3話
決心をつけるまでの間に空はすっかり明るくなり午前六時を迎えていた。
だがそのおかげで部屋にとても心地のいい日光が入ってくる。
佐藤翼「ハァ……ハァ……誰も居ない…? 」
自分でも分かる程に一気に安堵し体が脱力していく
瞬間だった。
一瞬の事が多すぎて状況を飲み込んだのは後の事だが、この時植木鉢が割れた音がしたと思ったらその瞬間に人影が見えた。
その人影に俺の部屋のベランダを開けられ、そのまま腰が抜けている俺を興味深げに見回した。
そして一言こう言い放った。
「おはようございます!危なかったですね! 」
いやいや、いや……
おはようございます? うん、挨拶は大事だな。
危なかったですね??? 俺は心からこう思っ
「あっ誰のせいで危なかったと、とか思ってます? 」
佐藤翼「!? 」
もうパニックだった。
と、いうかパニックにこれでならない人が居るなら教えてほしい。
その時、階段を駆け上がる音が聞こえてきた、その足音はこの部屋に近付いてきてそのまま部屋の扉を勢いよく開けた
「何があったんだ!?? 」
じいちゃんだった。
知っている人間の存在は大きく、多少冷静を取り戻した俺はすぐに助けを求めようとしたが
「あ、今助けを求めたら死にますよ? 」
嗚呼…オワッタ…!
急に不法侵入してきた不審者に俺は人質に取られてしまったらしい。ごめんじいちゃん、今までありがとうございました。
「植木鉢、自分でミスして割っちゃった事にして下さい。そしたら助かりますから」
もう何が何だか分からなかったがその助かるという言葉に俺はもう必死だった。今までで一番生きるという事に全力を尽くせたと思う。少し泣きそうになりながらも、
佐藤翼「ご、……ごめんじいちゃん……植木鉢をミスして割っちゃってさ……怪我は……してないからさ! 」
じいちゃん「ほ、ホントか? 凄い音だったなあ〜てっきり不審者でも入ってきたのかと思ったぞ!」
その通りです。
なんて言ったら人生を後ろのやつに終わらされかねないのでシラを切る。
佐藤翼「いやホントごめんね〜じいちゃん、割っちゃったの俺だし片付けもしとくからさ」
その後雑談も交えながら自分で割ってしまった。と一点張りをし続けて何とか事なきを得た。
「ン〜良い演技力ですね!素晴らしい! 」
や、一番の事は全く得られていないんだけど。




