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二度目の二コラとの予定は、二コラから手紙が来て中止になった。
手紙には先日のお礼と自分から誘ったのに中止にして欲しいということへのお詫び、それからシャルルに言われたことについて少し考えてみるという内容が綺麗な文字で綴られていた。
一日の予定を終えて寝支度を終えた自室でその手紙を読み、シャルルはひとつ息をついた。
「上手くいってくれたらいいんだけど……」
持っていた手紙をテーブルの上に落とし、シャルルはベッドに飛び込んだ。
ゲームではこのイベントで好感度が上がることによって二コラが自分の行動に迷いを持つようになるが、まだスパイをやめるまでの心境の変化には至らない為暫く彼の行動は変わらない。
「この後に何か決定的なイベントがあった気がするんだけど……う゛~~~ん、何だったかな」
シャルルはベッドに転がりながらうんうんと唸った。
その存在を忘れていたことからも分かるように、実のところシャルルは二コラについてほとんど覚えていない。前世の妹が二コラはいまいち好みじゃないからと、エンディング回収のために一度プレイしたのみだった為だ。逆に他の攻略対象については何度も周回していたためここまで記憶が鮮明なのだが。
「しかも攻略サイトを駆使して最短ルートを作業的に突き進んでたもんなぁ。会話もめっちゃ飛ばしてたし。寧ろ今回のイベントのことを覚えてた方が奇跡だよ……よし」
二コライベントを思い出すのは諦めよう。
シャルルは考えた末にそう決めた。そもそも大部分をスキップしていたので、覚えていないどころか知らない可能性の方が高いからだ。
隣国のスパイと言う肩書きから、二コラがシャルル暗殺に関係していた可能性も無くはないが……
「二コラルートでも結局シャルルは死んでたし、関係ないだろ。ヒロインの兄を殺しておいてヒロインと幸せに暮らすとかどんなサイコホラーだよって話だし」
まあ残念ながら可能性はゼロではないので、シャルルはその可能性も一応頭の片隅には置いておくことにして布団を被り目を閉じた。




