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第13話 手のひら

掲示板の前が、朝から混んでいた。


「また勝ってる……」

「Eクラス、やばくないか?」


ざわめきの質が変わっている。


レイン・クラウスは少し離れた位置からそれを見ていた。


自分の名前。


その横に並ぶ勝利記録。


順位はさらに上がっている。


「完全に来てるな」


トールが肩を組んでくる。


「な?」


「数字はそうだな」


レインは淡々と返す。


カナが笑う。


「冷めてるね」


ミナは静かに言う。


「……見られてる」


視線。


あちこちから。


昨日までとは明らかに違う。


「レイン」


呼ばれる。


振り向くと、別のクラスの生徒。


「次、うちと当たるかもしれない」


「そうか」


「その……よろしくな」


ぎこちない。


だが敵意はない。


トールが小声で言う。


「手のひら返し、すげぇな」


「想定内だ」


レインは短く答えた。




***




教室。


空気が軽い。


Eクラスの連中がざわついている。


「なあ、レイン」

「リンクって俺でもいける?」


「俺もやりたい」


一斉に声が来る。


トールが笑う。


「大人気だな」


カナが肩をすくめる。


「分かりやすいよね」


ミナはレインを見る。


「……どうする」


レインは全員を見渡す。


(ここが分岐だ)


広げれば影響力は増える。


だが――


精度は落ちる。


「選別する」


静かに言った。


「適性を見る」


一瞬、空気が止まる。


「……全員は無理」


誰かが小さく舌打ちする。


だが反論はない。


結果が出ている。


「テストする」


レインは続ける。


「通るやつだけ組む」


トールが頷く。


「それがいい」


カナが笑う。


「贅沢だねぇ」




***




訓練場。


簡易テスト。


数人を相手にリンクを試す。


「……無理」


一人目。


同期しない。


反応がズレる。


「次」


二人目。


少しマシ。


だが不安定。


「次」


三人目。


――噛み合う。


「……いける」


ミナが呟く。


レインも頷く。


「採用」


選ばれた数人が顔を上げる。


「マジか……」


トールが笑う。


「おめでとうだな」


カナは腕を組む。


「戦力増えたね」




***




数日後。


結果は明確に出た。


「また勝ったぞ!」

「Eクラス連勝!」


掲示板の前で歓声が上がる。


順位。


さらに上。


上位に食い込む。


「ここまで来るとはな」


トールが言う。


カナが笑う。


「もう下じゃないね」


ミナは静かに言う。


「……狙われる」


その通りだった。




***




廊下。


数人の上級生が立っている。


「レイン・クラウスだな」


止められる。


トールが前に出る。


「なんだよ」


「別に喧嘩じゃない」


一人が言う。


「ただ確認だ」


レインを見る。


「本物かどうか」


空気が張る。


カナが笑う。


「いいじゃん、やろうよ」


ミナは何も言わない。


ただ構える。


レインは少しだけ考える。


(来ると思ってた)


評価が上がれば、試される。


当然の流れ。


「いい」


短く答える。


「やる」




***




簡易戦。


狭い空間。


観客は少ない。


だが質が違う。


「行くぞ」


相手が踏み込む。


速い。


強い。


トールが受ける。


「……重いな」


だが崩れない。


カナが横から入る。


ミナが詠唱する。


「繋ぐ」


戦術リンク。


三人接続。


滑らか。


「……なるほどな」


相手が呟く。


「これか」


攻防が回る。


ズレない。


無駄がない。


「チッ……」


相手の一人が崩れる。


そこを突く。


撃破。


「終わりだ」


数分後。


決着。




***




「……本物だな」


相手が息を吐く。


「噂以上だ」


レインは何も言わない。


トールが笑う。


「だろ?」


カナが肩をすくめる。


「納得した?」


ミナは静かに杖を下ろす。


相手が頷く。


「認める」


その一言。


重い。




***




夕方。


掲示板。


人だかりができている。


「見ろよ……」

「ついにここまで来たぞ」


順位。


Eクラスのチーム。


上位。


完全に、位置が変わった。


トールが拳を握る。


「来たな」


カナが笑う。


「完全にひっくり返った」


ミナはレインを見る。


「……どうする」


レインは答える。


「変わらない」


周囲がどう変わろうと。


やることは同じ。


「勝つだけだ」




***




その夜。


中庭。


レインが一人でいると――


「やっぱりここにいた」


リリアが来る。


「噂、全部本当だった」


「だろうな」


「嬉しくないの?」


「別に」


リリアが少しだけ笑う。


「変わらないわね」


一歩近づく。


「でも」


視線が強い。


「周りは変わった」


その通りだった。


嘲笑は消えた。


軽視もない。


代わりにあるのは――


評価と、期待。


「それで?」


レインが聞く。


リリアは言う。


「もっと上に来なさい」


断言。


「上位で待ってる」


レインは少しだけ目を細める。


「すぐ行く」


リリアが笑う。


「楽しみ」




***




次の対戦カードが貼られる。


観客がざわつく。


「これ、やばいぞ……」

「上位同士だ」


レインたちの名前。


そして――


最上位クラスのチーム。


トールが笑う。


「来たな」


カナが口元を歪める。


「ラスボス感」


ミナが静かに言う。


「……勝てる」


レインは視線を上げる。


(ここで決まる)


評価を完全に固定するか。


それとも、まだ揺らぐか。


「行くぞ」


レインが言う。


トールが拳を鳴らす。


「おう」


カナが笑う。


「全部取る」


ミナも言う。


「……終わらせる」


対抗戦。


手のひらは返った。


そして――


本当の頂点戦が、始まる。


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