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「フゥ……フゥ……でもねぇ壮太くんっ。今度のロミオとジュリエット、楽しみにしててね……。やっぱりさすがに知ってるよね、きっときっと楽しめるんだ……って」


「あぁ、さすがに分かるよ輪廻、でも肝心のロミオって……、どうするのかな? アレって確かロミオの方がメインだったろ……、男の団員さんいないっぽいんだけど……」


「あら、聞いてないんです? へぇ……」「それリンちゃんが1人でするんだよ~。独演って言うのね、まるっと私達はパスです。今回は15分でこなすしぃ、少人数の方が分かりやすいな~って♥」ウゥ……うぅぅぅぅ……。


 その言葉に理解し、うなずく壮太。


 あとの2人はアナウンスや脚本に徹するらしい。それにしてもだ……、この部屋すごい量のナニカがある――。

 ゴミとしか言えない物がいっぱい……、うぅぅ………なんだこれ。

 しかも臭いよ……「あぁ……でも。不思議なんだけど、こんなプロの女優さんがいるのに他の部員いないんですね。まぁ女の子はなんか分かるけど、男もいないんだなぁって……」


「いえ……、居たには居ましたよ。ですがすべからずヤメていきました。そこからの新規の立ち上げで……、まぁそれでも私達とじゃちょっとね……」


「そうだねぇ……、まるっと意識にズレが大きくて。あれじゃとても最後まで」「ねぇっっ、それじゃ壮太くん……っ、これ終わる前にデートしよっかぁ……っ!」

その言葉に色めき立つ壮太と、そしてオッパイ先輩と眼鏡女子まで、目を見開き――!


「じゃあ私ねぇ、一緒に遊園地が良いなぁ~……。それって絶対楽しいの、2人でならねぇっ、はぁ……はぁ……壮太……壮太君っ、行こうよソウタ~~っ、う゛ぅっ……うぅ!?」


「あの……っ、あぁ、良いんだね輪廻、分かった! じゃあ考えるから、本気で真剣に考えるよオレっ、うんっ!」


 かなり意気込むとそれに恥ずかしがる輪廻。


 興奮冷めやらない俺はその、汗で濡れ、目のやり場に困る位に綺麗な輪廻を。やっぱり笑顔が可愛い女優さんをありがたく拝見しながら、必死にその段取りを考えるんだ。

 鼻歌を歌って会話し、その片付けても片付けても終わらない掃除を続けに続け……。


「ふ~~~っ、終わったね~~♥ はぁ……はぁ……じゃあ先行っててね~、壮太きゅん。私達着替えてくの、あと色々しなきゃだしぃ……」

あぁ……―ほらほらっ、駄目ですこーはい先輩、早すぎるのっ、まだ壮太くんがぁ……っ!


 既に遠慮なく金髪先輩なんかは制汗スプレーを振るっている。その爆発しそうなオッパイ目掛けてシューっと一発。


 あぁ……、うっ、うん。すぐ出るねっ、すぐ――。

 ばたん……っ!

 静寂で……。


「あぁでもなんかスゴイなぁ……スゴイよなぁ……。まさか転校したばかりでこんな事あるんだ、輪廻は絶対アレはスゴイってっ……――」はぁ~~……♥

 今まで生きて来た中で、このレベルの女子には仲良くしてもらった事さえ記憶は薄くて比較的近寄れない輪廻という存在。

 あの笑顔が教室でだと、本人よりも取り巻きがきつそうで。でもふと話してくれそうで。


 ただでも順調にこのまま進んで行く気配だ、もう既にデート一回目で、それでココでもっとっ……。


「これなら絶対1週間なんて……、うん、そうだよ。このままなら続けれるんだ、俺もしかしたら3年間ずっとってさぁ……っ」「おぃオマエかよ……。義臣 輪廻だろう?よくあんな病原菌みたいなのと付き合えるなっ……」


 突然かけられた言葉。

 そこには見知らぬ男が、同じ学校のようだが――。


「なんだキミ……。その付き合うって、病原菌って、ソレ……、輪廻の事言ってんのか……。なぁ義臣 輪廻を言ってるんだな――」

 その言葉にムカッと来て、すぐににじり寄る。

 あまりこういうのは経験はないが我慢できなかった、だがその男もにじり寄ってきて……。


「そうだよぉっ……、文句あんのか、ふふフ。アノ義臣 輪廻だ、アイツまだやってるんだなぁ~、中学でも同じ事してキモかったのに……。よくもあんな寒いおままごとに付き合えるんだよっ……フン――!」


「それは……――。でもなんだよ突然オマエっ……、輪廻を馬鹿にしてるのかっ。大体なんの用だよっ!」

 そう言うと笑うのだ、それは勝利を確信した目で。


「いやぁ………、いやいや、まぁ~お前は転校生だ、知ってからの方が良いよ絶対。ロミオとジュリエットだ……、ちょうど良いよな。お前が今から味わう絶望だわ、分かるんだ、全部全部全部が―――」

そして何より俺らの苦しみもなぁっ!


 そのまま笑ってソイツはすぐに消えて行く。可愛そうにと壮太を見ながらも……。

「でもたった一週間なんてなぁ~……クフフ――。あぁでもオマエはある意味運が良いかもな、何せあの血を求める怪物は……」


 それはなんとなく薄気味悪いし、何より腹が立つ。


 壮太は首をかしげるが、ただ……。


「でも、そうだよな………、義臣 輪廻――。やっぱ何かあるんだろうか、輪廻みたいな子がこんなに……」こんな俺をさ……―。

 無条件すぎるのが怖いし、なんとなく癪に障ると言えば良いのか、それはまるで……――。

「あぁ、壮太くーんっ、待ったぁ~♥ はぁ……はぁ……どうかなっ、これ、ニューフォームだよ、私髪型変えてリボンしてみた~♥」フフフ。


 見て欲しそうにねだっているその、輪廻の無邪気な笑顔。体操後の独特の匂い、完璧を装いながらも少女が赤く茹るカオ、笑い返す。

 とりあえず疑念は疑念のままで置いておく、それが良いだろう気がした。


 何せもう掲示された1つの区切り、1週間の期限に3日しかないのだから。すると少し輪廻が待っててとコンビニに入って……。


「あぁ、ねぇ、聞きたいんだけど。ふと思ったんだ、これって……、人は来ないの? 俺の前に何人かいたんじゃって思って」「あぁ、うん~。マルっといたけどねぇ、やめちゃったんだよ。同性の子もいたけどねぇ、高校入ってからは初めてかなぁ~?」


「そうなんだ? そうなんですね? でもなんでだろ……、なんかおかしいって。クラスの人たちも聞いてもあんまり、こんな楽しい……」「色々ですよ。まぁちょっと、いえかなり嫌な事があってね……、やめちゃったのよ。今回は少し事情があるし、あとアノ子たっての頼みがあって再開しただけで」


ただまさか――。


「えぇ……、まぁでも、アナタが気にする必要はないわ、それよりアナタが危惧すべきは」

 何かを言い出しそうだったが、その軽快な音楽と共に名物のスムージーを飲む元気な少女が出てきて……。

 楽しそうにする2人。


「でもアイツ……、まだいたんですね。諦めの悪い下等な――」

「まぁ……。輪廻ちゃんは必ずあぁいう子を生むからね~……うん。でも負けちゃダメなの、まるっともう少しだけは――」

そう、あとちょっとだけだよね――。


最後のユートピア。

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