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第四話 だいたい、イケメンは発情しがち。


【俺の体質は、一日絶対にエッチをしないといけないんだ。今までは自分で処理していたが、くっ……ダメだ身体が……】


 あのさあ……確かにさっきのヤンデレは重すぎると思ったよ。

 うん確かに。でもこれは……ちょっと行きすぎじゃないですか????


 私は、ビビりにビビっていた。

 こんな18禁の内容、お月様案件やんけ、と。 

 間違っても、入学初日の朝に聞くような内容ではない。


【我が一族の呪い……クソッ!! 身体が!! しかもこの呪いの恐ろしいところはそれだけじゃない。俺に関わった女性はみな、発情してしまうんだ。幼少のころから、俺はありとあらゆる女性に誘われ続けた】


 まあ、確かに、と私はちらりと横を盗み見る。胸元からちらりと見えるネックレスと言い、なんだか色気が漂うワイルド系の風貌である。


 その男がなぜか苦しそうな顔で、頬を赤らめている。


【おれが触れるだけで、みんな女性は腰砕けになってしまう……クソッ!! なんていうことだ!!】


 おいおい、なんか逆に興味出てきたよ。

 どういう理屈で腰が抜けんだよ……。


【でも、そんな俺をちょうど満足させてくれそうな面白い女を見つけた】


 へえ、と私は、興味をそそられた。

 なんでも彼は触っただけで女性の腰を砕くほどの才能が有るらしい。そんな彼が遊びたいと思う女性はどんな女性なんだろうか。

 

 呪いだか何だかよくわからないけど、デートとかどうなるんだろうか。

 街中で手をつないだら一気に腰砕けになる。シュールすぎるだろ……。


 まあ、大変そうだが頑張ってほしい。

 ただし、私に関係のない範囲でな。


【俺の右横の席に座っているアーチボルト男爵家のカンナとかいう女だ】



「ってまた私かいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」


「か、カンナさん??」


「す、すみません。私のような平凡が服を着て歩いているような存在が、この歴史ある貴族学院に入学できるとは思わず、吠えてしまいました」


「カンナさん。つらい思いをしたのですね……でも、大丈夫ですよ。カンナさんがこの場にいるってことは、貴族の一員として素質を認められたということです」とお優しいお言葉をかけてくれる先生と和やかな空気のクラスメイトには申し訳ないが、私は絶賛混乱中である。


 下手したら、腰砕けのまま死んでしまうかもしれない危機が目前に迫っているのだ。

 

【あの女。俺とぶつかっても平然としていやがった。普通、ああなったら俺に「抱いてください」って目を潤ませて、すがってくるところなのに。「あ、すみません。邪魔でしたか」だって。】


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ??????

 いやまあ、確かに教室に入る前にぶつかったけどさあ!!!!

 そんなんで普通発情しないだろ。どういう世界観で生きてんだこの男は。


 っていうか、あんたにぶつかった後からなぜか暑かったけど、あんたのせいかい!!!!!!!!!


【ふっ。おもしれー女。ちょっと顔は地味だけど、楽しめそうだな】


 うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!

 地味なのはこっちのポリシーなんだよぉぉぉぉぉ!!!私は地味に誇りをもってんだよぉぉぉぉ!!!!!

 何だこいつマジで。てめえはお月様に帰れよぉおおぉぉぉっぉぉ!!!!!


 ぜえはあ、と私は肩で息をしていた。

 もうダメだ。私一人だけ、完全に浮いてやがる。だいたい、この席順おかしいでしょ。なんで私の周りに、何かをせざるを得ない動機を持ったヒーロー気質の人間ばっか集まってんのよ。



「はい。それでは、チラシを配りますね」と私と周囲の事情を何も知らなさそうな先生が、紙を配り始める。


 っていうか、この底辺クラスに王子様がいることを先生は知らされているのだろうか。

 はなはだ疑問である。


「ダンスパーティーは、入学してから一番の行事ですからねえ。本当にすごいんですよ」という先生の声に途端、クラスの女子がざわめき始める。

 

「ダンスパーティーに一緒に参加した二人は、永遠に結ばれるっていう素敵な噂もあるとか」


 へえ、なるほど。なかなか盛り上がる行事らしい。

 とはいえ、私は隅っこで適当に壁の華に徹するつもりだった。

 モブの覚悟をなめないでいただきたい。


【クッ、彼女はどんな体位が好きなんだ。俺は王国伝統の四十八手しか習得できていない……! 彼女を満足させられるために、もっと体位の勉強をしておくべきだったか!!!】


 んなわけねえだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!


 心臓がバクバクなっている。


 この男、努力の方向性を間違え過ぎである。

 もっとまともなことを勉強しなよ、と言ってやりたい。


 その時、「ごめん、一枚僕にももらえないかな?」と後ろから声がした。


「ああ、どうぞ」

 前のアホの妄言を頭から振り払いながら、私は後ろに振り向き、紙を手渡しする。

 

「ありがとうね」

 そう言ってくれたのは、透き通るような眼をした色白の男子生徒だった。


 穏やかそうな表情に、声。


 いいじゃん!!!

 

 私は俄然乗り気になった。なんか今までで一番まともそうである。たしかにちょっと色白すぎるのが気になるけど、まあそれも我慢の範囲内だろう。


 すくなくとも、


【クソッ!!! どうやったら俺は彼女の期待に応えられるんだろうか。やはり授業が終わったらすぐに好きな体位ベスト百を聞いてみるべきか】


 などどいっているバカとは大違いである、


 こんな真昼間から人に好きな体位とか聞いてんじゃねええええええええええええ!!!! 


 だいたい、好きな体位を聞かれて百個即答できるやつがいるわけねえだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!

 私はノーマルなんだよぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!




 よし、と私は気持ちを切り替えることにした。

 前の馬鹿は無視に限る。


 カチリ、と頭の切り替えが行われる。


 そうそう、いいねこの感覚。


 さあ、聞かせて頂戴。なんかまともな奴を……!!!


【これが学院か……中々な外を出歩くってのは大変だな】


 ほお、なるほど。 

 彼はあまり外に出ないタイプらしい。インドア派なのかな?


【でも、やっぱり日の光はつらいな。でも……我慢しなきゃ。なんてったった吸血鬼だってバレたら、みんなに怖がられちゃうもんね】




 ……????


 うっそだろお前……。


 人外系ヒーローパターンもありなんですか?????



イメージ:ムーンライトによくいそうな18禁ヒーロー

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― 新着の感想 ―
[気になる点] お月様案件ってなんですか? 月経関連?
[一言] 同じ人間ですら理解を放棄して逃避したくなるレベルのやべぇのがここまでそろうと。 異種族程度じゃもはや驚けないかもしれず、そうなると興味持たれちゃいますね(苦笑 つーか。これで吸血鬼の思考がま…
[一言] ムーンライトあんまりみないけどこんなのばっかり居るの?www
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