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 その後はもう輪廻が来ないパターンが増えた、定期的に道井戸先輩だけが来るが、輪廻が来ると空気が変わる。


「ふふ――、まぁそうなるわな~~、アイツらなら。なぁ俺の読み通りだったろ~?」

 その言葉に目を伏せるんだ。

 だが木島の方は大層満足そうで、外で話をしているがしっかり周りを見ていて……。



「少し分からせてやる必要あるぜ……。まぁ~……、あの道井戸って奴が一番使いやすいわな、分かってんだよ。だって俺見たから――。それでアレくらい引っかき回さなきゃ駄目なんよぉ」イヤ、まじでよぉ~。

「あぁでも……、灯火達まであぁなると問題があるんじゃ、さすがにあそこまでだと記憶……っ、記憶が残るらしいって」

「まぁまぁ、でもアイツらの最大の問題はさぁ……、役さえ完遂させれれば後はモロイって事。あの道井戸が一発で完成させられる相手だった、これがネックだ」


 その言葉に唇を噛むんだ、だって……一発で納得させられるという事は「フヒヒヒ。あとなぁあとなぁ……、お前をあの屋形田が気に入ってるのが良いわっ、記憶がないってのは結局はチャンスなんだよぉ……」へへへ。

 だが、確かにそうみたいだとは思った、目的が違うと聞かされて。だって道井戸を選んだだけで簡単に進んでいくんだ、一気に輪廻へ興味を失くしたし。あの3人には個別に理由があるらしいと。


 一番簡単なのは灯火に火を点ける事らしいが……、ただ彼女はかなり……。


「あの……、それで大丈夫なんだよな? お前の言う通りしたら、しっかり助け船を出すんだよな木島っ……!」「まぁ、一応な~。ただ水物だからな~~」くっく。

「オィお前――!? あぁ、あの……、輪廻は……初めてなんだ。しかも道井戸にそれもどうでも良いって灯火はさぁ……!?」


 その俺の顔色を見やって笑い「うんまぁ……、でも良いんじゃねえかぁ~? どうせアイツが一番イマイチだろぉ? むしろ一回くらいは捨てろって話だ、なんせアイツら限界あるから……フフフ。最大の目的はぁ……、舞台を壊すって事だよ、な?」

 必死な俺を木島はむしろ楽し気に笑い「大変になるんだぞ? 何せアイツら昔一度だけ泣いて――」その時木島に映ったのは……。

おっとォ………、いや俺、アレは大の苦手なんだわ。またな戸北――っ「お~い壮太く~~んっ、どうしたの~、どこ~~」あっ……あぁ……、いたいたぁっ♥

「もうっ、頼んだ仕事もしないで、ダメだよぉっ。駄目駄目っ! 駄目なのですっ、はい――♥」

 見つけて近づいて腕を持つのだ、ひっしりと抱いて来るマイチ先輩は。



「あぁあの……っ、でも今日は止めようかなって思ってますマイチさん。そこまで乗り気になるとは、あの……っ、えぇ」こっちも予想外で――。

「まぁねぇ~……、それは壮太君が変な事聞いちゃうからだよぉ~。そうキミが悪いの……ンフフ♥ 君がコントロール権持ってるつもりでもねぇ……」お姉さんが従うかは別なのです――。

 近い美少女、楽し気なマイチ、ブルルンと揺れるオッパイがダイレクトで伝わって来る。

 彼女は何かとこの頃コチラを見てくるようになっていた。汗がしっとりとそのモモと胸を濡らし、ブラジャーが……。


「はいはい、壮太君っ、コッチコッチぃ……フフフ♥ 楽しみだなぁ……、私。これならリンちゃんどうなっても安心だぁ」

「ふん……。まぁこの手は邪道中の邪道だがな、アイツはやれるだろうぜ。ただでも最大の問題は……、言った通り壊れた劇が始まる前に起こるだろうな」

じゃあ俺の方も最後の仕上げとするか……、あぁ……、二人相手に日和らないだろうが。


 道井戸の方へとメールし、タバコをふかして。





 風が止まったその部屋。

「あのあの……っ、えと。そうだぁぁっ! 遊びに行こう、今度お祭りあるんだってぇっ♥ これきっと楽しいよぉ~~、楽しいんだよぉっ♥」そのお祭りの大きいポスターをわざわざ見せて来る輪廻は。

「良いわよ? 当然彼氏は来るのでしょうね輪廻。なんなら2人っきりでも良いと思いますけど……」あと戻して来なさいソレ。


 その言葉に驚く。

 ただ……。


「いやいや~、全員で一緒に行くべきだよ~、むしろそうならないと困るじゃないか~。だって僕は2人の浴衣が見たいなぁって、フフフ」

 その言葉に眼を逸らし、うなずくだけ。スベったか。でも……「でもホント、この3人は貴重だよね、友達じゃないか」

「……――」

「あぁ、あのね……、ともちゃんにマイチ先輩、あともちろん戸北くんもっ……! この舞台を一緒にたくさん作ったんだからっ……、だから絶対に全員で行こうって思ったの。私は皆が良いよ、だって仲間だもんっ」

 その言葉にマイチが大賛同し、結局は全員の5人で行くことに。



「最終日だ、ほとんど打ち上げだよね……っ。これが私達の舞台だ、皆で行こうよ、やっぱりちゃんと話そうっ!」

 そう言って微笑む輪廻は壮太にも―――。

 帰り道、2人っきり。


 少しよそよそしくも手を繋いで……。


「ねぇ輪廻……、これからどこ行こうか。僕はどこでも良いよ。何せ結構な甘党だってもう分かったろ~、フフフ♥ 美味しいお店をまだ知ってるんだからなぁっ」

 その言葉に笑顔の輪廻。

 ただ……。


「あぁあの……、でもちょっとお出かけはお休みにしませんか、辰斗先輩。毎日すっごく楽しませてもらってるって……、それは分かってるんです、ありがとうございます、でもでも……っ、もう私返せないって……」

それで結構私に今……大変な事が起きてて……。

「うん……。まぁでも、ケンカ位は何度かあったとは聞いたよ。とりあえずそれで輪廻、君は辰斗だろう、大事なのは辰斗……。ね?」


 その言葉に目を伏せる輪廻は、でも逃げれないのだ「あの……、ごめんなさい、そういうんじゃないんです。正直に言うとこの頃おかしいんです。私の中にあるもう一つが変なのって、ふぅ……ふぅ……」

アナタと一緒にいるとなんか……

「これは初めてなの、私じゃない女優が揺れてる――」

「それは恋、だろう?」

「そうでしょうか………本当にそうなんでしょうか……―。でも楽しくなれなくて私、こんな事してても演技の為って思ったらイヤになって……、なんでって……っ」


「じゃあさ、彼氏をお休みするかい? ただ。そうなったらあの女優達は絶対に怒ると思うけど……。義臣 輪廻はその才能にウソをつかない、いつだってその感情に立ち向かう、だから女優なんだろう」

 その言葉にハッとし、それにはうなずくしかない、彼女が能力を使用すると決めた時から。

 すると唇が近づぎ……。


「輪廻、君だけを愛してるよ――」動かないのだ、本当に動かない。

「アッ――、あぁあのっ、ごめんなさいっ!? ふぅ……っふぅ……っ!?ごめんなさいホント……」


 その謝罪にうなずく道井戸、ただ――。

 今度の祭りは本気だからね……、輪廻。




 そして舞台の1週間前にはもう……。


「あれ……、輪廻と……。あの2人はどこに、いつもここではしゃいでたのにさ……。ずっともう見てない気が――」

「ちょうど良いわよ……、集中できます。五月蠅いのがいなくなった――」

 その灯火とマイチのそれぞれの瞳に壮太は息を飲み、そして……。

「そうか……――、そうかよ、分かったよ」


 頭をかくしかない。ただ……「まぁしょうがないよ、じゃあねぇ……終わったら私の家来る~~♥? 実は新しいDVD買ったよ~って、一緒に見よっかぁ」

ねぇ、それでこれ少しホラーなのねぇ、壮君は私を守る練習しよ~よぉ♥

「あっえっ、良いんですか……。じゃっ、じゃあ行きますオレっ! すぐ用意するんで……っ!」

 マイチの言葉にすぐに準備をし、帰り支度まで用意する壮太。

 灯火が頭をかく。ボロボロになった台本を撫でて……。


「まぁ、こうなる事は、あの男が来た時から分かってたんですよね……」

女になるか、女優になるか……。

 道井戸のその熱心な誘いを考えるから。

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