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吐露夢

作者: 獅子唐 愛糸

長い、夢を見ているようだ


生きている、夢を


新しいことが次々と、私の脇をすり抜けてゆく


これは悪くない夢だ


生まれてから眠りにつき

今も人生という夢を見ている


死は、もしかしたらその夢からの目覚めなのかもしれない

もし、そうだとしたら

起きたくない


そう思う私がいるから

私は生きているのだろう


自ら夢を壊すなど滑稽極まりない


どうせなら、目覚めすらも素晴らしいものにしたいではないか


悪くない


悪くない夢だ


沢山の者に出会いたっぷりの言葉と出逢い私は苦悩したり、傷付いたりしている


成長は止まらず

私の足と鼓動も常に前へ、前へ行く


明日へ逝く


走る時もあるのだろうが、出来ることなら歩むように

吐き出す白い息が消えぬように


瞬間が無残で無惨なものであったとしても、私の眠りは無駄ではなかったと思えるように


夜は目を閉じ

朝は瞼を開く


移りゆく四季と時を一秒だって忘れたくない


20、30、40と

十年すらも駆け抜けるようだが

私の今は今であり、また私は私であったと

記憶が笑わぬこの刹那を夢見たい


冬がくる


17回目の私の冬


きっとこの小さな町には例年の如く雪が降り積もり、景色を銀色に染め上げてゆく


キャンパスに塗りたくる色絵の具

油の籠もる私のアトリエ


描くのはやはり私の夢だとしても

私は私の夢を美しいと評したい


60秒の時と24時間の毎日と365回の今を抱いて握り

もう実を付けぬ庭の石榴に冷たい露を与え

また冷える朝を迎える


私の夢が夜の一間終わるだろうが

少しの時間を経てまた、夢を見始める


この終わらぬ永遠が刹那でも長く続くように


私は夢を愛したい

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