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公文書偽造

聖女暗躍編の後辺りです。多分。



昨日、珍しく装備を一部破損させて帰ってきたカイトは、装備の自己修復が終わってないとのことで、本日はお休み。

肩の部分の布が大きく破れた、見慣れない・・・・ちょっと困ったような恥らうような笑顔を浮かべたカイトの姿に、皆で慌てた。

怪我は渡してある「異回復薬」でさっさと治していたものの、カイトの装備破れるような敵って・・・と慄きつつ聞いてみれば、皆で呆れてしまった。

「ああ、65階のボス土竜で、大きさに反して結構早かったので苦戦しました」って。

カイト、ソロで潜ってんだよね?

アンタ、1人でダンジョン最深層記録突破ってって、おかしくない?

ソレも相手、曲りなりのも龍種じゃね?

龍種って普通、複数パーティーで倒すもんじゃねぇの?

「ちゃんと、刀の方使ったんだよね?」と、不安になりつつ聞いてみれば、「あ、そうか。刀で戦えば良かったのか」とぼんやり笑顔のまま答える、クラリスもびっくりな天然ぶり。

「お願いだから、刀で戦え」と言えば、「加減間違って、ダンジョン壊しそうで」とはにかんだ笑顔が返ってきたので、何か言うのを止めました。

多分カイトなら、1人でだってダンジョン最奥に辿り着いて、普通に笑顔で戻ってくると思う。

だんだん人間離れしていく気がするが、まあ、私の敵になることはないので気にしない。

そんなカイトが、本日はすることもなく暇だと言うので、私の錬金術研究のお手伝い。

「異回復薬」なんかの私専用特別変異薬は、カイトも作れない。

が、魔力組が作る薬程度なら、片手間で高品質作ってしまう。

カイトは本当に万能なのだ。

料理は下手だけど。

カイトの弱点は料理だった。

見た目は綺麗なのに、味がおかしい。

そう、おかしい。

食べられないほど酷くないけど、何か足りなかったり妙な風味がくっついてたり・・・・・・・・・。

まあ、食べられないことはないので、弱点と言えるほどでもないが、他が完璧だけに、残念さが際立ってるわけだ。

そんなことを考えながら薬同士を混ぜて、ポンって小さな破裂音と共に異臭と煙が広がる。

「物体X・・・・・・・・・」

黒っぽい虹の輝きを見せるドロドロ。

錬金術で失敗すると、この妙なものが出来る。

解析は


物体X 品質:謎 失敗作


となる。

カイトの解析でも似たようなもので、? が一杯並んでいるそうな。

これも何かに使えるかもしれないと、また鞄に放り込んで溜息。

「うーん、今日は飽きた」

「息抜きに、どこか行きますか?」

そうだね。

お外でカフェランチもイイかも知れない。

基本、カイトが一緒じゃないと本部から出してもらえないからねぇ。

カイトがいない間に何かあったら、街が崩壊するとか言って皆喚くから。

まあ、カイトがキレたら本当に街が瓦礫と化しかねないので、よっぽどの理由がない限り、お外に出ないようにはしているんだけど。

つまり、本当に行きたかったら、そんな細かいことは気にしない。

オッサンが泣き喚いても煩いだけなので、気にする意味もないけど。

「よし、カイトはなに食べたい?」

「グラタン食べたいですね。あとチーズオニオンスープにから揚げとか」

見事なお子様大好きメニューだ。

カイトってば、味覚、お子様だしねぇ。

野菜は食べれないことはないけど好きじゃない。

けど、現代日本人の知識として野菜の栄養素必要と分かっているから、仕方ナシに食べてるって感じ。

「私はラザニア食べたい」

「ああ、ラザニアもイイですね」

そんな食べ物の話をしていたからだろう。

グーッと派手なお腹の音が部屋に響く。

カイトじゃなくて私の腹から。

「んじゃ行こう!」

危険物は全部バックにつめて、さっさとマント着て。

カイトが一緒なので、杖はバックの中。

って言うか、杖出してどうこうしたこと、1度もないんだけど?

まあ杖って一応、魔法効率が良くなるとかだけど、私が基本魔法使うことないし。

いつものように、カイトに抱き上げられ部屋を出る。

部屋の外にいたその1が嫌そうに顔を歪める。

「今日はお篭りじゃなかったのかよ?」

「んー? 気分が乗らない。お腹空いた。カフェランチの気分なの!」

「だから、俺には金がない!」

知ってる。

また給料から差っ引かれたんだってねぇ。

可哀想に。

つまり、護衛のその1は私達のご飯食べるのをただ見てるだけ。

ちょっと楽しいとか、ざまあみさらせとかは言わない。

「嬉しそうに笑うな!」

「奢りますよ」

「カイト、ありがとうっ!!!」

がしっとカイトの肩を掴んで涙ぐむその1。

ああ、暑苦しい。

って言うか、カイトは割りとお金の使い方が荒い。

こうやって、いつも無駄に金をばら撒いていくのだ。

その1なんて、ほっときゃイイのに。

それだけ稼いでるってことでもあるんだけどさぁ。

「その1はとにかく、市場も見てから、おばあちゃんとこ行こうよ」

「市場って、お前また、薬に変なもん混ぜて実験させる気じゃないだろうな?」

変なとか失礼な!

「お子様でも飲めるように、果物混ぜただけじゃん」

回復薬に。

「果物の甘さと匂いに、妙に口に残る苦さが混ざって、気持ち悪いんだよ!!」

確かにその1の言う通りの味だ。

「子供達には原液飲むより、あっちがマシって言われたけど?」

「どっちも不味いことには変わりない!!」

まあ、その通りだね。

「今日は「ドーピング薬」の材料買い足しに行くの」

今のところ、一時的な体力強化しか出来てないんだけど。

色々付けたいよね。

速度強化とか肉体強化に魔力強化。

出来るなら、効果継続時間も延ばしたい!

夢は広がる。

「うん、お前の作る薬は絶対おかしい」

「うっさいわ」

今のところ「ドーピング薬」も、私と「治癒」能力を持つちびーずしか作れない。

ちびーずが作るより、私が作った方が品質は高いんだけど。

ちびーずの作る薬は、やっぱり魔力の後込め品質アップは出来ないとか、色々細かく言えば、わたしの作るのとは違ってくるみたいなんだよね。

なんでかは分からない。

「回復」と「治癒」の違いだろうって話だけど。

そうそう、試しに王様弟にも薬作って貰ったら、「異回復薬毒」が出来た。

怪我は治すけど、同時に毒に犯されるという恐ろしい薬だ。

同じ手順のはずなのに、王様弟が作るとなぜか、これしか出来ない。

だけど王様弟は面白がって量産し、部下達に無理やり押し付けたんだそうだ。

飲んで訓練とか楽しそうなことまでやってるって、遊びに来たゼンおじ様が溜息混じりに言ってた。

もう、王様弟に薬のレシピは教えるなってお言葉つきで。

そこですかさず、私の腹が飯を食わせろと自己主張。

グーグー鳴る音に、カイトは笑いながら腹に耳を寄せ「急ぎましょうか」と正面玄関に向かった時、門番とどこぞの誰かが揉めていた。

「ええいっ! ここを通さんか! 私を誰だと」

「誰であろうと、現在警備隊敷地内には、事前連絡のない者は通せません。右にある詰め所受付で面会予約を取ってください」

「お前! 誰に物を言っているのか分かっておるのか!?」

「国王陛下であろうとも、現在は事前予約が必要です」

「なんと、恐れ多い!! おい、お前達、こいつの首を刎ねよ!!」

なんか物騒なことになってんね。

ピエロ並みのド派手な服に骨がましいオッサンが喚き、その後ろのきらきらの白い鎧の兄ちゃん達が、これまたキンキラ宝石はまった剣に手をかけている。

「なんか、どっかで見たことない?」

「骨男爵です。メイを誘拐しようとした、幼児性愛者の部下を持つ」

「ああ!」

そうだよ!

あの時の顔ぶれじゃん。

「カイト? お前、時々さらっと毒吐くよな?」

「そうですか?」

その1の引きつった顔も、カイトのさわやか笑顔には勝てなかった模様。

「それより、このままじゃ出られないんじゃない?」

「柵越えますか?」

「本気で勘弁して。俺、どうやってついてくんだよ? これ以上給料を減らすな!」

まあ、その1の重さのある鎧じゃ、柵よじ登るのは大変だよね?

だからって、回り道してまでその1待ってあげる優しさはないし、あの面倒臭そうなのを突っ切るのも無理だろう。

どうしようかと思っていたのが不味かったのだろうか。

首を刎ねるとか物騒なことを口にして、剣の柄を握ったまま動かない白い鎧のお兄ちゃん達。

そらそうだ、剣抜いちゃったら門番のおっちゃん達の、大義名分が出来る。

所謂、公務執行妨害って奴ですねぇ。

ワーワー喚くだけで捕縛はやりすぎだとしても、剣抜いたらさすがにアウト。

仲間を呼ばれて、数で取り押さえられるだけ。

おお馬鹿か、腕に相当の自信がない限り、普通の人は、警備隊員に剣は抜けない。

だからってこのままじゃ、骨男爵に怒られる。

今も早くしろ早くしろと、人事のように喚いてるのだから。

そこでどうするか思案しつつ見回して、私達を発見した模様。

怒って喚く骨男爵に、私を指差しながら何事か囁いている。

「もう良いわ!!」

じゃあ、さっさと帰れと見ているが、どう見ても視線はこちらに釘付け。

素直に帰ってくれる気配はない。

「娘、こっちに来い」

そしてなんでか命令されるし。

「柵越えて行っちゃおうか?」

「そんなことしてみろ。あいつ等引き連れてカフェ押しかけるぞ」

その1、お前はどっちの味方なんだ?

その1の血走った目に、本気を感じ取り、溜息吐きつつアイテムバックから常備しているリンゴを取り出す。

一緒に出したハンドタオルでリンゴを磨いてから齧る。

うん、甘酢ぱいリンゴの風味が広がって、美味しい。

美味しいけど、ラザニアも食いたいなぁ。

食べれるかなぁ?

「お、おのれ!!! こちらが下手に出れば付け上がりおって!!」

「男爵」

怒って喚いて地団駄踏んでるイイ年したおっさんは、部下の諌める声に、大きく深呼吸して顔を引きつらせた。

「娘、ありがたく思え! お前を我が嫁に迎えてやる」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロリコン変態犯罪者。寝言は寝て言え」

口の中に物を入れたまま喋ってはいけませんと子供の頃教わった私は、とてもいい子なので、リンゴを確り噛み砕いて飲み込んでから答えを返した。

「二度と顔見せるな、下種が」

「キッ、貴様!!!!!」

門の外で暴れる骨に、門を閉めにかかる門番と、それを阻止しようとする骨の手下。

騒がしいことこの上ない。

「男爵」

門番との小競り合いをしつつ、骨を嗜める部下の声。

その声に、骨ははっとしたように髭に手を伸ばし、また深呼吸して、口元引き上げて勝ち誇った顔でなにやら喋り始める。

「娘、そのように生意気なことを言って良いのか? お前の所属する、診療施設は今日から、私の管理下に置かれる。私の一存で、潰すもなくすも思いのまま、なのだぞ?」

なんかニヤニヤ訳の分からないこと言い出したなぁ・・・・・・・・。

「もう面倒だからサクッと殺っとく?」

「うわあああ! だから、クナイ出すな!!」

カイトの腕に掴みかかるその1に、カイトは面倒臭そうにクナイを一旦仕舞った。

「アレに素手で触れたくないのですが」

「意味が違ーよ!!」

「あ、そうか。蹴りで始末を」

「だから違うっっ!!!」

カイトもその1も大真面目なだけに、笑えて仕方がないやり取りである。

「おいっ! お前達は人の話を聞いておるのか!? 私は診療所を」

「やれるもんならやってみなよ? こっちは今から王様の弟に言いつけに行くから。どこぞの骨が、ロリコン変態犯罪者の癖に、妄想こじらせて子供の楽園とばかりに『聖なる保健室』を如何わしい性犯罪で汚そうとしてるって」

「なっ!!」

「メイ? 誰もそんなこと一言も言ってねーぞ?」

その1の呆れ交じりの突っ込みに、そうだっけと首を捻る。

「6歳児を嫁にしたがる変態が、同じ年頃の子供がうじゃうじゃいる施設をでたらめ並べて乗っ取る理由なんて、性犯罪に使うか、公金横領しかないじゃない」

「だから、後の公金横領の方だよ。チビ達の診療所、結構儲かってんだろ?」

そうなんだよねぇ。

運営が軌道に乗って、イイ感じで皆に給料を払いつつ、それでも余裕があるってことで養護院にまでお金を回しているのだ。

安定するまでもう少し時間がかかるだろうと思っていただけに、早い段階の儲けにびっくりだよ。

真面目なリゲルとジュリなんかは、1日交代の営業じゃなく、もう少し日数を増やせないかとまで言い出してさぁ。

ミアが、子供なんだから無理はいけないって宥めすかしてるんだけど。

移転後の再開ともなれば人数が増える予定なんで、毎日営業も可能になるかもしれないけど。

「そもそも、お前をどうこうしようなんて特殊な趣味は、早々いない。あいつが欲しいのは王弟殿下の後ろ盾だろ。お前と婚姻することで繋ぎにしてぇんだよ」

「・・・・・・・だよね? でも、王様弟なら普通に会いに行けば会ってくれると思うけど?」

「あの方は会ってくれるだろうが、参謀と副団長のブラックリスト行きだ。どんな報復が待ってるか分からん」

そっか、エルおじ様もゼンおじ様も結構武闘派過激思考だもんねぇ。

そんな人のブラックリストに載ったら、まあ、まともな生活は望めない。

「でもさあ、ここで私に嫁とか言い出した時点で、同じ事だってわかんないのかな?」

「知らねぇんじゃねぇ? お前は王弟殿下の後ろ盾を得たんじゃなくて、養女になったってこと」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は? 誰が、なんだって?」

「メイが、王弟殿下の義理の娘」

「へ? そんなん聞いてないよ!?」

「え?」

そこでなんで知らないんだよとばかりにカイトを見るその1。

見られたカイトはいつもと同じ穏やかな笑顔で喋りだす。

「エルさんと取り合いしていましたが、じゃんけんで王弟殿下が勝ちましたので」

意味わかんねぇよ!

人の戸籍を、じゃんけんで決めんじゃねぇ!!!

「僕は戸籍上、エルさんの弟ですね」

「なにそれ!? なんで私が知らないの? って言うか、いつの間に? 何事!??」

「まあ、落ち着いて下さい。リンゴ落としますよ?」

「それどころじゃねぇ!!」

「うぉぉぉっ! 私の頭にっ!!!」

食べ欠けリンゴを放り投げれば、どこぞの骨の頭に当たったとか、今はどうでもイイ。

「なんでも、メイと僕の事を勝手に自分の娘や息子にしようとした迷惑な方がいたそうで、「一々その都度潰すより、手を出しようがない戸籍を作ってしまうのが、手っ取り早い対抗策だ」と言うのが、エルさんの言葉でした」

意味はわかる!

分かるけどさぁ!!

「なんで、私が知らないのさ!!」

「あなたに教えると、別の面倒に頼みそうだからです」

「は?」

「どこぞの変態・・・・そちらの父親とかに」

カイト、本当に、ギルマス嫌いだよね?

まあ、そんな話振られたら、頼みに行くとしたら・・・・・・ギルマスかアリスだろうねぇ。

一番面倒なさそうだし。

「なので、メイや僕が誰かと婚姻するには、国王陛下の許可がいるらしいです」

結婚する気はないので、そんなんどうでもイイと言えば、どうでもイイが・・・・・・。

「逆に結婚命令されても聞く気はないけど?」

「イイんじゃないですか? 肝心の父親が1度も結婚してないのに、義理の娘に結婚しろなんて無茶は、言えないでしょうし」

そらそうだ。

先に、結婚もしてないのに娘を作ったお馬鹿をどうにかしろって言われるよね?

正真正銘間違いない王族なのだから。

私はあくまで義理、なんだし。

「つまり、警備隊は現在、王族の警護を兼ねており、出入りを厳しくしております。これ以上騒がれるのでしたら、王族への不敬罪で拘束し、近衛に突き出しますが?」

門番のその言葉に、青褪める骨。

うわぁ、こういう言い訳も含めた上の、王様弟の娘・・・・・・・・・。

面倒な気もしないでもないが、それで何が変わるとも思えないし・・・・・・・・・。

「まあ、いいや」

「でしょう?」

ニコニコのカイト。

カイトだって、面倒になればこの国出ちゃえばいいと思ってるだけのような、気もしないでもないけど。

あうあう言ってる骨が、部下達に引きずられる。

まあ、これでいい加減大人しくもなるだろう。

二度と関わらないでくれるとありがたいんだけど。

「オジサン。ついでに、エルおじ様の所にも、今あった話丸まんま伝えてくれる?」

どうせ、隊長に報告に行くのだろうから、そのついでに第2師団まで行けばイイと。

「・・・・・・分かった」

なんか、おじさんが遠い目をしていた気もするが、気にしない。

「さぁて、お腹空いた! ランチだランチ!」

「はい、行きましょうね。晩御飯には戻りますので」

門番にまで丁寧に挨拶するカイトは、いつものようにメイを抱いたまま、ぬいぐるみでも抱えているように颯爽と、門を開けることなく飛び越える。

「おい、こら待て!! つーか、早く開けろ! 撒かれちまう!!」

その1事ロイドは、これ以上給料を差っ引かれては溜まらないとがなり立てる。

門を開けるなり、飛び出して行くロイドを見送りながら、門番の一人が口を開く。

「メイさぁ、自分が王弟殿下の娘になったことも知らなかったんだよな?」

「どう見てもそうだな」

あの騒ぎようは、嘘じゃないだろう。

というか、基本メイは素直だ。

本能のままに、言いたい放題やりたい放題とも言うが。

「じゃあ、勿論、カイトが婚約者に納まってるってことも、知らねーんだよな?」

「ああ」

隊長の話では、メイの肩書きだけで目の色変える貴族や他所の王族がごり押ししてくる前に、相手を宛がっとく必要があるとか言う話だったのだが・・・・・・。

「カイトも、結構地味に外堀埋めてく策士タイプだったんだな」

「まあ、笑顔の下で色々画策はしてるよな」

メイは気付いてるのか気付いていないのか分からないが、カイトの好意に大変無防備に接している。

見ていて、おいおいと思うことも少なくはない。

メイは中年親父でもドン引く下ネタを平気で口にするので、純情気質のあるカイトが頬を赤らめる姿が痛々しいというか・・・・・・。

「いつまで、あいつらは、一緒の部屋で寝泊りする気なんだろうな?」

部屋は幾つも空いているのに、あの2人はいまだに、1つの部屋の1つのベッドで仲良く寝ている。

今のところ、そういう行為は一切見られない、健全な寝泊りらしいのだが。

「もうイイんじゃね? メイに他に男が出来る方が絶対ヤバイし」

その言葉に、色々想像しかけて青ざめるオッサン2人。

「ああ・・・・・・俺、隊長に報告行って来るわ。そのまま第2師団に行くと思うんで、代わりも寄越すから」

「おう! メイもカイトもいないんだ。問題ない。ゆっくり行って来い」

そう、メイとカイトがいなければ、警備隊内は基本平和だ。

メイとカイトが警備隊敷地外に出ることで、警備隊敷地外の平和が、危うくなるというだけで。

今日も無事に、1日が終わりますように。

それが警備隊皆の、ここ最近の真摯な願いになりつつあった。

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