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人狼村開拓記  作者: やまぐ
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口減らしという名の旅立ち

初投稿です。

よろしくお願いします。

 世界の外れのような場所にある嶮しい山脈。その中でもひときは高い山の頂付近にその村はあった。

 人間がまともに生活することが困難なこの場所にある村には人は住んでいない。

 この村に住むのは人から獣人と呼ばれる者たちであった。

 人からの迫害によって住処を追われ続けた彼らは追いやられ続け、人が住むことができないこの場所にようやく居場所を見つけたのであろう。

 人が生活できない厳しい自然環境であったが、獣の血をいろごく残す彼らなら細々とではあるが狩りにより生計を立てることができていた。

 農業などにも手を出してもいたが環境柄あまりうまくいかず結果として彼らは山に住む狩猟民族のような生活をしていた。


 食料に乏しいこの村では常にシビアな選択を迫られる。

 満足な食い扶持が得られない年は口減らしといく形生きる者を選定し、村を存続させなけらばならなかった。

 

 そして、この年も村の存続のため1人の青年が口減らしとして村から追放されることとなった。


「本当にすまんのう。おぬしには何の落ち度も無いのに。本来ならこのババが代わりに出ていくのが筋であが…。」

 村の長である老婆が青年に向かって謝罪する。


「気にすんなって。俺は家族も死んじまったし1人だ。おまけにみんなよりも大食いだからな。俺一人いなければ村の子供たちが4人飢えなくてすむ。それに、ババ様の知恵はこの村に必要だろ。」

 青年、ローガは明るく笑ってそう答えてた。


「しかし、村一番の狩人のお前を失うのは惜しい。やはり今からでも別の者に…。何だったら俺が出て行っても…。」

 村の入り口まで見送りに来ていた村の者の1人から声が上がる。


「馬鹿言いうなよペスおじさん。あんたはのところはまだまだ子供が育ち盛りだろう。親が面倒見ないでどうするんだ。」

 村の者の提案を当のローガが否定した。


「しかし、俺は…俺たちは獲物が取れない時にお前さんに随分と助けられた。その恩を仇で返すわけには…。」

 そうだそうだとも周りの村人たちも同意する。


「気にすんなよ。困った時はお互い様。俺たちはずっとそうやって支えあってきたじゃないか。それに俺、実は山の外がどうなってるのか見てみたいんだ。だから笑って見送ってくれよ。」

 ローガにそう言われると村人たちも黙るしかなくなる。

 

「なんかしんみりしちまったな…。そんじゃ、俺はそろそろ行よ。みんな元気でな。」

 そう言うとローガは振り返らず村を出て走りだした。

 走りながらローガは涙をこらえていた。

(あ~糞っ。気い抜いたら泣いちまいそうだ。)

 走りながらローガは村でのことを思い返す。


 ローガは狼の獣人・人狼族であるが他の人狼族たちと比べてかなり異常であった。

 まず、顔。通常の人狼族は人間の顔にオオカミのミミをつけたようなファンタジーでおなじみのケモミミみたいな容姿をしている。

 しかし、ローガの顔は完全に狼であった。ホラー映画にでも出てきそうなオオカミ男であった。そのせいか知覚能力がもともと高い獣人の中でも異常と言えるほどの知覚能力を持っていた。

 次に、体。通常の人狼族は成人した大柄な者でも180センチ~2mほどであるが、ローガは16歳というまだまだ成長期でありながらすでに2m近い体躯を誇る。おまけにまだ成長の兆しがあり何処まで大きくなるか分からない。そのせいかこちらも、身体能力がもともと高い獣人の中でも異常と言えるほどの身体能力を持っていた。

 

 狭い村だ。1人だけ異常な容姿のものがいたら迫害、追放などの措置を取られてもおかしくはなかった。

 しかし、彼らは、追いやられる者の痛みを痛いほど知っていた彼らは、ローガを村の一員として迎え入れ今日まで育ててくれた。

 特に両親がはやり病で死んでしまった後は村人全員で助けてくれた。


 ローガはその大柄な体躯のせいか村1番の大食いだ。それでも、自分の食い扶持を確保して余りあるほどの狩りの腕をもっており獲物が取れなかった村人に分け与えたりしていた。

 そのため、本来なら口減らしで出ていく者には選ばれないはずであった。

 しかし、高い知覚能力を持つローガは自分の狩りの影響で山から次第に獲物がいなくなっていっている事に気づいていた。

 そのため、長老たちが口減らしをどうするか決める話し合いの時に自分から言い出したのだ。

 今年も口減らしが必要なら自分が出ていくと。


 こうして、ローガはこの日、16年暮らし育ててもらった村から旅立つこととなった。


 村での事を思いながら走り続け気が付けば山の麓近くまできていた。

 ローガはここでようやく振り返り村に向かって別れの挨拶をした。


「アオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」

 遠吠え、それは狼達が仲間どうしで呼び合う為に行っているとされている。

「オーーン」

 ほんの微かに返事が聞こえたきがした。


 ローガは知らずにたまっていた涙をぬぐうと歩きはじめた。

始めまして。

やまぐと申します。

今後頑張って行こう思うのでよろしくお願いします。

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