冬期休暇の後は2度目の闘技大会、3度目のテスト、そしてゲームのエンディングである終業式だ。

 闘技大会は前回と同じで1年の部はエルネストが優勝、2年の部ではシャルルが優勝、2位がフィリップだった。

 その結果にシャルルは納得したような、していないような微妙な気分だった。ゲーム上ではカロリーヌが応援した攻略対象が優勝していたのだ。カロリーヌの愛が足りないとは考えられないので、試合後に「手心を加えるなと言っただろう」と不満を伝えると、珍しく不機嫌そうなフィリップから「人間では貴方に勝てませんよ」と言われた。

 テスト前にはカロリーヌは相変わらずシャルルと、つまりフィリップと勉強会をした。

 もうバレているのだからとシャルルはフィリップにカロリーヌの勉強を見てもらおうとしたのだが、フィリップに必死で止められてしまったので結局これまで同様シャルルが勉強を教えてフィリップはその背後に控えるという形だった。



 そしてあっという間に時間は流れ、本日は終業式。

 式は滞りなく終わり、シャルルはひとり屋上ではしゃぐ生徒たちを見下ろしていた。

 ゲームはこれで終わり、後は数年後の幸せなエンディングを残すのみだ。

 誰も死んでいない。シャルルも生き残った。


(お兄ちゃん頑張ったよ)


 シャルルの胸には嬉しさと共に目標を達成してしまった後の喪失感のようなものが広がって、なんだか無性に前世の妹に会いたくなった。


「やーっと見つけた!」


 ふいに後ろから声をかけられて振り返る。そこにいたのはエリックで、シャルルの顔を見て目を丸くした後、兄の様な顔で微笑んだ。


「久しぶりに泣き虫王子になってるな。どうした? 何かあったのか?」

「ううん、何でもないよ。ただ卒業する先輩たちを見て来年は僕も卒業かぁって感傷的になっちゃっただけ」

「流石にその感傷は早すぎるぞー。1年後までとっとけ」

「ははっ、そうだね。ところで何か用だった?」

「用ってか、お前フィリップにオレと一緒にいるって言ったろ?」

「だってそう言わないと離れさせてもらえないから」


 シャルルが傍にいてはフィリップも告白の返事をしにくいだろうというシャルルなりの気遣いだ。


「やっぱりな……さっき遠くからこっち見て凄い顔してたからそうじゃないかと思った」

「カロリーヌは一緒だった?」

「たぶんな。遠目で人混みの中だったから分かりにくかったけど、たぶんあれはカロリーヌ殿下とイザベルだったと思うぞ」

「そっか」


 シャルルがここに来てから30分は経つ。

 イザベルがいるなら護衛の必要はない。それでも一緒にいるということは、きっと上手くいったのだろう。


「あ! シャルルいた!」

「クロエ」


 次にやってきたのはクロエだった。

 クロエはシャルルとエリックが並んでいるのを見て一瞬頬を染めたが、ハッとした顔をした後軽く頭を振った。星祭り前に明かされたことを思い出したのだろう。


「お邪魔だったかしら?」

「大丈夫だよ。どうしたの?」

「あれ? シャルル、泣いてた?」

「はは、バレた? ちょっと感傷的になっちゃって」

「カロリーヌの卒業式でも重ねちゃった?」

「そんなの想像してたらもっと号泣してるよ」

「あはは、それもそうね」


 シャルルがクロエと話している横で、エリックがもぞもぞと居心地が悪そうにしている。


「えっと、オレ、そろそろ行くな?」

「え? なんで?」

「いや、明らかにオレ邪魔だろ」

「何言ってんのさ。今までだって3人でいることなんてよくあったじゃないか」

「それは婚約者だなんて知らなかったからだろ」

「エリックが知らなかっただけで僕らはずっと婚約者だったんだから今更変に気を遣わなくてもいいよ。それにどこに行くの? フィリップに見つかると面倒だよ?」

「他人事みたいに言うんじゃねーよ、お前のせいだろ」


 シャルルとエリックが言い合いをしていると、クロエが「あ」と声を上げた。


「そうよ、私、そのフィリップに言われてシャルルを探してたの」

「へ? クロエがフィリップに?」

「正確にはフィリップがシャルルを探してて、彼と一緒にいたカロリーヌから『見かけたら教えて』と頼まれたのよ」

「ああ、成程」


 クロエの報告に、思わずシャルルの顔が綻ぶ。


 この後聞けるのは、きっと幸せな報告。


「じゃあ、2人のところに行こうか」


 不幸を嘆きながらも必死でもがいて辿り着いた、幸せに満ちたエンディングを迎えに。



始めまして、またはお久しぶりです。はねうさぎです。

本作は同シリーズ『令嬢ベルナデットは~』の補足のようなものとして書き始めた作品でした。

ベルナデットの方は割と何も考えずに書いていたのに比べ、シャルルの方はシナリオに沿って、変えて、割と考えながら書いていました。

それと、シャルルは常に必死ですが、話としてはあまりシリアスにならないようにを心掛けていました。

読んでくださった方に少しでも気に入ってもらえたら嬉しいです。

では、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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