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桜の花びらが儚く散っている人気のない校舎のうらというのは、シチュエーション的には最高だと思う。
今日が最後のチャンスであるのだ。呼び出した、同じクラスの智が来るまでにシュミレーションをしなくてはえーと、桜の花びらをバックにして……
「おーい、瞳?話ってなんだクラスの奴らこの後打ち上げ行くみたいだけどお前も行くだろう?」
それは、勿論だけどさ。わざわざ呼び出したのだから少しは察してくれてもいいのに……そんな、鈍感な所や誘ってくれる所も好きなんだけどさ。
そう、私は目の前の男が好きだ。卒業式になるまで、告白も出来ずにクラスメートをやっていたけど、多分しばらくは関係は有るだろうけどそれも消えてしまうのだろう。中学のそこそこの付き合いだけだった友達のように。そんなのは嫌だなと思ったから、当たって砕けろ精神で、来たけど本人を前にすると何言えばいいのか分からない。いや、告白すればいいんだけどさ。
「どうした?具合でも悪いのか?
」
「き……」
「何か言ったか?」
「智が好きです」
その瞬間、風が強く吹いて、桜の花びらが私達を一時的に隠した。
これを、最初に書いたのは約三年前の9月でした