私の義父は束縛系 前編
私の実家の祖母は、家族の行動をやたらと管理したがる人でした。
少しでも出かけるそぶりを見せようものなら「どこに行くんだ」「誰と行くんだ」「いつ帰ってくるんだ」と嵐のように聞きまくります。例え相手がとっくに成人を迎え家族を持っていたとしても。
機嫌よく見送ってくれるなら行き先を伝えてもいいのです。でも、言うと途端に機嫌が悪くなり、1週間は口を利かなくなる。
理由は簡単。
仕事が遅れるから。
出かけるイコールさぼるという公式が彼女の頭の中に構築されているのです。
両親だってバカじゃありません。無計画に旅行の計画なんてたてませんよ。ちゃんと作業を前倒しして、帰ってきた後の手筈だってちゃんと整えて、そのうえで私たちに家族サービスしてくれようと頑張っているのを私はちゃんと見ています。
でも、それを伝えて理解してくれる人じゃないのも、家族だからこそよくわかってる。まぁ、祖母はただへそを曲げて一人で仏頂面作ってるだけなので、こちらの気分は大変悪いですがほぼ無害とも言えました。
片や義父。
この人もやたらと他人の行動を管理したがる人で、その範囲は家族はもとより従業員にまで及びます。
電話がかかってくると開口一番「にさ(お前)どこにいる」
ここで本当の居場所を伝えてはいけません。近所にいようものなら他人の予定などお構いなしに自分の予定に組み込もうとしてくるのです。
以前、家族で娘の発表会を見に遠出していた時もそうでした。
「にさ、どこにいる」
旦那に電話がかかってきたのです。あれほど「遠出する前には必ず義父に行き先を伝えておいてね」と言っておいたのに、旦那は伝えていなかったんですよ!!
……気持ちはわかります。義父も祖母と同様の公式を頭に持っている人ですから。言いずらい気持ちもわかるのです。でも、家族の時間をそれで邪魔されるいわれもないわけですよ。
私はもちろん、現在地を伝えて「行けない」って言ってくれるもんだと思ってました。
旦那のとった行動……ここまで読んでる皆さんは大体想像ついたんじゃないかと思います。
ええ、行きましたよ。
私たちを発表会の場に残して、義父の元に馳せ参じていきましたよ。
ただ、トラックの不調を確認するためだけに。
車2時間の距離ぶっとばしてね……。
がっかりしました。
なんで義父にちゃんと伝えることができないのかって。
「だって、言ったって聞かないもん」
わかる!!!!
わかるけどもさ!!!!
行けないなんて言おうものなら「どこにいるんだ」「なにしてるんだ」「なんのつもりだ(←new)」と問い詰められて使えないやつだとばかりに詰られる。たまったもんじゃないのはよくわかってるんですけどもさ!!!!
結局、娘の発表にはなんとか間に合ったんですが、私や子供たちが納得するはずもなく、帰りの車中はお通夜ですよ。当然です。
そして、それが一度や二度の話じゃないとなると、家族としてはもう諦めるしかなくなってくる。義父と仕事を優先する旦那を残して、次第に私と子供たちのみで旅行に行くようになりました。
そんな夏休みのある日、事件は起こってしまったのです。
――後半に続く。