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運命の日


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「今年も星祭りは参加されないのですか?」

「そうだね。公表していないからクロエを誘う訳にもいかないし、僕が参加しない方が皆楽しめるだろうしね」


 『星祭り』というのは、冬期休暇前の学園行事だ。ホールの天井に魔法で星空を移し、その下で舞踏会を行う。

 学園には平民も多く通っている為、舞踏会といっても堅苦しいものではなく好きなように楽しんで新年を祝いましょうというもの。学園設立当初から続く伝統行事ではあるが、参加は強制ではない為シャルルは去年も欠席している。


(そもそも、それまで生きていられるかどうか)


 ゲームではシャルル殺害イベントはテストと星祭りの間に起こった。フワッとしたイベントだったので正確な日付や場所、どうやって殺されたかなど全てはっきりしないのが痛い。

 そして現実では、先日テストは終了している。


「去年も言ったけど、僕が出ないからってフィリップまで欠席しなくて良いんだよ? 僕のことなら心配しなくてもその間くらい部屋で大人しくしてるし」

「あり得ません。そもそも舞踏会というものに興味がありませんので」

「えー? でも誘いたい相手とかいないの? カロリーヌとかカロリーヌとか、あとカロリーヌとか」

「シャルル殿下、この間からどうしたんですか? そんなに言われると何かあるのかと勘ぐってしまいますよ?」


 ため息をつきながらそんなことを言われ、シャルルは肩を竦めた。


「何もないよ。ただカロリーヌを幸せにしてくれるのは誰だろうっていうのはいつでも僕の最重要事項なわけで、最近君が僕の中で赤丸急上昇だから上手いこといってくれたら嬉しいなって思ってるだけ」

「カロリーヌ殿下のお相手はカロリーヌ殿下が選ぶべきですし、自分はしがない一使用人です」

「それは勿論、カロリーヌの相手はカロリーヌが選ぶとも。だけど身分は関係ないよ。僕はカロリーヌが幸せになれるならそれがスラムの人間だって構わない」

「スラムの人間と一緒になってカロリーヌ殿下が幸せになれるとは思えませんが」

「そんなことないさ。カロリーヌが選ぶ相手だよ? ダメ人間なわけがない。だからもしカロリーヌが君を選んだとしたら、僕は諸手を上げて祝福するとも」

「勝手に前提を捏造しないでください」


 呆れたように言うフィリップにはいはいと返事をしながら、シャルルはにやけないように苦労した。

 フィリップは隠しているつもりだろうが、いつもより目が泳いでいるし、耳も赤くなっており動揺が隠しきれていない。

 現状彼がカロリーヌのことを好いているというわけではないのだろうが(というか考えたこともなかっただろうが)、今の会話で少しは意識させることが出来た筈だ。そしてシャルルから見て感触は悪くない。

 まあもしカロリーヌの好きな人がフィリップじゃなかった場合フィリップには申し訳ないが、その時はその時である。


「さあ、そろそろ行かないと遅刻しますよ」


 早くこの話題を切り上げたいフィリップが時計を見てこれ幸いとばかりにシャルルを促す。シャルルも時計を見れば、遅刻するような時間ではないが確かにそろそろいつも部屋を出る時間になっていた。

 準備はとっくに終えているのでフィリップに続いて部屋を出ようとしたのだが、何かに気が付いたフィリップがドアを開けたところで身を屈めた。


「手紙?」

「そのようですね。確認しますので少々お待ちを」


 どうやら部屋の外に置かれていたようで、何も書かれていない白い封筒をフィリップが開封して中の手紙に目を通す。

 読み始めた瞬間不快そうに眉間に皺を寄せ、読み終わるとその手紙を封筒に戻し、彼の懐に入れた。


「何だったの?」

「シャルル殿下の目に入れるような内容ではありませんでした。これは自分が処分しておきます」

「え、何? 悪口でも書かれてたの?」

「いえ……」


 フィリップの反応からシャルルのことを良く思わない相手からの不幸の手紙的なものかと思ったのだが、どうやらそうではないらしい。

 しかし否定をした後に言葉を濁し逡巡している様子から、一体何が書いてあったのだろうととても気になった。


「そんなに言いづらいことが書いてあったの?」

「……そうですね。知らない方が幸せかと思いますよ」

「そこまで言われたら逆に気になるんだけど」

「そこまで言うなら言いますが、内容はシャルル殿下へのラブレターです。あまりに卑猥な内容なのでお見せすることは出来ませんが」

「え゛」


 手紙が置いてあったのは部屋のドアの前である。つまり男子寮の中。


「えと……女の子からだよ……ね?」


 シャルルの問いかけに、フィリップは憐れむような視線を返した。

 知らない方が幸せな事もある。シャルルはフィリップの言葉を痛感して、このことは早々に記憶から消すことにした。


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