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「お目覚めになられましたか?瞳さん……いえ、瞳様」
意識を取り戻したら目の前にはライさんがいた。
「これは、また派手にやりましたね、そこらにあった石で何度も殴るとは怖いですね女の人は」
ライさんが、少し下がったその先には、咲ちゃんが横たわっていた。多分、死んでいるのであろう。誰が殺した?私が殺した。
「智は?」
「無傷のようでしたよ?」
それを聞いて安心する。やっぱり、私は、智を愛していた。だから、彼を殺す事はしなかったのだろうと。
「では、血抜きも終わりましたし料理するのでテーブルにてお待ちください」
「え?」
「おや、忘れたのですか?この方の存在を消す為のルールを。」
私が、咲ちゃんを食べる。食べて、智との仲を各個たるものにしてもう二度と浮気なんてさせないようにしよう。
「では、料理を始めますね。瞳様は、こちらの椅子にお座り待っていてください直ぐにお持ち致しますから」
「……はぁ」
やはり、抵抗はある。例え憎くて自らの手を汚してしまう事になった原因でも。
「お待たせ致しました、前菜の髪の毛サラダでございます」
出されたものは、髪の毛にドレッシングやプチトマトを飾ったものだった。量は、割合少なめで少し助かった。
その後も、血のスープにパンと魚料理は普通……いや、魚料理には脳みそが使われていたそうである。
苺とバニラの使われた可愛いアイスに添えられたスコーンには咲ちゃんの人肉が入っていたらしい。食べてから、教えられるそれに少しずつ少しずつ気持ち悪くなっていく。
ついに、肉料理が来てしまった。しっかりと、焼かれたそれは一見すると牛のように見える。しかし、咲ちゃんの部分なのであろう。
半分ほど食べた所だったろう、私の体は拒絶をした。
「もうっ、無理」
お肉の中には、指や目玉が詰められていた。もし、これが普通の豚や牛なら食べれただろう。魚の目玉なら、何とか食べれたかもしれない、けれど、これが咲ちゃんだとしたら、無理。指に塗られたら、ピンクのマニキュアはまさしく彼女だと自己主張していてこれを食べることに嫌悪感しかない。
「おや、貴女様も無理でしたか、久しぶりに食べると仰ったので少々期待し過ぎたようですね残念です、約束どうり食べた分のこの方の記憶は無かったことにしましょう」
お疲れ様でした。と耳元で囁いた後本店をご利用してくださいましてありがとうございました。またのお越しを…次があれば…。とのたまった。
次があるのだろうか、失敗した私にはもう社会的地位も智からの愛情も無いだろう。
そうして、意識を私は又手放した。