表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/51

36

「ふぅ……、ふぅ……、通したところ、これくらいで良いかしらね、先輩がこうなら絶対に……えぇ」「もう良いんじゃないかなぁ、まるっと少しだけ時間ずらそっか~、うん♥ ちょっと削られるけどしょうがないよね~」


 彼専用に物語を書き換える。しっかりと自分達で調整していく女優達、時間を惜しまない。なんと彼をアルフレードに抜擢したんだ。

 そしてその女優達が自ら書き換えた膨大なアルフレードの為の優しさを、必死に書かされる事に。1日目からまた地を這うような……。


「監督……っ、ほら監督さん……! 大体こんな感じだわ、また変更すると思いますが、これを判断基準でお願い。じゃあ早く仕事をなさってね」

「いや……、あの。でもこれはいきなりは――」

「うぅん、まるっと今からほとんど変えるかもだよ壮太君っ、だってこれならもしかして……」うん、頑張ろっ――。


 その受け取る顔に揺らぎが明らかで、1日目にしてこんな分からされるとは。顔つきが変わる女優達。そして合間に彼は部室で話をしたんだ。

 輪廻と一緒はもちろんだが、どうやら彼はネックはすぐに……。


「あぁ、うんうん。やはり2人共演技は最高に上手いよなぁって、そう思ったよ、息が合ってる、フフフっ♥ 君達って長い幼馴染みたいだねぇ……、しかも中学とかでも結構すごかったって聞いたけど。例えばだけど僕が知るあの伝説はねぇ……」

 知らない昔話の端っこを突つき、大いに盛り上がる。長い脚で掃除でもするのかと思うほどに足を組み替え。

 話は尽きない、彼は交友関係が広くて情報の中心にいる。それは陽キャで且つピラミッドの上辺だからか、いや……むしろ――。


えぇえぇっ、じゃあ一度案内をしましょうか、だって近いですものねぇっ、フフフ♥「あぁでもです、私……、道井戸先輩、一番不安だった演技なんですがが。でも人前が案外慣れてらっしゃいます、何かやっておられましたかぁ……?」

「あぁうん、実は僕はねぇ、中学2年間は生徒会の会長さんやったんだよ。親友の悪ふざけさ……、あれよあれよと会長になっちゃったんだ、あの時は大変だったなぁって……」

あぁでも勘違いしないで?僕は会長になりたかったんだよ

「なりたいと思って迷ってて、その親友の悪ふざけに乗ったんだ。一度試してみたかったっていうその軽さは否めない、でも……全力だったよ。だって失礼な事できないだろう、大変だったけど、でもなんか必死で色々叫んでたなぁ……フフフ」


「あぁ……なるほど、そういう事を……。なかなかできませんね、そういうのは素直にスゴイと思います、えぇえぇっ、それなら安心だわ……っ」


「うん。それから良いチャンスに恵まれたんだよ灯火、色々変わった……。それであと何よりねぇ、実は本物の女優さんとは2度程ボク……――。あぁ言って良いかな」いやでも未成年だったし。

 その後し~~っとして笑うのだ、女子受けがスゴイ。


 必然に心を開かせるのだ、よく話を振るが輪廻達の言う事の方をよく聞いた。その姿に輪廻までうなずき映画を見ようと早々に約束するんだ。

 すると小声で……。


ねぇ、灯火も。じゃあその案内さ、楽しみにしてるよ。忘れてない。だってもう僕らトモダチだから。



「…………――」

 きっと順調すぎる程に進んでいる、それは火を見るよりも、すぐに大火事になるがごとくで。それでもあの話ではと必死に俺は――。


「あぁ~~辰斗先輩ぃ♥ 昨日の遊園地良かったですね、楽しかったです~っ。でもだけどビックリしましたよ、だっていきなり食事からデートにするんですもんっ、でもでも……」

とってもとっても楽しかったんだ、私――。

 そのはにかみ方は初めてだった、あの天真爛漫な少女が見せるいじらしさ。

 しかも壮太が聞いていた話と違っていて、そんなハズが……。


「あぁ僕もだ輪廻。驚かせたろうけど、だってさぁ……、君の私服すっごい可愛かったって。こんな可愛いならもっと遊びたいって振り回しちゃったよ♥ それで実は結構隠し撮りしてて……フフフ」ほらほらほらぁ♥「きゃっ、きゃあぁっ……!?ヤメて下さい、そんなのいつ撮ってたんですかっ、もぉぉぉ……っ!」「いやぁ~~、これは宝だねぇ……はっは♥ でもでもやっぱり女優さんだしぃ、認めてもらわないとだ。ほらほらほら……」

全部見てよ全部、どれ残そっかぁ――♥


 楽しかった姿を凝視させる、自分の変顔の写真やらも見せつけながら、ふと腕を引いて――。


「あぁ……―そうそうあと僕ね大事な事、それで輪廻さ……――?」「……――? え――? あの――!?」

 ――――――――――――!?

 見つめるだけの時間をわざと作るんだ、見つめる事で伝えれる強さが彼にはある。その顔が近づく2人にドキリした、昨日より明らかに長い、たった数日でタイムリミットを感じる、まるでカウントダウン――。


「まるっと一応レールがあるけどねぇ……、1ヵ月のリンちゃんでは早すぎだよねぇ、アレ。あの人まさか分かってて……」

 だがどうしようもない、汗がにじむ。その紙はずっと100点だけが続いているし。

 しかももう既に女優達はそんなのよりも……。


「あぁヴィオレッタっ! 僕は君の事でいっぱいだよっ、これは必然だったんだ、本当の恋だったんだっ!」

「美の炎だよっ……、アナタの美の熱気にあてられ、燃え上がるんだよっ。さぁ乾杯しようかっ……、束の間の時、官能に酔いしれよう。愛がかきたてられる甘い恋の震えの中で、俺の心臓に突き刺さるようなそのまなざしに乾杯っ――!」


「うわぁ~~、まるっと当たり役だよねぇ~っ♥ すっごい似合うの……、これ本格的に演技学んで才能さえあれば~、俳優さんとも競えるようっ!」

「えぇ、納得です。雰囲気から何からもう明らかにアルフレードにあっています。ただもう少し、いやかなりですが……――えぇ、アナタ」

こうやって欲しいのですね、しっかりと手足をダイナミックに……えぇえぇっ♥

 その演技を教える動きに、だがあまり上達はしない感じだ、ヤル気もあまりないしある程度で良いという感じ。

 それで灯火達も追って来ない。何せ雰囲気はぴったりだろう、ピカイチ。これで演技も乗ればもう完璧だと毎日のように――。



「ふ~~、結構難しいねぇ。はァ……はァ……やっぱり君達を見とくのが一番楽しいや、ねぇ輪廻……」

 5日で女優だってその膝の合間にすっぽり収めてしまう驚き。

「あぁ、はは……、辰斗先輩、やだぁ~……。もうホントに見るだけは禁止ですよ~、なんか辰斗先輩すごいんですも~ん、フフフ♥」


「あんまりイチャイチャなのは困りますよ道井戸先輩、2人っきりでして下さいな、何せ輪廻が可愛そうだわ」顔真っ赤じゃない……フフ――。

「2人っきりぃ? いやぁ~、まぁ、でも?楽しいじゃない。輪廻も友達がいた方が絶対良いと思うんだ、それにさ」

 輪廻だけを見つめ―――――――――。「まぁ、、大丈夫だよねぇ~。何せ後でゆっくりじゃないかな~って、フフフ」

 その見つめただけで、輪廻が真っ赤になっている、後で何されるの私~~――っ、って感じ。


 でも応えない、明らかに楽しんでいるだけ。そして何より誰の前でも堂々とイチャイチャできる才能――。


「……――」

 帰り道、あの前を歩く4人はずっとずっと、仲良く談笑している。

 ただもうほとんど話しすらしてなくて、さすがに……。

「あぁあの……っ、輪廻。あの輪廻………」「あっ……。なにかな なにかなっ、戸北くん。あの……っ、でも仕事ありがとうね、台本いっぱいいっぱい……。助かってますっ♥」

 輪廻の笑顔。

 ただその時、言う事は特になくて、その事に気づいて。考え付くのはただただ……。


「あぁ、うん。それでどうかな……。僕が選んだ恋人、これで良かったか……」


――。

――――――――――。


「あ……――。えと、あの……っ。うん―――」

 悲しい顔をするだけだ。


「じゃあ輪廻~~、行こうか。じゃあ約束の2人っきり、帰りには何しようかなぁ~フフ♥」

あぁえと……先輩……  「あんまり恥ずかしいのは……。でもどこ寄るんですか、先輩は物知りなんで……っだから歩くだけでも嬉しいです私、ふふふ♥」

 あぁ~……、アレわざとだねぇ~、マルっとあぁいうのまでやるんだ~


 マイチが降りて来る、俺の隣にそっと「あぁいう2人っきりの世界って感じのね……。アレで色々問題起こしたんだろうなぁって、フフフ。普通のコミュニティじゃあ断トツなんだろうな~~、って……」

 2人は灯火とマイチを残し、別の駅で降りる約束。わざわざ友達の前で消える姿にマイチでさえもうなる。


「あのね……、壮太君? さすがにキツイよねぇ――。丸っとなんであの人呼んだのかなぁ……。あの、色々あるけど、先輩さんホントに分からないよ壮太くん……っ」

「いや………、分からなかったんだ。でも良いよ、うん――」

 そのまま駅のホームで遮られるから。


 ただ残ったのは、赤い世界で楽しそうに手を握りあう、世界一可愛いと思った笑顔の少女の姿。電車の殺人的な風圧で遮られる、見る事すらもマブタの中だけで。一人。



「良いですよ、ほっときなさい。もうせいぜい使わせてくれればよ……。輪廻にも言ってあります、その点の礼儀だけは認めますから、戸北 壮太……」

 良かったわよ、むしろ……、フフ――。

「うー…ん、まぁそうだよねぇ……。まるっと確かに私達、何度か見て来たよねぇ~……。でも今回は恋愛の初心者さんだって……、それを私達が審査するんだもん、ちょっと厳しかったって思ってるの」ただね……――?

ただ……? マイチが首をかしげる姿に灯火は……。



「ううん。でも丸っと私の思い過ごしだと思う。ただただ走らなきゃだったね……、まだヤレル子だったら良いなぁって私は」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ