表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔法使い  作者: seigo
5/5

読書

4ヶ月ほど経った。見里は案外覚えがいい。魔力量も少しずつ向上していた。さすがにまだ北海道から京都へ移動できるほどではないが、森で小動物を探知できるくらいにはなっていた。見里が向こう側から追い込んで、逃げてきた獲物を僕が仕留めるという手法を取ってみると、意外な程効率が良かった。見里は気配を消すのも上手い。魔法を教えるのは面倒だと思っていたが、思ったよりいいものかもしれない。


今日も僕らは北海道のとある森で鹿を仕留めて、火をおこして、肉を焼いて食べていた。


見里は水球を空中で安定させる練習を行っていた。僕は魔法大全の新しいページを読んでいた。そこには解読魔法というのが載っていた。この魔法を使えば、どんな言語も読めるようになるらしい。試しにスマホで英語のページを読んでみた。

「リーディング」

おお。英語が日本語と同じように読める。これはすごい魔法だ。これが使えるなら、学校の勉強もかなり楽勝になりそうだな。

「光君って、いつも難しそうな本読んでるよねえ」

「ん、そうか?」

「私まだ字読めないよ」

「まあ、そんなものだよ」

「光君はなんていう小学校行くの?」

「さあ、なんていうところだろう?名前は覚えていないな。多分家の近所にあるところだろうけど」

「見里、光君と同じ学校に行きたいなあ。そしたら毎日一緒にいられるもん」

「んー・・・、ちょっと難しいかもな」

「そっかー・・・・」

そういえば、母さんが幾つか学校のパンフレットもらってきてたな。何であんなもの貰ってきてたんだろうか?


いつも通り見里と森で過ごして、家へテレポートで帰る。今日は母さんは先に帰ってきていた。


「ただいま」

「お帰り、光ちゃん。今日はどこに行ってたの?」

「友達と森にいたよ。」

「そう」

何だか母さんはソワソワしているようだった。何だ?何か話でもあるのだろうか。


それから自分の部屋で本を読んでいた。リーディングで色んな言語が読めるので、今日は図書館で借りてきた、グリム童話の原書版を読んでいた。魔法もいいけど、物語には心を癒やす効果がある。今度見里も図書館に連れて行ってやるかな。それから日課である瞑想をしばし行っていると、母さんが呼びに来た。

「ごはん、できたからいらっしゃい」

「わかった」


今日は森で獲ってきた獲物がなかったが、相変わらず色々な家庭料理がずらりと並んでいた。母さんは料理が結構得意なのだ。

「どう?おいしい?」

「うん。おいしいよ、母さん」

母さんはニコニコと笑っている。それにしても、母さんは美人だし、優しいし、料理も出来る。どうしてこんな人と別れようと思ったのだろうな、うちの父親は。

「ねえ、光ちゃん。光ちゃんこんな学校行きたくない?」と言って、母さんが差し出してきたのは、私立学校のパンフレット。地元では有名な坊っちゃん校だ。

「どうしたの?急に」

「いやね、母さんは思うんだけど、光ちゃんには普通の公立は勿体ないんじゃないかって思ったの。光ちゃん色んな才能があるじゃない?難しい本だって既に読めるし。だからそういう所へ入った方がいいじゃないかなって・・・」

「でも、私立って凄くお金かかるよ。大丈夫なの?」

「だ、大丈夫よ。母さん、その気になれば、稼げるし」

何をするつもりなんだろうか。正直私立には行っても行かなくてもどちらでも構わなかった。母さんの言う通り、今の俺なら試験も難しくはないだろう。だけど、母さんに無理がくるようなら、そこまでして行かなくても良いんじゃ無いかと思った。

「本当にお金の事なら心配しなくていいのよ?うちにはそれなりに貯金もあるし」

「ふーん・・・」

パンフレットをパラパラと見てみると、確かに建物も凄く綺麗だった。

「まあ、母さんがいいっていうな、別に僕は私立でも構わないけど」

「本当!?それじゃ、対策を練らないとね。今度過去問とか買ってくるわ。頑張りましょうね、光ちゃん」

そういうことにまあなった。



「へえー。じゃあ光君。お受験するんだね」

「まあな・・・」

「でも納得かも。光君、本いっぱい読んでるもんね」

「うん」

「私も光君見習って、何か読もうかなあ」

「じゃ、今日は図書館に行かないか?」

「うん。いいよ」

そしてやってきた図書館で、見里には子供の絵本コーナーが良いだろうと思って、何冊か見繕ってやった。僕は相変わらず童話を原書で読む。僕の隣で見里は集中して読んでいた。まだひらがなくらいしか読めないだろうが、図書館は結構児童向けの本も揃っているものだ。

それから一時間が経ち、二時間が過ぎていった。見里は驚く程の集中力を発揮していた。大人でもこれくらい長時間本を読んでいられるのは稀ではないだろうか。

選んでやった三冊を全て読み切って、見里は顔を上げた。

「もう読んじゃった。凄く面白いね、本って!」

「そうか。じゃあ、少し休憩したらどうだ?疲れただろう?」

「別に疲れてはいないけど、ちょっとお腹空いたかな・・・」

「そういや、食べ物持ってこなかったな。もうちょっと待ってくれ。これ読み終わったら何か食べに行こう」「うん。私読むもの探してくるね」

魔法に続いて、読書にも結構な才能を見せた見里。案外僕らって結構似たもの同士なのかもな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ