闘技大会
24.07.14 誤字修正しました。ご報告ありがとうございました。
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麗らかな秋の日。本日は闘技大会である。
ゲーム上でもこのイベントはあるのだが、これはテストイベントのような能力アップのイベントではない。カロリーヌ自身は癒しの能力に特化しているため、こういった戦うようなことには不向きであり1回戦で敗退する。
では何のイベントかと言うと、当然乙女ゲームらしく好感度アップイベントである。
まず、カロリーヌがどの攻略対象を応援するかによって大会の結果が変わる。応援された攻略対象が優勝するのだ。愛の力である。
次に、この大会中はまるでお祭りのように屋台が出ており、大会の後は選んだ攻略対象と共にお祭りデートをして好感度を上げるのだ。
大会は1年、2年、3年の順に行われる。
シャルルは当然カロリーヌを応援したが、やはり戦うことは苦手なようでゲームと同じように1回戦で負けてしまった。
「お疲れ様、カロリーヌ。がんばったね」
「せっかくお兄様に応援して頂いたのに、1回戦敗退なんて不甲斐ないですわ」
「聖女の力は癒やす力だから、こういう大会とはちょっと相性が悪いかもね。けど魔力制御はしっかり出来ていたと思うよ。流石カロリーヌだね」
「けれどお兄様ならたとえ聖属性しか使えなくても優勝してしまえるでしょう?」
「それはどうだろうねぇ」
シャルルはカロリーヌの発言に困った顔で曖昧な返事をした。
去年の大会にて、あまりにも簡単に勝ててしまうためシャルルはとある可能性に気づいた。八百長である。
(シャルルはこの国の王位継承者。加えて学園ではあの態度。そりゃあ面倒事を避けるためにもわざと負ける方を選ぶだろう。僕も逆の立場ならそうする)
一度そう考えるともうそうとしか思えなくなり、ならばせめて大会をしらけさせない為にもあからさまな忖度と見えないようにと気を付けながら優勝させてもらった。
とシャルルは思っているが、実際はそんなことはない。
確かに何人かはそんな考えを持っていた生徒もいたが、蓋を開けてみるとシャルルはそんなこと考える必要もない程強かった。
それに気づいていないのは本人のみである。
「あ! ベルナデットとエルネストの試合が始まるみたいです!」
カロリーヌの声に、シャルルは舞台上に視線を落とした。
「ちなみにカロリーヌはどっちを応援するの?」
「勿論ベルナデットよ! エルネストはお兄様の応援さえあれば十分ですもの」
「ははは」
離れた観客席にいるカロリーヌの声が聞こえた訳でもないだろうに、絶妙のタイミングでエルネストがこちらに気づいたのでとりあえず軽く手を振っておいた。
余裕そうなエルネストに対して、ベルナデットの方はソワソワした様子でどこか落ち着かないようだ。
(カロリーヌがベルナデットを応援しているということは、もし、仮に、万が一ベルナデットが攻略対象に入っていた場合優勝する筈。ベルナデットには悪いけど、どうか彼女が優勝しませんように!)
そんな祈りが通じたのか試合に勝ったのはエルネストで、シャルルはベルナデットと隣で肩を落とすカロリーヌには申し訳ないと思いつつホッと胸を撫でおろした。




