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「カロリーヌ、少し散歩をしないかい?」
「まあお兄様、今日も公務の予定では?」
「予定が変わって少し時間が出来たんだ。せっかくだからカロリーヌと一緒に過ごしたいと思って。カロリーヌも最近ずっとここに籠っているだろう? 少し息抜きした方がいい。僕と散歩でもどうかな?」
「ふふ、ならご一緒させていただきますわ」
そう言ってシャルルはカロリーヌを連れ出した。目指すはエルネストと出会った中庭だ。
現実ではシャルルとエルネストとの出会いの場だが、ゲーム上ではエリックがコルヌに襲われた場所である。
「あれ? エリック?」
「おー、シャルル殿下。カロリーヌ殿下も」
実際コルヌに襲われたのはシャルルとエルネストだったのでもしかしたらイベントも無くなるのではないかと思ったが、ちゃんとエリックと会うことが出来て一先ずほっとする。
それと同時に疑問が浮かぶ。コルヌに襲われたエリックは過去と向き合うためここに居た筈だが、目の前のエリックにはここに来る理由は無い筈だ。
「こんなところで何してるの?」
「エルネストの奴を探してるんだよ。アイツよくここに居るんだけど今日は居ないみたいだな」
「あぁ、そう……」
エリックの言葉を聞いてシャルルは何とも言えない気持ちになった。エルネストがよくここに居るというのは間違いなくあの出来事があったからだ。信者らしく聖地認定でもしてるのかもしれない。
シャルルは今聞いたことは早々に頭の隅に追いやって本来の目的を果たすことにした。
と言っても、本来のイベントはエリックがコルヌに襲われた過去をカロリーヌに打ち明けるというものなのでそんな事実がない以上同じイベントにはならない訳だが。そもそもシャルルが居る時点で好感度が上がるかどうかも怪しいが今更である。
「カロリーヌはエリックと会うのは久しぶりかな?」
「そうでもないんですのよ。学園内を歩いている時によくすれ違いますの」
「そうそう。その時に軽く話すんだ。週に1度くらいは会いますよね」
「ええ。3日連続で会った時には思わず笑ってしまいましたわ」
「へぇ、そうなんだ」
驚いたことに、カロリーヌとエリックはシャルルが知らないうちに随分と交流を深めていたようだ。
エリックの好感度も、好きとまでは行かなくても親しい友人くらいまでは上がっている気がする。
「けど何の話してるの? あまり共通の話題無くない?」
「そんなことありませんわ。まあ基本的にはお兄様のお話なんですけど、他にはエリックが学園生活についていろいろと教えてくれたり、あ、最近はベルナデットの話もしていますわ」
「そう」
シャルルがエリックに視線を向けると、エリックは分かりやすくスッと視線を逸らした。最初はそういうつもりじゃなかったのだろうが、今はカロリーヌがベルナデットと仲良くなったのを幸いにいろいろと教えてもらっているのだろう。
(やっぱりエリックルートは無さそうだな。いや、けどエリックがフラれればそこから一気に進む可能性も……)
「お兄様? ぼーっとしてどうかしたんですか?」
「ああ、いや、何でもないよ。それよりそろそろ戻ろうか。エリックはエルネストを探してるんだっけ? もし見かけたら君が探してたって伝えておくよ」
「ああ、頼んだ」
そう言ってシャルルはエリックと別れ、カロリーヌを聖女の部屋まで送ってから公務に戻った。
今回のイベントに効果があったのかは不明だが、とりあえず現状把握出来たので良しとしようとシャルルは次のイベントへと思いを馳せた。




