51.(第二章完結):夜明けの空と口づけ
【★大切なお知らせ】
今回の後書きは、読者の皆様に、ぜひお読みいただきたいです!
30秒も掛からない、けれど、大切なお知らせが書いてあります!
なのでぜひ最後まで読んでいただけますと、幸いです!
東の空が白み始め、一番星がその輝きを失いつつある頃。
帝都の上空を、一筋の影が音もなく滑空していた。
ファフニールである。
彼女は振り返ることなく、朝焼けの中を去ろうとしていた。
「お待ちなさい、大師匠。挨拶もなしとは水臭い」
その行く手を遮るように、一人の老人がふわりと浮き上がった。
ガンダールヴルだ。
「……ふん」
ファフニールは足を止め、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
ガンダールヴルは苦笑し、師匠の顔を覗き込んだ。湿っぽいのが嫌いだから、挨拶をせずにさろうとしたのだろう。
「去るのですか。せっかく、素晴らしい『種』を見つけたというのに」
「…………」
ファフニールは答えず、地上を見下ろした。
そこには、結界が解け、寄り添う二人の姿があるはずだ。
「……ガンダールヴルよ。詫びねばならんな」
ぽつりと、ファフニールが呟いた。
「かつて、お前が自身の探求を止め、後進の育成に回ると言った時……余は失望し、お前を見限った。『才能の無駄遣いだ』とな」
「ええ。よく覚えていますよ」
現に、ガンダールヴルルはこの数十年、六大陸魔導教会、教会本部に出禁を食らっていたのだ。会いたくても、会えない日々がずっと続いていたのである。
それは当然と言えた。師匠の期待を裏切って、彼女の意思に反する道に進んだのだから。
「だが……余の間違いだった」
彼女は目を細めた。
「お前が撒いた種は……あんなにも見事な『才能の花』を咲かせておったわ」
それはソフィアのことでもあり、そして何より――彼女の「圧」に対し、技術ではなく「言葉(想い)」で対抗した、あの青年のことだった。
魔法使いとしての強さだけでなく、人を愛し、守り抜くという強さ。
それを育てたのは、間違いなくガンダールヴルの教育だ。
(初めてみた……大師匠が、己の言葉を撤回するところを。ほんと、ソフィア嬢……それに、ギルバート君。君たちはすごい子らだ)
ファフニールは懐から、一枚の「翡翠色の鱗」を取り出し、放った。
キラキラと回転しながら、それはガンダールヴルの手元へ収まる。
「あの小僧にくれてやれ。余の『鱗』だ。杖の素材にするなり、盾にするなり好きにせよ」
「……ご自分で渡されては?」
ガンダールヴルが問うと、ファフニールはバッと顔を背けた。
「うるさい」
「おや? もしや……気まずいのですかな? あんなに格好をつけて去った手前、戻りづらいと」
「…………」
図星らしい。
世界最強の古竜が、耳まで赤くして黙り込んでいる。
ガンダールヴルは「ふふふ」と肩を揺らした。
「会いたくなったら、いつでもいらしてください。あの子らも、歓迎するでしょう」
「……ふん。そうする。またな、バカ弟子」
「!」
またな、と彼女は言った。出禁を食らっている、というのに。それはつまり……。
出禁を解除する、そういうことだろう。
ガンダールヴルの目に涙が浮かぶ。今までと違って、これから……気軽に、師匠に会うことができる。
(ほんと……ありがとう、二人とも……)
「ええ。また会いましょう、先生」
ファフニールは翼をはためかせ、昇り始めた太陽の中へと溶けていった。
ガンダールヴルは、その背が見えなくなるまで、深く頭を下げていた。
◇
一方、地上。
ファフニールの結界が解け、二人が戻ってきた場所は――DBホテルの屋上だった。
どうやら、結界の基点はこの場所だったらしい。
「……鍵、掛かってるな」
ギルバートが屋上のドアノブを回すが、ガチャガチャと虚しい音が響くだけだ。
早朝の屋上。当然、鍵は閉まっている。
人が来るまで、ここから降りることはできない。
「参ったな……。体が冷えてしまう」
ギルバートは自分の上着を脱ぎ、ソフィアの肩に掛けた。
嵐のような時間が過ぎ去り、静寂が訪れる。
二人きりの空間。
冷静になった途端、猛烈な気恥ずかしさが押し寄せてきた。
「…………」
「…………」
ソフィアは俯き、自分の爪先を見つめている。
ギルバートも、どこを見ていいのか分からない。
だが、ふとソフィアが口を尖らせ、上目遣いで彼を睨んだ。
「……ギルバートさん。今の、ノーカウントです」
「は? な、何がだ?」
「あんなの、告白じゃありません! ただの必死な絶叫です! 『人生をくれ』って……重すぎます!」
ソフィアは、むぅ、と頬を膨らませた。
「私、女の子なんですよ? もっとこう……あるでしょう!?」
「う……」
ギルバートは言葉に詰まった。
確かに、あそこまでなりふり構わず叫んだのは、人生で初めてだった。ロマンチックの欠片もない、魂の叫び。
言われてみれば、顔から火が出るほど恥ずかしい。
「……悪かった。余裕がなくてな」
ギルバートは頭を掻き、観念したように息を吐いた。
そして、改めてソフィアに向き直る。
「……ソフィア」
「……はい」
ちょうど、地平線から朝日が顔を出した。
世界が黄金色に染まり、夜の闇を払っていく。
その光の中で、ギルバートは優しくソフィアの肩を抱き寄せた。
「……君が好きだ。愛している」
今度は、落ち着いた、けれど熱の篭もった声で。
「俺と……付き合ってくれ」
真っ直ぐな言葉。
ソフィアの瞳に、朝日と、溢れる涙がキラキラと反射する。
彼女は、世界で一番幸せそうに微笑んだ。
「……はいっ!」
言葉はいらなかった。
二人の顔が近づく。
朝日の逆光の中、二つの影が一つに重なる。
触れ合う唇。
それは、長く苦しい夜が明け、新しい物語が始まる合図だった。
温かな光に包まれながら、二人は永遠のような一瞬を、確かに刻みつけたのだった。
【第二章 完】
【※読者の皆様へ、大切なお知らせ】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ソフィアたちの物語は、第二章がこれにて完結となります。
第三章以降の続きを執筆するかどうかは、本当にまだ何も決まっていないので、一度キリのいいここで完結設定とさせてください。
(数日後、こちらのページで『続編の有無』をお知らせするので、ブックマーク登録は外さずにそのままでお願いします!)
作者の今の正直な気持ちを言いますと……どうにかして、この作品で『日間総合1位』を取りたい……っ。
そしておそらく、第二章を完結した『今日この日』が、本作における『最後のチャンス』です……っ。
「第三章が、続きが読みたい!」
「第二章面白かった! 続きの執筆もよろしく!」
「ソフィアたちの物語を、活躍をもっと見たい!」
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最後になりますが、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
願わくば、また第三章で会えることを楽しみにしております!
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