死ぬ際に、嘘をかじり大好物のはずの真実を残してしまいました。
<出演者>
死神
主人公:??
大きな木が立っている。
黒い嘘の樹と白い真実の樹。
2つの樹に宿る死神が僕にこう言うんだ。
「私、今月一番魂の狩る数少なくて、この仕事クビになりそうなんです。」
「そうですか。死神さんも大変なんですね。」
僕らは非常識にも話が弾んでしまった。
僕も仕事はうまくいっていなかった。まさに、この死神と同じだった。
それに加え、僕はなんというか犯行現場でばったりと犯人と会ってしまったという。
そして、ここにいるのだ。
「それにしても、貴方は運が悪いですね?身内がやったなんて思いもしなかったでしょう。私も同じ感じのがあったんです。カノジョが浮気していましてね。」
「それは大変だ。死神でも浮気・・しちゃうんですね?」
「はい。一応、そっち関係は感情的でして。」
「僕にも同情してくださいよ・・はは。」
「でも、私、クビになってしまうのでごめんなさい。」
僕は、カノジョが自分のことを刺していたなんて思いもしなかったな。
まぁ、見てしまったのだから当然なのか。
樹と樹の間で立つ変てこな姿をしている死神は大きなカマを取り出した。
「さぁ、私、ちょっとカノジョと話し合いたいんで、どっちかの実を選んでください。それを一つ採りますんで。」
「なんか、繁盛しているんじゃないですか。死神さん。」
「え!?報酬はばらしませんよ。さぁ、どっちがいい?」
僕は、もう少し話がしたかった。
だが仕方がない。
僕が選ぶのは・・・
「真実が大好物なんで・・」
「では、真実ですね?」
死神は真実の実をひょいとカマで採ると僕に渡した。
真実の実は真っ白だった。
しかし、後ろを見てみると真っ黒だった。
実の半分が黒で半分が白だった。
「あ~。それ、途中でやっぱりあっちっていう人が多いんで改良されたみたいなんです。」
「へ~。発展してますね。」
「ハイ!」
僕は迷いはしない。
当然、・・・
「あれ。僕は・・・」
なぜか黒い部分を平らげていた。
白い実が床に落ちる。
「あれ?おかしいな。真実が大好物なはずなんですが?」
「あぁ~よくあるんです。それ、心を読んじゃう実でしてね。本当に思っているほうを食べるようにもなってます。」
「改良してますね。」
「ハイ!!」
僕は、真っ黒な世界に溶け込んでいた。
僕はカノジョを忘れられなかった。
カノジョに苦しい思いを味わってほしくなかった。
「あの、痛いですか?やはりこれから。」
「大丈夫ですよ。私もいますし。」
「そっか・・・・それは・・・安心だ。思いっきり痛くしてくださいね。」
「なぜです?」
「生きていた証を心から感じたいので。」
『はい。では、終わりなき旅へごあんなぁ~い!』
僕は、死ぬ際に、嘘をかじり大好物のはずの真実を残してしまいました。
これはシリーズなのでぜひ他のも呼んでみてください。
あと、他にも連載しているのでどうぞ見てくださいっっ!