001 ダンジョン
「ここがギルドです♡」
そう言ってシェーナさんは、辺りを見回す。
話は3日前まで遡る
「ツキシダさん。冒険者になってみませんか?」
「うん。意味が分からない」
僕は、逆ナンでもされているのだろうか。
何でもこの世界には冒険者という職業があるらしい。
モンスターをたおし……説明は前回の話を参考にしてもらいたい。
とにかく、この世界で生きていくためには『冒険者』、もしくは冒険者関連の仕事(コック等)でしか働いていけないらしい。
そして、シェーナさんは、今、1人でダンジョンに入ってはお金をもらい、家に帰る―そういう暮らしをここ1年続けているらしい。
「でも、何で僕を?」
その問いにシェーナさんは、何てことない感じできっぱりと言った。
「それは簡単。貴方がこの世界で凄まじい力を持っているからです。」
「はぁ?」
思わず聞き返してしまった。
僕に何か特殊な力でもあるというのか
「いえいえ、ただ単に―この世界では―強いと言うことです。」
「はぁ」
ツキシダが混乱していると彼女は何か契約書みたいなものを取り出した。
そして、ツキシダの前に突き付け、
「この書類に君の世界の字でサインをしてくれれば、君は冒険者になれる?」
「何故、疑問形?」
「私、初めてだから……」
そう言ってシェーナさんは顔を少し赤らめる。
……一言も誉めてないぞ
「それにね!」
シェーナさんは畳み掛ける様に言う。
「ダンジョンの中にはきっと、君をもとの世界へと返すヒントが……」
「はい」
ツキシダはサインを済ませた書類をシェーナに返す。
「……え」
それを見たシェーナさんは小さな声を出し、
「入って……くれる…の……?」
「ええ」
養ってもらうのは嫌だから
そう続けようとしたら、
「キャー☆ やったー! いゃっほーい!!」
シェーナさんが小躍りし始めた。
そんなに嬉しいのか……
あんなに喜ばれるとツキシダの方まで嬉しくなってしまう。
それに、気になることもあったから、あの書類にサインをしたのだ。
あのビルがダンジョンなのか、
何故、言語が通じるのか、
上手く戦えるのか……
サインだけで大丈夫なのか、
不安が無いと言えば嘘になる。
だが、僕は目の前の彼女……女の子のために戦おう。
これは、1人の男の出会いの話
付き合ってくれるかな?
まあ、飽きないようにはさせてもらいます