キミトボク
雨の中、夜の公園で少女が佇んでいた。
「…どうしたの?」
僕は君に近づいた。
15,6歳くらいで、綺麗と言うよりは可愛い顔立ち。
紺のセーラー服は大きなシミができている。
真っ赤な真っ赤なシミが。
手には包丁を持ち、華奢な体は震えている。
「…どうしたの?」
怖いという感情はなかった。
「私は…人を…人を…」
僕は君を抱き締めた。強く強く。
初対面なのに、なぜか安心した。
そして、優しく口づけた。
血の味がした。
「大丈夫。大丈夫だから。」
僕はもう後戻りできないと悟った。
「僕が守るから。」
君は静かに頷いた。
君が笑ってくれるなら、僕は悪にだってなる。