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やつはこの四天王の中でも最じゃ「うっさいわぼけl」 (ブチ切れると人って恐ろしいですよね

 おかしい、ここ薬草ないし森林も深くて光が入ってこない…

 アイちゃんから槍の基本戦闘法を記憶にインストールしてもらって(訓練教官に教えてもらったのも対獣向けの槍だけど)はぐれらしき狼を2匹ほど潰してからそんなことを考えていた。


「これって王城生活の中で面会した互助会の人が言ってた、噂の初心者イビリかな」

 @かもしれません。早めに帰還して出直したほうが良いでしょう。狼を持って変えればお金にはなりま、警告大型の獣の足音をキャッチ。離脱を推奨します

「うん、こっちの耳でも音が聞こえた。風下に隠れつつ距離取ろう」


 割と私達の危険感知力は強い。私は体が変わってから耳がすごく効くし鼻も人よりは感度があると思う。風下に移動するような本能的直感的な行動もできるようになった。

 臭い男の匂いは何キロ先からでも嗅げるようになったし。いい男はだって?言わせるなバカ☆


 ゴホンッ、アイちゃんは本当良くわからないけどなんでも感じ取れるし、エネルギー使ってもいいならこちらから積極的に超精密探知ができるらしい。私の変化したからだの能力の意味とは…

 ええっと、つまりダブル感知システムだから誤反応がし難いのだ!えっへん!


 喜怒哀楽している場合じゃなかった。そーっとそーっと大型動物の音が聞こえる森の奥の方から離れていく

 …相手もそーっと追いかけてるね

「どうしよっか」


 @我慢比べですね


 というわけで距離は付かず離れずでゆっくりと森から離脱していく。

 戦う?大型に有効な武器ないよ無理無理。


 と思ったのが起点になったのかは分からないが大型のほうが足音を抑えなくなりこちらに近づく速度を上げた。いい状況ではない。こちらも速度を上げたい

「足音ってナノマシンで消せるもん?」


 @今の私の能力ではあまり有効ではありませんが出来ます。サイレントムーブモードに移行します


 なんか厨二っぽい単語をアイちゃんがつぶやいた途端つぶやく前と後でくっきり認識できるくらい足音が消えた。足跡も消えればなあ。


 これが下手に出た。足音消えて足跡残ってるのが大型には離されたと思ったらしくまた速度を上げたのだ。


「私、この戦いが終わって帰ったらお花屋さんになるの」


 @私は能力向上のたびに出るんです


 ハハハ


 …もちろん過剰な緊張を取るためよ!


「追いつかれるね、どうする?」


 @私をフルに使って走っても時速40キロくらいしか出ません。迎撃即離脱しかないでしょう。私のアシストがあれば避けるのは些細な事です


「分かった、どこかに潜んで…」


 というところで風向きが変わった。風上に出てしまった。まずすぎる。

 大型は私が思いの外近くにいるとわかったのか走り始めた。こやつ、足には自信ある動物だな…妾はもう逃げ切れないと見たか。

 私も反転し、決死の迎撃に出る。


 @「来るよ!(来ます!)」



 そいつは熊だった




 @熊の特徴は優れた嗅覚です。今までの行為は全て遊びだったと思われます。人馴れしているのでしょうか。

 アクティブスキャン開始します。


 @体重の推定は200キログラム。身長は160cm程度。皮下脂肪は5cm程度。毛皮の強度は中程度高めに分類できます


「えっ無理。この先の尖った槍らしきモノじゃ皮膚抜けないし、ぬいても脂肪があって最悪抜けなくなるよ!?」


 @突進来ます!


 とりあえずアイちゃんアシストでひらりと避けたが、動揺が止まらない。明らかに火力が足りない。

「作者おかしくない!?!?!?これどうやって倒せっていうの!?!?

 あれ、あれか!ここで死んで私の冒険はここで終わってしまったー!ってやつか!書くの飽きたか!」


 @落ち着きましょう、作者はそこまで馬鹿ではないと思います。フィクションパワー☆とかいうやつで何か倒す手段を考えているはずですおそらくきっと多分。


 そこに突進と右手パンチが飛んでくる。アイちゃんひらりとまた避ける。ひらりひらり、ひらりっとマンt@はいはいタブー


 もう一度パンチ。避ける。距離が詰まってるので一応ハンティングナイフで刺してみる。刺さるけど少し刺さっただけでしかも抜けなくなる。距離が離れる前にアイちゃんアシストでパワー出して引っこ抜く。皮膚あるところは無理だ。


 熊は距離を取ってまた突進してくる。アイちゃんは今度は跳び箱飛びのようにしてひらりとする。アイちゃんまじめなのかおちょくってるのか…

「なんか突進を多用してくるね。」


 @噛みつきも行ってる感じですね、そのパワーを上手く使えるといいのですが


 皮膚はだめ、4足の噛みつき突進してくるから体の前面にある部分、一撃で倒せる場所…、口かな?でもだめだ、

 口から刺しても首まで行かないとやつは死なない、そうしたら顎で木の槍を砕いてくる… 後は…


 目しか残ってない…


「目を潰して脳を粉砕ってできると思う?」


 @チャンスは一度ですが出来ます。アシスト量が減りますが準備のために15秒ください


「わかった。15秒ね。…えーと、アシストが減るってことはー」

 自分で多少は動けってことかあああああああぬおおおおおおおお


 ぎゃーにゃーぴゃー言いながら時間を稼ぐ。戦闘における1秒ですら長いのに15秒とか2日たっちゃうようなもんだよ。家も建っちゃう。

 反応できる速度も減ってるから服とかにかすっちゃう。アイちゃんはーやーくー!


 そんなこんなで15秒がたちまして


 @準備ができました、次の突進で目を狙いましょう。刺されば確実に脳を粉砕します。


「ヨシキタ!誘導ってアイちゃんがやってくれるの?」


 @私はもうスレッドが残ってないので難しいです。リンクシステムを使いましょう


「なにそれ!私じゃ狙えないし相手も顔そらすからアイちゃんじゃないと無理だと思ってたんですが!」


 @リンクシステムとは主人格と従人格を直結して主人格側で従人格の各種能力を使えるようにするシステムです。今回は私の反射速度を使いましょう。私の反射速度は0.00000000001秒です。100億分の一。とりあえず最大一億分の一までロック解除しておきますのでそれで狙ってください


「まって理解が追いつかないです。」


 @色々ありますがリンクしたら体感速度がゆっくり感じますのでそれでゆっくり狙ってください。


「えっえっえっ」


 @来ます!構えましょう!


 私の身長じゃ前かがみの突進とは言え精確に脳までのルートを中てるには上方からの突きしかない。

 一発で到達させるには両手だ。

 両手で掴んで上に掲げて…

 突進が来る。ひきつけて…ひきつけて…

 今だ!

 と思った瞬間


 目が瑠璃色になり

 時間が止まったような勢いでゆっくりし始めた。

 これがリンクシステムか。何分の一なんだろう。まぁいい。

 パワーアシストもきいているようで、槍がブレずに目にゆっくりと飛び込んでゆく。

 顔をそらされなければ刺さる。


 だが当たり前の行為だが顔をそらされていく。

 これじゃ刺さらない。もっと早く早く早くううううううう!!!

 と思ってたらふいっと私だけ早く動けるようになった。

 これ幸いと一気に差し込む。少し顔は反ってたが右目にぶすっと刺さった。


 後は脳まで差し込むだけだが流石にどこを進んでいるのかわからない。というところで勝手に体が動いてぶずぶず刺していく。

 アイちゃんが準備してたのか。そしてある程度刺さった。相手の突進も勢い止めずに向かってきてた。

 そうだよ突進の勢い殺すことは失念してたよ。作者めここまで来て私を殺すのか。インフルエンザにかかれ。


 もう突進がぶつかるというところで


 槍の先から何かが出て爆ぜた感じがして、槍を引き抜くような感じで身体も思い切り後ろに吹っ飛んだ。なんぞ?。


 @ほぼほぼ成功です。リンクは解除しておきましょう。脳が潰れても反射反応が残っていて、結構な時間暴れるので熊には近づかないようにしてください。


「うーん、わからないけどアイちゃん色々とやったんだね」


 @はい、時空操作に槍にナノマシンを這わせることに槍に這わせたナノマシンを導火線にした圧搾空気の爆発あたりでしょうか。エネルギー貯めるのに長い時間かかって申し訳ありません。

 とりあえず帰還することを提案します。流石にエネルギーをかなり使ってしまいました。

 そうだね、一度帰りたいよ…犬レベルじゃなくて死ぬ所だったよ。」


 ただ、なんで人慣れしている熊がこんな所に…?人食い?


「ありがと。あのさ、一つやってほしいことがあるんだけどいい?」


 @わかりました、なんでしょうか?


「この熊にアクティブスキャンしてほしいんだ。おそらく人骨出てくるんじゃないかな」


 @精密スキャンですね、分かりました。…スキャン完了、たしかに人骨らしき物体が複数確認できます


「うんそうだよね、冷静になって思ったんだけどさ、この熊行動がちょっとおかしかったもんね。好んで私達「人間」を狙ってきてたりさ。繁殖期でもない熊なのに。」


 @感情パラメータが測定できません。いかがされましたか?


「つまりね、こいつは人食い熊だったの。でね、あの糞男はここに、つまり人食い熊のいる場所に誘導したんじゃないかな?」


 @その可能性はありますが、訴える根拠に乏しいと思われます。」


「そうね、でもね、聞き込みと熊の証拠と不自然な誘導が合わされば黒になる世界なのよここは。そうだ、なぜか誘導したわよね薬草探しを薬草がない所に。」


「これって私達を殺しに来たってことよね」




 これは、殺しても良い奴だよね。






 PDA時間午後4時30分頃、互助組合の搬入所の職員アドルフ・パニーニのところにもの凄い勢いで駆け込んできた少女がいた。パンツが見えている。


「どうしたずら?こんな時間まで。夜は視界がないから気をつけるずら。」


「あの、人食い熊を見つけたので処分しました!正式な証明が欲しいのですが!」


「ほええ、ゆうきあるずらねえ。んだば熊そのものがないと証明は不可能ずら。熊は150から200kgを超えるからここまで持ってこれるのはかなりの労力が」「ここにあります!!」ずりずりと熊をアドルフの所に引きずって見せる


「あんれまぁ、よくもって来れたなあ。200kgはあるんでねか。んじゃー調べるずら。数日待ってて欲しいずらよ、部位報酬は後々わたすず」「可能なら今すぐできませんか!?」


「んーっむー、解体ショウを開けばいますぐだんけども。」「お願いします、ほぼ確実に人間である私のみを狙って襲いかかってきたので。」


「あーなるほど、わかった、広場で人食いクマ科の解体ショウをやるずらよ。そうでなかっとしても熊の解体は結構人気あるからな。」


「人骨に詳しい人を呼んできてくださいね」





 午後6時頃、広場には人だかりが出来ていた。これから人食い熊の確認と、熊の解体ショウが行われるからだ。



「えーえーえ、みなさん。これからパールライト・ピザの証言により、この熊が秘匿行くまではないかという疑いがもたれました。本当に人食い熊であるかの解剖をしたいと思います。」

 熊の方は解体準備ができていて、アドルフが丁寧に腹をかっさばいた。ちなみに女の子がやったのか首は切られていて血抜きはされていた。

 そして胃を見つけると、周辺の人々にわかるように高らかと掲げる。


 観客がわいわい騒ぎ始める。


「これが胃ですね、では胃の解剖を開始します。私は当たりをつけるまでで、確定は骨に詳しいをしているホーネル医師に見せようと思います。これは狼ですね…これは木の実…、小動物そのもの…、これは…人骨っぽい、ですね。まだわかりません」


「おーい、ないんじゃねーのかー!」「はったりかー!」などのヤジが飛ぶ。……が


 痕跡が見つかった


「ああ…これはおそらく人の大腿骨です。2つに砕けてますね。ホーネルさんどう思いますか。他にも探してみましょう。頭蓋骨や下顎があれば私でも一発なのですが……これは…私でもわかります。」


 そして取り出した頭蓋骨を高々と掲げる。


 数瞬間静まりかえった後、人々の声がかヤジから悲鳴に変わりはじめる。割りと新しい骨だったためきれいな状態だったからだ。


「ホーネルさんの簡易鑑定でも不達以上の骨だそうです。一般的な獣もそうですが、特に熊は一度人を食べると好んで襲うと言われています。今見つかったのは二人以上、この熊は定期的に食べていたのは間違いないでしょう。つまり人食い熊は、ロゼーヌの懺悔に、いました。」


 この発言で会場はえらいことになった。ロゼーヌの懺悔は都市から比較的近い森林で季節を間違えなければ大型動物は出てこない場所であり、他の森林と来るアベルとかなり安全である。

 今回のことによってその安全な場所に大変に凶暴な人食い熊がいたわけであるからだ。


 この後いろいろとあったが組合と衛兵によって民衆は帰宅を促され、散り散りに帰っていった。

 ここに熊☆解☆体ショー☆は終わり、パールという狐娘の人食い熊発言は本当だったということだけが残った。




 次の日、パールは抑えきれない殺気を持って酒場に近づいていた。パンツは見えている。


 即座に殺したい欲求を抑えつけて狐耳で糞男グループの動向を確認する。糞男がいなければ復讐は果たせないのだ。


 かなりのひそひそ話が聞こえてきた、しかし私の狐耳からは逃れないし逃さないから。


「どうする兄貴、人食い熊の件、後々ばれちまうよ。」


「そうだよ、町か都市に逃げ込もうぜ。」


「なぁに、心配はそれほどいらないさぁ、証拠がないんだものぉ。俺らがやりましたという証言でもなければさぁ。」


「だけど、気をつけた方が良いよ兄貴。曲がりなりにも熊をあの棒きれ一つで仕留めてるんだぜ。」


「そうだぜ、なんでも右目が貫通されてて脳みそが破壊されてたって言うじゃないか、用心することに超したことはねえよ・」


「みんなぁ心配性だなぁ。出会ったら心の底から心配したように見せかけて謝罪すれば良いのさ、あの野暮ったい田舎娘ならそれでじゅうぶんだろぉ。しかしもう熊に初心者を食わせる遊びはおしまいだねぇ、酷い娘に捕まったもんだ。」


「顔は酷くねえんだがなぁ。後数年たっていたらかなりの上玉になったんだけどな。」


「おまえまだ初心者の下半身食いしてるのか?あれも犯罪になるぞ。」


「ばれねえよ、大抵殺してるしな、ぐへへへへ。」



 もう、いいかな


 バタン!!!


 私は思いきり酒場のドアを開け視線を集中させる。そこには糞グループもいた


「そこの人食い熊に誘導した貴様、貴様は万死に値する!だからあああああああああああああああああああしねえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」



 私はリンクシステムを発動させようとした。がアイちゃんに拒否られてしまった。ふざけんじゃない!ここはリンクを使う場面なんだよ!!!!


 リンクシステムを私自ら強制的に解放する


 目が瑠璃色になる


 そして右手に持っていたまだ先端がある槍っぽい物をとても良い感じで糞男に投げつける。


 吸い込まれるように右目に槍らしき物が刺さる。絶叫がゆっくりと聞こえてくる。甘美な音だ。


 そのまま突進し渾身の膝蹴り。顎にクリーンヒットするとさすがに体格差があっても男が仰向けに倒れる。まだ能動的意識はあるな、この衝撃で槍が脳みそまで行っていなかっただけでも感謝しろ。体格に差があるときは攻め手でも関節を押さえろという共感の言葉通り腕の関節に表足を乗せて体重をかける。


 ここでリンクが解除される。自分で無理矢理使っているんだから安定しないのは当たり前か。


「おぬし、妾ばかりか複数人もの人間を熊に食わせたな!!!!であったら心の底から謝罪すればよいじゃと?妾も軽く見られたものじゃのう!!!!」


「貴様なんでそんなことを!」


 とりあえずギリギリ回しながら右目を引き抜く


「あqwせdrftgyふじこlp;@:」言葉にならない絶叫が響き渡る


「これじゃよ!さっきの会話!!!みてみぃ!!!」


 ひだりてのPDAを投影にして音声最大で先ほどの会話を酒場中に流す。


「これでも言い訳するとでも!!!??追って裁きが下ると思え!!!」


「し、しるかよちくしょう、またな人食い熊男!!」


「俺は何も知らねえ!!!」



 逃げようとした二人だったが見事に対人ランクが高い組合員に一瞬で確保される。


「あるいけどおぬしには裁きを妾が下してやるわ!くらえええええええええ!!!!!


 アイちゃんスーパーアシストで筋肉の強化及び、皮膚の硬さと殴る速さを強化された拳で殴る。

 アイちゃんが言うにはパール様は軽いから速さで威力を出したほうがいいとのことだ。理論も言われたが今はいい



「ごっ、ぐっ、がっ」


「まだまだああ!!」


「だっ、とっ、がっ、」


 さすがに対人組合の人が止めに入ろうとする。


 やだ。まだ終わってない


 リンクを再度強制稼働させる。


 ぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこ


 だんだん顔が壊れていく


 まだ足りない。全然足りない


「人を!死地に!向かわせるなど!今はサーレオの土地でも、それでも皇国の恥だ!オラオラオラオラオラ!!!」

 どんどん殴る速度を加速させていく。


 リンクもどんどん引き上がっているのだろうか、喧噪が聞こえなくなってくる。動けなくなるので命令して時空操作もどんどん増やしていく


 おこまで殴って何処までリンクが引き上がったのかはわからないが、毛が桜色になっていく。

 全然殴り足らない。もっと殴ろう。本当に、本当に、妾を舐めるな!



「よいか!よく聞け!妾の名は!パールライト!フォンドボー!フラヌリアじゃあああああああ!」




 うっかり叫んじゃったけどかなり上がった反射速度のまま喋ったから早すぎて聞こえなかった…よね?よね?


 そのまま殴り続ける。反射速度が1億分の1で止まる


 まだ!まだ!まだああああああ!うごけええええええ!!!!


 アイちゃんの施したロックが強制解除され、10億分の1に達したあたりで世界が白くなり始め、どれくらい殴ってるか把握できなくなり、毛が完全に桜色になり




 失神した。






 現場はもう混乱の極みだった。

 アリアは民衆の対応に追われ、


 ナップ・ピーマンは失神した桜色の狐娘を抱えて近くの救護所に駆け込み、


 他の職員は取り押さえた男を詰め所に連行したり糞男を死なせるわけにはいかないから病院に連れ行き、


 そこら辺が流血まみれになったテーブルや椅子、床を磨きながら


 だれが人の右目がついた棒きれを処分するかで、密かな戦いを始めていた。







 全身がばらばらになりそうな感覚と酷いダルさ、そしてかなりの空腹で私は目を覚まし@させません


 @パール様、私の介入を全て拒否して身体と思考を酷使しましたね。失神しなければ人格が消えてましたよ。


(うん、ごめん)


 @まぁ私の介入を拒否できるあたり、もうナノマシンとしては統合体になられたんでしょうね。おめでとうございます。


(統合体?)


 @今までは私がアシストしたりしてナノマシンが動く、いわゆる受動的動作のみでしたが、これからは思ったようにナノマシンが動く、つまり能動的動作も行えるということです。


(自由に動かせるのか、そっかー。それで、なんで目を覚ませてくれないの?)


 @横には看護師がいて、部屋の周りに衛兵がいるからです。


(えい…へい…やりすぎたか)


 @いえ、耳で拾って解析しましたがボコボコにしたのが理由ではなく、桜色になった毛の方が重要みたいです。


(え、桜色?)


 @はい、殴ってる最後の方桜色に変わっていきました。私も変化させないように介入を試みましたが出来ませんでした。


(アイちゃんが、でき、ない…。初めてよそんなこと。というか桜色になっちゃったのね。皇女の血が入ってるか疑われてるのかな)


(どうしよう、作者言い訳考えてない。とりあえずゆっくり目を覚まして動けないアピールしておこう…)


「う、うーん…」


「あら、気が付きましたか?今はPDA10時ですよ。何か具合が悪い所はございませんか?」


「ええと、身体がすごくだるいです。あと、その、お腹空いてます…。あの、ここは?」


「なるほどわかりました、だるさと空腹と…。ここは組合会館近くの救護所ですよ。ナップ・ピーマンさんがここへ運んでくださいました。殴られた男の今までの酒場の会話の証言もしていただけるそうですよ。」


 ピーマンさんか…あとでお礼言わないと


「動けるようなら何か食べ「ピザ食べたいです」」

 えっ、アイちゃんが勝手に

「いきなりピザですか…もう少し身体に優し「ピザがいいです」」

 ちょ、アイちゃん?あいちゃーん?


「分かりました、そこまで言うならピザを食べましょうか。お金はピーマンさんがご飯代といって少しだけ私に移してありますから、それでまかないましょう」


「(アイちゃんが喜ぶならそれでいいかー)ありがとうございます、お願いします。」


 そうして運ばれてきたピザを食べたら私は号泣してしまった。


 なにせ「温かい料理」を食べるのは3年とちょっとぶりだったのよ。


 逃げ出して食べたのはパンと水と犬だもん。あ、熊の血もか。


「美味しい、美味しいよ、グスッ、グスッ」


 @ああ、ピザエネルギーが、ピザエネルギーが流れ込んでくる!


 すんごい勢いでがっついて一枚を食べたのを見て、看護師さんは自分の分も少し出してピザを2枚追加してくれた


「わぁーんおいしいよぅ、おいしぃぃぃ」


 @ピザアアアアアアアアアアアア


「なんかこっちまで泣けてくるわ。ちゃんと食べてね。食べたら衛兵さんがお話があるそうだから心をちゃんとするのよ。」


「ゔぁい!」


 そんなわけでえいへいさんとおはなしするじかんになりました。ぱーる5さいだからよくわかんないー☆


 なんてことで凌げるわけでもなく、尋問は始まったよ。幸いかどうかはわからないけど診療所で行うみたい。

 歩く気力なかったから良かった。服もぼろぼろだし。借りた装備も…弁償するお金どうしよ…。やはりあいつころころしておくべきだったかグゴゴゴゴ


 最初に事は重大で確実に領主の耳に入ると言われて焦ったけど、内容は、本当に熊を殺したのは私なのか、PDA映像の確認等。まあまあ無難に返答しといた。

 糞男に関しては右目をくり抜いたことは反省しているとだけ。


 そして毛のことに尋問が及んだ。どうしようかね。知らぬ存ぜぬか亜人のせいにするかくらいしか選択肢がないよ。うーん、あ、あれか。


「私は3年間お薬を飲まされて人体実験をされていました。狐耳に尻尾が生えたのもその時です。だからその時になにかあると毛の色が変わるようになったのかもしれません。初めてのことなんでよくわからないんです。」



 これや、これしかないで!



「にわかには信じがたいが…、分かった。あとで領主様に呼ばれるかもしれないが今はその通りに報告しよう。何しろあの熊をこの小ささでここまで運ぶ力を持っているからな。」


 ち、小さくない!胸は普通にあるもん!!!!

 んまーこれでなんとかなったぜヒャッホイ!後はお金だなー!どうにも出来ないー!ここに来てみんな大好き奴隷落ちコースかなー!



 そんなわけで体が動くようになったんで会館に来ましてですね、あのお姉さんに話しかけてみたんですよ、みんなの目線を集めながら。

 そんなにパンツが見たいか!割と今見えてるんだよ!


「あ、こちらからお呼びするところでしたパールライトさん。人食い熊退治の報奨金が出てますのでお受け取りください。色々と引いてますので疑問に思ったところはきちんと申してくださいね」



 へ?


 報奨金?



 詳細が印刷された紙(「印刷機」に「製紙機」かあ。この都市は古代文明の遺産がいっぱいあって豊かだなあ)を見ると


 差し引き合わせて合計1000ユロルと記載されていた。

「1000ユロル…(しまったよ一般市民のお金の価値調べてないから高いか安いかわからない)」


 オロオロしてると

「かなり少ないですよね。

 人食い熊殺しなら2000から2500ユロルくらいは出ると思うんですけどね。ちょっと乱暴すぎたんでしょうね。お気持ちは非常に深くわかります。」


「(さ、さらにわからなくなった)ええとええと、あの、薬草装備の弁償はどうなってますか?」


「ああ、20ユロルくらいなんですけど会館の請求費のなかに入ってますよ。大騒ぎになったんで請求費も高く取ってます、ごめんなさいね。」


「あっはい。(アイちゃんなんかある?)@請求費はいいので、これでピザ食べたり宿取れたり服を買い換えられるのか聞いてみるのはどうでしょうか。

(なるほど天才)あの!これで宿でご飯食べたり服を揃えたりって出来ますか?枚に入ってから服屋さんとか見てないんで値段が…」


 お姉さんはちょっと驚いた後


「ああ、PDA統一通貨ユロル単体では相場がわかりませんよね。大丈夫ですよ、気合い入れて服を買っても500ユロルもしませんよ、新品でね。」


 新品ってだいたい貴族と上流階級向けで古代文明産が超金持ちだから、1000って凄い高いのでは。


「分かりました、これで送金お願いします。」


「はい、ではPDAをそこにかざしてください」


 促されるままPDAを黒い多目的なんたらかんたら機ににかざして、チャリーン♪


 私は1000ユロルを手に入れたのだった。お腹すいた。服買ってパンチラもうやめたい。



 因みに二つ名も作られて、「熊殺し」や熊も糞男も右目を潰していたというところから「右目潰し」、「瑠璃色」などなど沢山作られました。名乗る気はない。


 巷では


「あいつを桜色にさせるな」


 という言葉が流布されていたようです。桜色になった瞬間糞男の顔が顔じゃなくなっていたからだと。もうしないしない。

 そんなわけでめでたしめでたし。

2018/02/18 起承転結を大幅に変更



2018/01/06 19:23 ちょいちょい修正 ユロルの説明をあとがきに追加

2018/01/06 21:15 更に修正。表記ゆれ訂正。

2018/02/10 13:25 街を適切な文字に変更

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