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童話トリップ!  作者: 深月 涼
第1章 白鳥の湖
4/53

【悲報!】なお白鳥王子の逆ハーレムがついに解散を宣言した模様【朗報?】

この章は基本男性視点です。




1:浮かれ小坊主

  だってさ!


2:エメラルドの都の魔法使い

  お前、こんな事の為に駄スレ立てんなし


3:浮かれ小坊主

  でもニュースでしょ?


4:白雪姫

  まあ、そう言われれば

  そうとしか言いようがありません……か?


5:7人の狩人 3番目

  どっちなんだよ姫さん(笑)


6:魔弾の射手

  具体的には何がどうなったん?


8:浮かれ小坊主

  たまたま用事があって出向いた湖で白鳥の末の王子がオデット姫に一目惚れ

  話を聞き付けた兄弟達が彼女欲しさにわざわざ出向いて合コン開催

  逆ハーレム解散←イマココ


9:おおかみさん@小腹が空きました

  ちょ、おまwww


  無理があるだろその3行www


10:白鳥の王子 妹姫

   認めませんわ


11:浮かれ小坊主

   本人降臨キター(笑)


12:白鳥の湖の悪い魔法使い

   みとめねえって、もうすでにそうなってんだろ?


   諦めろよ(真顔)


13:白鳥の王子 妹姫

   断固として認めませんわ!

   わたくしのお兄様達が、おにいさまたちが……っ!!

   

   わたくしだけを愛しわたくしだけを見ていてくれる

   わたくしの為だけのお兄様達が……っ


   わたくしの事をキレイだよって褒めてくれたその笑顔を

   わたくしの事を撫でてくれたその優しい手を

   わたくしの事を愛しているよってささやいてくれたその言葉を


   わたくし以外の女に向けるなんて

   絶対に許せませんわ!!


14:腐乱12の犬

   ギリギリ


   てか?


15:白鳥の王子 妹姫

   寄らないで下さいませ汚らわしい!!


16:浮かれ小坊主

   ワwンwブwレwスw


17:腐乱12の犬

   (´・ω・`)


18:エメラルドの都の魔法使い

   んで?話しってそれだけ?

   

19:浮かれ小坊主

   うん!(笑)

   

20:白鳥の湖の悪い魔法使い

   つかな、お前いい加減にしてくんないかな


   お前一人のせいで皆の空気が悪くなってんのよ?

   わかる?(真顔)


21:白鳥の王子 長兄

   妹が済まないな(苦笑)


22:白鳥の湖の悪い魔法使い

   それ謝ってねえから(真顔)


23:白鳥の王子 妹姫

   お兄様……っ!!

   

   お兄様だけが頼りですわ!

   何とかして他のお兄様方の目を覚まさせて差し上げませんと……!!


24:白雪姫

   あらあら


   これでは例え魔女さん印のお薬をつけて差し上げたとしても

   効果はなさそうですわね(にっこり)


25:エメラルドの都の魔法使い

   ん?という事はオデットの正式な相手……えっとジークフリード王子だっけ?

   今どうなってんだ?


26:白鳥の湖の悪い魔法使い

   あー、あいつなー、何でか白鳥追い回してるぜ


27:おおかみさん@おやつなう

   は?


   え?それってオデット姫さんとか侍女の皆さんでなく?


28:魔弾の射手

   ごくごく普通の一般的なあの動物の白鳥って事でええのん?


29:白鳥の王子 妹姫

   こういう時こそわたくしにしておけば良いのですわ!


30:白鳥の湖の悪い魔法使い

   お前は懲りろ(真顔)

   そして黙ってろ(@益@)




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ここは、『森』より北に位置する大きな湖。

 険しい山の麓に広がる広大な湖には、冬も間近な現在、水鳥達……とりわけ多くの白鳥達が暮らしていた。

 今は渡りの季節もぼちぼち終りに近くなって来てるせいか、毎日鳥のうるさい声で1日が始まっているが(そして魔法使いがすげえ不機嫌な顔で起きて来る)これもしばらくしたら静かになるんだろうな。

 

 人間の足で2時間ほど行けば近隣にはそれなりにでかい街もあり、暮らしには困らない。

 鳥の翼ならばもっと簡単に自由にどこへでも行けたから、それもあって今の『俺達』は白鳥の多く集まるこの湖―――『白鳥達の楽園(エデン)』を根城(ホーム)に活動していた。

 ……誰もそんな名前で呼ばないが。大抵『湖』でカタがつくし。




「…………」

「…………」

 じーっと見つめる。

 向こうも、じっと見つめ返す。

 相手は水の上、しかも飛べるとあってはこちらの方がやや不利か。

 だが、諦めない。

 今日こそ尻尾をつかんでやる。

 そう思い直して視線を強くすると、焦った様に見ていた相手……やや灰色がかった白鳥が翼をはためかせた。

 ……やっぱりだ。

 ……やっぱり“鳴かない”


 確認の為に視線を湖上の中心に向ければ、そこには多くの水鳥達が今日も元気に騒いでいた。

 ぎゃあぎゃあと姦しいことこの上ない。

 視線を戻す。

 逃げない。

 騒がない。

 ……変な鳥。

「なあ」

 声をかけると“こっちの顔を見た”。

 ……やっぱりだ。

 ……こいつは“人の言葉を理解している”。

「……お前やっぱり―――」

 がこんっ!

「てっ!?」

 おい、星、星が見えたぞ今!!


 振り向けば、呆れたように立っていたのはこの湖に暮らす仲間の内、数少ない“人間”の男性。

 俺と同じ“仲間”の『白鳥の湖の悪い魔法使い』ことロッドバルドだった。

 つうか杖で叩くなよ!貴重な脳細胞死んじゃうだろ!?


「いい加減にしろジークフリード。いくら頑張った所で白鳥は白鳥。人間にはならねぇよ」

「いやだって今、俺の呼びかけに応えたぞ!」

「声が聞こえたから反応したんだろ?」

「いや、絶対自分が呼ばれたって理解してた!今の反応は絶対そう!」

「あー、はいはい、妄想乙」

「妄想なんかじゃないって!!」

「何だって構うんだか。もし仲間だったとしても、静かに暮したいってヤツくらいいるだろうに」

 くっそ、こいつ信じてないな!?

 肝心の白鳥は、自分は関係無いわーって感じで羽繕いなんかしてるし。

「それよりちょっと話がある」

 場所を変えるぞ、と言ってロッドバルドは俺に背を向け歩き出す。

 仕方ないので俺も後を追いかける事にした。

 最後に確認するつもりで振り向けば、あの白鳥はやっぱりじっとこちらを見ていた。

 くそ、次こそ正体を暴いてやるからな!覚えてろよ!!



 少し歩くと、そこそこの大きさの小屋が見えて来た。

 そこが今の俺達の仮拠点。……仮になってから随分経つが。

 ……そろそろ本格的にこっちにも着手しないとな……。

 『建築部』に頼んでどうにかしてもらうべきだろう。……あまり派手な事にならなきゃいいが。

 それはともかく、扉の前には真っ黒なショートカットに黒いミニスカートの女の子がひとり立っていた。

 ―――――魔法使いロッドバルドの相棒、黒鳥のオディールだ。


「お帰りなさいませ、“お父様”」

「……お父様っていうんじゃねえよ」

 表情の変える事無くしゃあしゃあとそう言うオディールに対し、ロッドは顔を顰めた。

「あんなの“設定上”だけだろ?実際に血なんか繋がってねえだろうが」

「………でも、嬉しくありません?“お父様”」

「……あのな、俺は恋人にお父様って言われて喜ぶ様な変態趣味はねえの。いい加減にしやがれ、コラ」

 幾分優しい声音でそう言ったロッドは、持ってた杖でこつんとオディールの額を叩く。

 …………俺に対する扱いと違う……。

「後、違って当然だからな」

 読まれていただとっ!?



 “設定”それは、『神』が俺達に一方的に与えて来た肩書き。


 白鳥の湖という話を知っている人間は多いと思う。

 湖の悪い魔法使いに、呪われた白鳥の姫。

 助け出す王子に妨害する黒い鳥。

 それが、“俺達に与えられた役割”。


 数年前……正確に言えば5年ほど前の事だ。

 『現実』の世界で、『メルヘンワールド』というオンラインゲームに興じていた俺達は、この世界の『神』だとかいうヤツに連れ去られた。

 過去も名前も奪われた俺達は、どうにかしてヤツを封印し、自由を得る事に成功した。

 ――――――その為に支払った代償は大きなものだったが。

 大事な仲間を減らしてまで勝ち取った自由だったが、それでも俺達を取り巻く世界は楽なものにはならなかった。

 ご都合主義な事に、ゲームでのステータスは見えなくなったものの健在で、しかも既存の魔法だけでなく願えば何でも叶えられる世界と来たら、廃人達が狂喜乱舞するだろ?普通。

 そもそも、そのおかげで自由になれたんだしな。

 でも、この世界の元の住人達はそうじゃ無かったんだ。

 この世界の一般常識的には魔法は邪法。俺tueeeee=化け物扱い、だもんな。

 そういった訳で俺達―――白鳥の湖チームは、こうして人里離れた場所にコロニーを作り、何とか共同で暮らしていると言う訳だ。

 最近何だかんだあって人数増えたけど。しかも野郎ばっか13人。……くそう。


「まあいい、とにかく話を始めるぞ」

 ロッドが気を取り直した所で、俺とオディールも居住まいを正す。

「最近の街の様子を知ってるか?」

「いや、話に聞いているだけだな。飛べる連中と違って俺は魔物狩り(かり)の方に専念させて貰っているし」

 そうなんだよ。この世界、魔物いるんだよな。

 俺達からすれば雑魚みたいなもんだけど、時たま街の方にも出て来るらしく、そういった場合討伐依頼が来る事もある。

 魔法を禁止されている人間に、魔物退治は無理だろ。

 まあこの魔物っていうのも、俺達がこの世界に来た時と時期を同じくして出現したらしく、そのせいで現地住民から影で言われているらしい事は知ってる。

 俺達も被害者だと言いたくても、向こうからすれば似た様なもんなんだろう。

 ……って事で今の所スルーしてる状態だ。


「それがな、少々様子がおかしい」

「……それは」

「まず犯罪件数が増えた」

「治安が悪くなったって事か?」

「ああ。被害はそう深刻じゃないらしいがな。けどほっといたら悪化しそうな雰囲気がある」

「揉め事や喧嘩も多くなって来ていると言う事?」

「そんな感じだ」

 あそこの街、治安はしっかりしてそうだったけどな。……領主館の趣味は悪いけど。

「派遣の騎士は?」

「ガラが悪くなった。勤務態度もいい加減、という報告あり」

「女連中は行かない方がよさそうだな」

「同感、ね」

 俺の呟きにオディールが賛同して頷いてくれた。

「領主様とやらも懸念を示していてな、俺達に護衛を依頼して来た」

「まあ、それは構わないが」

「王子達にも話を通しておいた方がよさそうね」

 顔を見合わせ今後について話し合う俺とオディールに、ロッドバルドが実にいいタイミングで爆弾を落とした。

「守るのは自分の家の宝石、だそうだ」

「「はあ!?」」



 何でもご領主様は最近になって、大層美しい宝石を手に入れたらしい。ただし曰く付きの。

 どうやらそのせいで疑心暗鬼になっているらしく、その宝石のある部屋に籠りっきりになってしまっているそうなのである。

 趣味以外は割とまともな人だと思っていたが、やはり宝石の様な価値の高い……高すぎる物を手に入れると人間変わるもんなんだろうか。

「ついでに言うと、ちょっとした噂があってな」

「ウワサ?」

「そうだ。何でも最近怪盗が出没しているらしいぞ?」

「怪盗?」

「宝石専門の泥棒、と言ったところだな」

 ロッドバルドの話では、王宮で管理している宝石のいくつかが盗まれたらしい。

 もっとも、それほど価値の高い物では無かったそうだが、これを聞いたご領主がすっかり怖気づいてしまった様なのである。

 絶対盗りに来ると宝石抱えている様は、もはや強迫観念の域だとか。……ホントかよ。


「まあ、1週間も見張ってれば何か掴めるだろ」

「気楽に言ってくれるぜ」

「頼んだ」

「てめえも来るんだよ!」

 てめこら、お前も数少ない人間側だろうが!俺1人に押し付けようとすんな!

 素知らぬ顔で逃げようとするロッドの襟首を掴み、額を突き合わせる。

 ちなみにオディールは顔を赤らめ「まあ」とか言ってる。

 それ唯のポーズだって、こっちは知ってるんだからな?


 睨み合いの攻防戦を繰り広げていたら、上から声が降って来た。

「ジークフリード、ロッドバルド!何かあったのですか!?」

「2人とも落ち着いて!喧嘩はダメだよ?」

 この『白鳥の湖』の主役でもある『オデット』と、南から引っ越して来たばかりの彼女の恋人、『白鳥の王子 十三兄』だった。

 降りて来た2羽の白鳥は、地面に着地すると同時に美男美女の姿になる。

 ああそうか、……もう夕刻か。



 『白鳥の王子 十三兄』――――――そうだ。これもまた、俺達に与えられた“設定”のひとつ。

 過去を取り上げられてしまった事によって、俺達は名を失った。

 新たに与えられた“称号”という名の“個人別設定”には、人名自体が存在しないものも多く、称号で区別が付きにくい者達や、そもそも称号を名乗るのに抵抗のある者達が、自分らの趣味で好き勝手に名乗る事も多かったんだ。

 

 ――――――とと、思考が脱線した。

 俺達はさっきまでの話の内容を彼等にも伝え、特に女性陣を取り纏める立場のオデットには、出来るだけ湖から離れない様通達して欲しいと伝えておいた。


 そうして早速その夜から、俺とロッドバルドは領主館での張り込みを開始した。



「けどさ、必ずしも来るとは限らないだろ?」

 領主が宝石を抱え込んで震えている部屋のテラスの隅で、俺とロッドバルドは出来るだけ小さく身を潜めていた。

「さあ、こればっかりは分からん。だが、ご領主が宝石を手に入れた時期と怪盗が出た時期は一致するんだよ」

「でも王宮からここまで、人の足なら2ヶ月、馬を使ってもそれなりに時間かかるだろ?」

「まあな、だが……」

 ロッドが何か言いかけたその時だった。


 ひゅい、と何かが視界を過った。


 何だ?

 蝙蝠が迷い込んだかとも思ったが、それにしては大きすぎる。

 バサリという音と、かちゃりという音がした。

「ジーク!ピッキングだ!」

 気付いたロッドが声を張り上げるのと、俺が立ちあがって斬りかかるのはほとんど同時だったと思う。

 だが“それ”はするりと身をかわし――――――バサリとマントを広げた。

 雲の切れ間から現れたその姿は――――――

「―――女!?」

 

 そう、見事な脚線美を晒す、仮面の女だった―――。


 一瞬反応が遅れた隙に、ボフンと煙幕が張られて視界がきかなくなる。

「くそっ」

 バサリと大きく羽ばたくような音を残し、気が付けば女の姿は消えていた。

「あれは……一体……」

「おい見ろジーク」

 魔法で反応を探っていたのか、ロッドは的確に犯人の姿を追っていた様だ。

「あれは……白鳥……?バカな、だって白鳥って……」

「間違うなジーク、あれは俺達の仲間じゃない。俺達の仲間だったら“夜は人間”の筈だろう?」

 それは“白鳥の湖に出て来る姫達の設定”だ。

 ちなみに犯人らしき人物が女性だったので王子達が犯人説も無し、だな。

「……オディール……ってセンも無いか」

「あってたまるか馬鹿野郎」

 念の為だろ?怒るなよ。

 とはいえ妖しい白鳥(?)の姿を視界に入れたまま“連絡”を取れば、無事彼女のアリバイは証明されたらしい。ロッドもほっとした表情だ(笑)

 顔は仮面で分からなかったけど髪型違ったし、その線は薄いとは思ったんだけど、まあウイッグでも使えば何とでもなるか……。

 ん?あれ。

「なあ、あの白鳥……」

「ああ。あの方向は『湖』だな」

「まあ、白鳥が帰る場所っつったらこの辺じゃあそこしかないんだけど……」

「あの中から探すのか……?」

「犯人があの湖に居る“誰か”なら、共犯者も疑わなきゃ駄目って事か……?」

 予想外の事態に心の中が重くなる。

 難しい顔で唸っていたら、不意にロッドがこう言い放った。


「……掲示板を使うか」と。





ミステリ、推理要素なんてないから!(笑)

基本力技だからね!(笑)



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