あの日あの時の僕ら
〜プロローグ〜
並行世界、又の名をパラレルワールド。
この世界ではパラレルワールドの存在が認知され近くの並行世界同士で干渉することもできるようになっている。並行世界とはある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界のことを言うのだ。故に並行世界は分岐点があると新しい並行世界が生まれるのだ。
例えば朝6時に目覚まし時計をかけた世界とかけ忘れた世界それで並行世界が生まれる。近くの並行世界は互いに干渉しあっているので、並行世界の影響を受けるとかけたはずの目覚まし時計がかけ忘れた並行世界の影響でかけられていなかったりする。
〜第1章〜
いつも通りの朝
いつも通りの日常 そう思って僕はリビングに降りた
テーブルの上には朝ごはんと一枚のメモがあった
そこには父親の字でこう書いてあった
遅刻しないように お父さんは先に出ます
そこで僕は焦って時計を見る、ギリギリ間に合いそうだだが朝ごはんを食べる時間はない、佐々木と数学科にプリントを提出しに行く予定だったが仕方がない
あいつ1人でなんとかなるだろう。
朝ごはんを冷蔵庫にしまい急いで制服に着替える。
いつも電車は早めに乗っているので何本か乗り過ごしても大丈夫だ。安心して僕は乗り換える駅で降りようとする。この時間は人が少ない。油断してスマホを見ながら歩いていると、
「あっ」と目の前の制服姿の少女が言う
「すいません」とっとさにいうと
少女はうつむきながら走り去って行った。
そこで僕はあることに気がついた
彼女のものであろう懐中時計が落ちていたのだ、
すぐに返そうと思ったがその時にはもう電車のドアは閉じていた。どうしようかと思ったが仕方なく持っておくことにした。制服姿だったのでいつもこの駅で乗ってくるならいつか返せると思いカバンにしまう。
結局僕は時間ギリギリで学校に間に合った。
次の日僕は昨日と同じ電車の同じ号車で彼女を探した。その次の日も、またその次の日も。しかし彼女は一向に現れなかった、電車の時間を変えても見当たらず途方にくれる日々が続く
「なぁどう思う?」
「見つかると思う?」
「しらねぇよ」と佐々木が言う
「ていうか高田ってギリギリに来たことなんてあったっけ?」
「あったよ」
「先々週の火曜日」
「その日は俺とプリントを出しに行っただろ、番号順に並べてないって言われて怒られたじゃねぇか」
そうか今僕は並行世界に移動しているんだその時全ての辻褄があった。
「どうすればいいんだ」
この時計を違う世界の落し物センターに届けても意味がない、ということは
「自力で元の世界に戻るしかない」