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Episode01 悪い人ですけど、現場よりお送りしています

「おらあっ、このクソ野郎! いねや!」


 ――ドーンドカーンドーン

 光の玉やらなにやらが炸裂する。うおっまぶしい。いや、待って。直撃したら死ぬよ? 普通に死にますからねコレ?

 ていうか完全に当てに来てますよね。……当ててんのよ! ってか? やかましいわ。

 今追われているのが悪の組織のリーダー、僕。

 で、とにかくヤバい感じの魔法でドッカンドッカンやってるのが…


「チッ。お前まだ生きてたの? さっさと消えろよ生ゴミ」


 今日イチだろうと思われる最っ高の笑顔で言い放ったそいつ。魔法少女カナ。

 確かに僕も悪いことをしたとは思っているよ? でもさ一応、こちとら悪の組織ですし? あくどい事くらいはするよ。あ、殺し以外のね。そこは線引き重要。


 とにかくね、大人になりゃわかるけど正論だけじゃこの世界で生きていくことなんて出来ないんだよ。ただね、それ以上におっかないんだよ魔法少女さん。

 可愛い顔してやることが、容易く繰り広げられるえげつない破壊活動ときてる。そっちのほうが悪役みたいじゃない? この場面だけ見たらほぼ百パーセント僕の方が被害者だよ。

 もしかしてさ、所属間違ってない? なんならうちの組織来ません? キミなら即戦力間違いなしだよ。

 あ、でも殺しはダメね。


 あと僕が想像してた魔法少女ってのはね、「私、負けません!」みたいなやつだったのよ。そうそうあんな感じの瞳潤ませたりして健気なやつ。

 あれってアニメや漫画、ラノベの中だけの話だったの? くそ、お兄さん騙されたな。魔法少女って聞いてさ、僕ってリーダーなのに来ちゃったくらいにはわくわくしてたんだよ。


 とか言ってる場合じゃない。やだ、何かデカイの来ちゃっ――


「ふう、これだけやれば死んだでしょ。クソ雑魚が手こずらせるなっての。あ、もうこんな時間! 特売セール特売セール」


***


 井吹佳奈(いぶきかな)は魔法少女である。謎の生物に「僕と契約して魔○少女になってよ」と言われたかどうかは定かではないが佳奈は確かにあの日、魔法少女に選ばれたのだ。誰にでもなれるわけではない、言わば憧れの存在。


 合法的に魔法ぶっぱできる。彼女は大いに喜んだ。気に入らないものを消してしまっても罪に問われない。あくまでもこれは正義の活動。正義は我にありなのだと。

 そして彼女は幾らか喰い気味に魔法少女になることを即決、承諾。まさしく瞬殺の勢いと熱量であった。嬉しさの余り、いつもよりもランク上の肩ロースでぷちお祝いなどもしてみせた。


 そんな彼女も普段はどこにでもいる高校生として過ごしている。だが生活が苦しく勉学に、と言うよりはアルバイトに明け暮れる日々ではあるが。

 ひとたび緊急事態が発生すれば魔法少女へと変身し、仇なす悪を滅する。否、滅するだけでは言葉が足りない。言うならば消滅。証拠などは消し飛ばし欠片すらも残さぬ。これが佳奈の魔法少女としての矜持。


 これは悪の組織と戦う魔法少女、井吹佳奈の物語である。

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