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第一話 転生先

(今日は晴天だなー)


 雲一つない空。

 過ごしやすい気温。


 欠伸を一回して、大きな伸びをする。

 木刀を持ち、素振りを開始する。


「日々の鍛錬は、いつかの自分のためになるっ!」


 独り言を呟きながら、木刀を振り続ける。

 朝食前のこの時間。涼しく過ごしやすいため、素振りをするのに丁度良いのだ。


 何回も木刀を振り、額から汗が出て来た。


「あ、あれやろうかな」


 木刀を持ち直し、剣をも身体の一部にするようにイメージし、意識を集中させる。

 そして、【魔力】を流し込む。すると————木刀が光を纏い始めた。

 突風が起きる。


「————風属性魔術——風ノ刃」


 木刀を振る度に風の刃が生み出され飛んで行く。

 刃の向かう先、木の枝がどんどん落ちて行った。


「うん。結構魔力量調節出来るようになったな」


(この前なんか、新しい技に挑戦しようとして、見事に失敗したからな……)


「あ……木また直さなきゃ、アリダが絶対なんか言ってくるよ……」


(アリダは、植物を大切にしているからな……まあそれが幸いして治癒魔術とか強化魔術が得意なんだろうけど)


 木に手を当て、魔力を流し込む。


「————治癒魔術——回復」


 切られた枝から新しい枝が生えて来て、約三十秒後には元通りになっていた。

 

「————強化魔術——硬化」


 また魔力を流し込む。


「これで、少しは木も丈夫になったかな」


 魔力を込めた無属性の直径二センチメートル位の魔力球を作り、木にぶつける。

 木にかすり傷が付く程度のダメージだった。


「強化されたな、よし」


 もうすぐで朝食だ。早く食堂へ向かおう。


~~~~~~~~~~


 さて、自己紹介をしよう。

 俺は【シュルテン・ルス・ブリュッケ】十歳。

 前世は、【大宮 俊】十九歳。

 転生時、天使は「前世の記憶は消す」と言っていたのに見事に消されていない————バグったか。

 今の俺は、田舎貴族の【ブリュッケ家】の三男である。

 ブリュッケ家は貴族の中でも貧しい方で、そこまで贅沢は出来ない。(朝食のパンは固いし……)

 

 次は、今の家族の紹介。

 誕生日席的なのに座ってるのが、当主の【アベック】。

 俺から見たら父上だ。厳しそうに見えて、実は家族思いって事は知っているぞ、父上。


 父上の九十度横に座っているのは、アベックの妻【シナリー】。

 母上。いつもニコニコしていて優しい。


 母上の正面に座っているのが、長兄の【シュベルト】。

 俺とは六歳差で、母上に似て優しい。弟妹思いの良い兄だ。


 シュベルト兄さんの横に座っているのが、次兄の【フラン】。

 俺とは四歳差で、父上に似て、厳しそうだが良い人だ。俗に言うツンデレってやつなのだろうか。


 そして、母上の横に座るのが、妹の【アリダ】。

 俺とは四歳差で、植物を大切にしていて、家族からたっぷりの愛情を受けて育った。そのため、可愛い。


 俺は、フラン兄さんの横に座って、硬くてボソボソしたパンを食べている。


(今日はこのパンなのか……嫌だなー。柔らかいパンが良いよ。一応元日本人だから、食にはこだわりたい)


 どうにか食べ終わると、アリダが話し始めた。


「あのね、ちゃんとお水やってね、魔術もかけたのに、お花しおれちゃったの。どうすればいいと思う?」


(やっぱ可愛い……。六歳って可愛い時期だからなー)


 みんな微笑みながらアリダの話を聞いている。


「魔術は何の技を使ったんだい?」

と、最初にシュベルト兄さんが聞いてきた。


「『強化魔術——成長』だよ」

「じゃあ成長し過ぎてしまったとか?」

と、フラン兄さん。


「この家は、魔術の事詳しい人が少ないからねぇ」

「僕も分かんないな……」


 ……多分後でアリダが俺に聞いて来るパターンだ、これ。


「ごめんよ。もう勉強をしなければならない時間だ」


 シュベルト兄さんは、次期当主だから、勉強をしなければならないのだ。


「本を見れば、多分解決方法とか分かると思うよ」


 あ、この前の本読み途中だった。


~~~~~~~~~~


(やっぱり、読書は一人でいられて良いな)


 書庫には、沢山の本があり、物語から魔術書まである。

 基本的に暇なので、いつも魔術の練習をするか本を読むかの二択である。


 トントン


 ドアをノックする音が聞こえた。


(やっぱり来たか)


「入って来てどうぞー」


 ドアが開き、にょっとアリダが出て来た。


「ね、お花しおれちゃったの何で?」

「それは多分、成長し続けて枯れてしまったんだよ」

「どうすればいい?」

「一番綺麗に咲いている時に、成長を止める魔術をかければいいんだよ」

「どんな?」

「じゃあ、実際に花にかけてみよう」


 読み途中のページに栞を挟み、書庫を出る。

 そして、庭へ出る。

 花が沢山咲いてある所に着くと、まず萎れてしまった花を見る。


(やっぱり成長のし過ぎだ。エネルギーが漲ってる)


「今一番綺麗に咲いてる花はどれ?」


 アリダは、辺りをキョロキョロ見渡してから、黄色の花を指さした。


「なるほどね、じゃあ魔術かけるから覚えてよ?」

「うん」


 成長をストップさせる魔術———


「————状態変化魔術——成長停止」


あと、


「————状態変化魔術——保存」



 今、花に変化はない、が、確かに魔術はかかった。


「『状態変化魔術——成長停止』と『状態変化魔術——保存』……覚えた!」

「植物は、【強化魔術】と【状態変化魔術】を使えばどうにかなると思うよ」

「へー。次から頑張る!」

「頑張れ!」


 書庫に戻るのが面倒くさくなってきたから、このまま、魔術の練習と開発をした。


「おお!出来た!」


 手の上には氷の中に花が入っているオブジェがある。


「なにそれ?」

「永久に溶けない氷に花を閉じ込めたんだよ。これならずっと枯れない」

「え!?そうなの!」


 アリダがぴょんぴょん跳ねる。ツインテールも上下に揺れて可愛らしい。


「アリダにあげるよ」

「え!いいの!?」

「うん」

「やったー!」


 この可愛らしい笑顔が大きくなるにつれ見れなくなると思うと、兄ちゃん悲しいよ……。


~~~~~~~~~~


「フランも後一年で成人か」

「はい」


 今日の夕食は、ビーフシチュー的なものだ。パンも柔らかいもので大満足だ!


「なにか、やりたい事は決まったか?」

「はい、王都で役員になりたいと思ってます」

「それは凄い」


 役員とは、日本でいうところの省や庁に務める人の事だ。簡単に言えばエリート集団だ。


「フランは昔から頭が良いからね、フランに合った職業だと思う」

「フラン兄さん凄いね!」

「フラン兄さんは努力家だしね」


「【成人の儀】には何を渡そうか」


【成人の儀】、この世界は十五歳で成人だ。そして、成人の儀では、親が子に一生ものの何かを渡すのだ。

 先祖代々の物であったり、剣や杖であったり、人によって様々だ。


「父上、まだ気が早いですよ。あと一年間ありますし、じっくり考えて下さい」

「そうだな」


 ちなみに俺は、成人の儀の時、剣か杖が欲しい。


~~~~~~~~~~


 靴紐をぎゅっと結ぶ。


「よしっ!」


(行くのは久しぶりだな)


 鞄を持ち、部屋を出て、玄関を開ける。


「行ってきまーす!」


 いざ、森へ————! 

始めてネットにあげる小説で、あまり自身が無いのですが、よろしくお願いします!

不定期連載です。

本業が忙しい場合はあまり投稿出来ないと思うので、ご了承下さい。

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