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「キャ――――――、 きゃぁぁああああああああ!?」
ガタガタガタガタっ、ゴぉおぉおオオ!
空に悲鳴を放つ、なかなかの快感、すぐさまのダウンフォースを感じながら巡って行く、走って走って。横に曲がって、首を揺らされ。
そして本格的な洞窟に入って行った、そしてトラウマが来た――。
「あぁ来るよ……。ほら壮太くん、色々来ちゃぅうぅうぅ!」
ここからが本番、そうしてここは……モールの中だったんだ――。
町もヒトもキラキラ、オンモールの開店です――。
「来たぁぁ……! 来たよ……壮太きゅぅんっ!? めっちゃハッピーなの来たぁあああっ!?」
「何が……っなに来たの、いや本当に今の何ぃ――!?」
ざわめく観客達、そしてその洞窟の中に映し出すのは……、それはオンモールのお客たちの姿だ。巡っていく……、巡っていくんだ、色んなお店をっ! 高速で走って2人は色々と……。
「うわぁああっ! すっごぉいっ! オンモールさんの追体験だよ、こんなスゴイ事ってあるぅううっ!?」
ごぉおぉおオオオオオオオオ!
「いや……っ、いやいやっ。スゴイって何、何が楽しいんだっ。美少女がこんな……、東京の役者だぞっ――。それがなんだッ――」
妙にGがキツく感じる、だが皆が楽しそうだ、アッ!? あれ俺のバイト先~~っ、なんて歓声があるのかっ、ウゥぅ……!?
あ、あの服良かったぁ、服欲し~~。あ――、あぁ、俺なんか今ヤバい薬を決められてるのか、
明日の晩御飯決まった~って、ねぇここどこだと思う、ここ遊園地ですが……?ねぇこれは……っコレっ!? うぃぃぃ――!? うわーーっ!? なんでなんでっ、あの店AEぺい対応してないのにっ!? すごーーいっ!?
アッ……あぁ、ウゥ……、それ……っ。それさ、角曲がってだいぶGかかってる時に必要が――。
ガタガタガタガタ……ッッ!ゴォオオオオオオ!止まらぬ洞窟、この狂気の失踪に壮太は――。
「ふぅ……ふぅ……、いや………、もう頼むよタイム――。ウソだろ……、頼むから一回検証させて、一回で良いんだ、止めようよ!?全員正気に戻ってよ……」ウ゛ゥ……、うぅぅぅぅ……!?
なんか本能に効く、そのジェットコースターの狂気。故郷。そして流れる映像にふと気づく、Liveの文字。え?え?……生中継?
「お客さんとの一体感スゴイぃいいっ!? やっぱり毎日変わるって本当だったんだ、最高ーーーっ! 最高だねぇっ、壮太きゅぅぅぅン!」
「ハァ……ハァ……、どんな魔境なんだよ……、このオンモールは――。床にレールでもあんのか、ここ2キロくらいモールから離れてるよねぇっ、親会社も違うよねぇ!?」
「だーいじょうぶ、大丈夫ぅっ! すぐ、そこっ♥ してるからっ! 必ずつないで来るからっ、オンモールさんはぁぁっ!」
ヒャッッハーーーーーーーーーーっ!
硬い信頼と愛情で結ばれた田舎とオンモールっ!
突き上げる水しぶきっ! 弾ける笑顔っ! あまりのすごみに戸惑う一般人が気絶し……。
「あぁ~~っ、楽しかったねぇ……。最高のエンタメだよ、世界にも誇れるんだ……はふぅ~♥」
ホクホクしながらお腹を押さえ、なんか幸せそうな美少女。
だが変わってしまった故郷にショックを隠しきれない少年、ただただ……。
「はぁ……はぁ……うん、あの……、すっごくショックなワンダーなランドだったよね。あれが普通になってるんだ、ある意味すごいよ……。この田舎をもいちど教えられてんだなって―――」
なんとかヨロヨロ頭を抱え、切り替えようとしているが、もう正直周りが怖い。陰謀論者の一歩手前。
この街では商店街を崩壊させた罪でなんやらかんやらされて、山の神がどうのとか、土下座するオンモール店長、斬首一歩前の映像とかが――。
「はぁ……はぁ……、それか、、、今絶賛日本がヤバいかだよな――」
目の端に映る、その映像。
お前は立つ、必ず立つ、それがアツく焼けた、モールの上だとしても――。信じろ、オン・モール―――。
しーぶい顔で会員権を持ったオッサンが映るそのポスターに、そろそろ狂気を感じ始める。
足元で血を流して倒れてるの、なんだろね。僕かな――?
「はぁ……っはぁ……っ、でも少し休憩しようよ輪廻。楽しいけど少し分からされたわ~」
「うんうんっ♥ 大賛成だよ~っ。じゃあお昼にしようか、ちょうど良いよねっ」
彼女の白い指で差されるフードコート、芝へと座り、エヘンと「それで一応一応……ホラぁぁっ」
笑う美少女は、輪廻が見せてくるのは簡単なお料理だった。
どうやらクックなんたらで探してくれたらしい、その芝生では楽しそうに家族連れが一緒にご飯を囲んでいる。
それを一つまみしながら昼食にする2人で。
「あぁ、ありがとう輪廻、嬉しいよ、嬉しい。でもさ……、この数日で輪廻の事いっぱい知れたよ、もちろんその……、か、可愛ぃ……有名だとか、あともうたくさんのフォロワーもいる事もさっ……」
輪廻がその言葉に恥ずかしそうに笑う。
やっぱりたくさん彼女を調べてみたが、実際かなりの上昇中らしい。そのフォロワー数が100の単位を表示しない事には何より驚いたし。
「でも1番はこんな親しくしてくれるのが嬉しい、夢みたいなんだ。だってこんな輪廻なんだよ……。一人の少女として、その……、それは。最高なんだ、最高で……」
最高……? あぁそっかぁ……、ありがとー、ふふふ。そのなんともな言葉に照れてて、コッチも恥ずかしくなるが、それでもわざわざ作ってくれたろう味で。ベーコンが少しナマだが油が美味しい。だったら俺も応援したいってなった。
「ねぇ……、俺はまだ見てないけども、輪廻はやっぱり女優さん続けるんでしょう。どうなりたいの、それで夢とかってあるのかなって、どんな将来の女優さんなの?」
「夢、 私の夢……? あぁ………、なんだろね……、なんだろう」
その言葉に考え込む輪廻は、真剣だった。
風が流れる、静かな時――。
「ごめんね……、ごめん。やっぱり少し分からないかもだ――」
でも思った以上に平坦な様子に、少し眉根を上げる、だが決めていた事を……。
「じゃ、じゃあ俺が言いたいことを……っ。じゃああの……っ、輪廻の専属続けたいよ、俺はもっともっと輪廻といたいっ、良ければずっといないかっ……!?」
「そっか……、嬉しいな……。次はでも、私にはないかなって、私には決められないのね……?」
その切なげな表情は、生涯忘れる事はないだろう。「きっと呆れられちゃう、その笑顔を傷つけちゃうよ、戸北くん。そしてね……。もう長くないよ。やっぱり1週間くらいで良いんだと思う」
それで何を知ってもただただ、見守ってて欲しいよ……。
そう言うと、輪廻が手を強く握って来るから。
柔らかいのにすごく汗ばんでいて、それがどういう意味かは、その時は分からなかったが。恐らくはある時に告知されるだろう事は分かったんだ。
そのすぐ近くの潤む少女のカオはただただ「でっもーー……っ、ねぇ? 一緒にいれる間はいっぱい楽しもうねっ。私もう一回あのジェットコースター乗りたいですっ、壮太くん、一緒に乗ろ~~っ♥」
輪廻は繋いだ手を離さない、そして2人でまた巡る。
それが最後の思い出で、そして一番の後悔だった。