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「ふぅ~~………、まぁこんな所でしょうね」ちゅぅぅぅ………んぐ。「アナタに私は早かったでしょうし、遊びにもならなかったですが。感性とセンスを考えればまぁ」上々――?


 処理完了した涼し気な顔の灯火の横ではなんとなくだが、いつもと全然違う物を買ってしまって……。

 財布の中の偉人達が蒸発した後悔と述懐うずまく、そんな戸北 壮太。それを眺めるお洒落女優の灯火。食べ物しか見てないマイチ。とりあえずはマイチ先輩に灯火とフードコートでご飯だが、もう我慢してジュースだけしか……。



「ちょっとー~……、暗い顔してないでおごりなさいよー……、おごって下さい なさいよーーっ」

「えぇぇ………っ、でも俺は服買ってお金がキツイんだよぉっ、だいたい灯火達は仕事してるんだろうにぃっ……!?」

「フフフぅ……、でも搾り取っちゃうぞ~~っ、まるっとお姉さんは後輩なんだからねぇ~っ、ドンドン頼っちゃうからぁっ♥」

 そう言うと遠慮せずにドンドンと自分の好きな物を頼んでしまう女優達。

 ちなみにドーナツまで買ってやがるのだ、もうなんだか地獄絵図――。


「ひぃぃいっ!? 支払いこれ、俺なの……。あぁお金どころかポイントも蒸発してくんだけど……、これ冬になったらどうなっちゃうんだよぉお!?」

「そういう事もあるのへぇ~? だからぁ~……むぐむぐ――、やめよって言ったのよほぉ、まるっと大変なのぉ、私達はぁ~~っ」


 なんとなくだが、一般人との恋が難しい気がするのは事実だった。感覚が違いすぎる。

 むしり取られていると……。もう既にお持ち帰りの何かを探して2人は生贄を……。


「お前ら……。何やってんだ、こんな所で」


 ――。

 ――――――?


「あぁ~~、えと、キミは確か、まるっと誰くんだったけぇ~?記憶じゃなんとか島君だよねぇ、中学の時にいたんだよ、あの演劇部に~~」

木島きじま 義郎よしろう……、最後まで残ってたろう、覚えてろよ」

 そう言うと驚いた顔で壮太を見ているのだ。そう、そいつは壮太に詰め寄ったあの――。


「オマエ……、本気でこんな奴らとやってんだな、もう2周目らしいぞって……。義臣 輪廻の真実を聞いたハズだ、よくもあんな奴とやってられる、なんだ……――」

なぁいないんだぞ? ソレはもういないんだっ――。

「あぁうん。まぁそうだよ、でも……、彼女はいるよ、俺だって絶対にいる……。お前がどう言ってようが俺は信じれたんだ、それに何より……」

俺が見たあの演技は本物だと思ったから――。


「な、なんだってぇ……?演技ぃィ? ふひっ……ひひ……、アハハハ!聞いてたかよ? あんなもんが演技なワケないだろうっ、アレは操られてんだわぁっ! テメェ自身が吸収しないならソレは実力じゃねえよなぁ、アイツ自身に演技力なんかねえわっ!」

ドンッ! ちょっとォ机叩かないでぇ~ッ「フフ、でもそれは負け犬の遠吠えでしょう……。演技の世界を舐めないで欲しいわ、じゃあ操られて何が悪いんです?だって素人に見せるんですもの、それならナンデモ良い……――」

これが本当の演技力の意味よ。


「それを高尚な顔すんのが薄汚いんだっつってんだよォっ!? 何でも良いとか言われて通るかっ……それで泣く奴がいるんだぞっ。あっという間にせん滅させられちまったろうに、あの自称女優さまによぉっ!」

「そうだねぇ……、まぁ、素人さんには辛かったろうな~って。でも実力だよ……。年齢も一緒だ、まるっと君だってなーんにも体験した事ないでしょ?あの苦しみ、あの悔しさ。私達に選ぶ権利なんてないって――」


 その現場は既に生きている。


 揉まれるのではない、そもそも消化液の中だ、誰も彼もがいなくなって欲しいと願っている。プロという名の小さな配役をめぐって殺し合う為の現場。

 生き残らないと。そこには自分じゃどうにもならない軍資金があって、表現の為にはそれが必要で、自分が表せる表現は限りがある。その戦いが全てで。


「もうメインの子に共N出されたら終わりだよ……、私達じゃ覆せないの、舞台を没収されちゃうっ……。だから無視されても笑ってなきゃだよっ、服を笑われても……出身で差別されてもっ。何言われても上手い事イジメにならないようかわすのコッチなのっ……」

「そこでは演技なんて……、正直突き詰めても意味ないんですよ、ソレを嫌という程分からされるわ。そこらのアイドルや漫才師だって、なんならYouTuberだってそこそこヤルわよ、すごくすごく浅いんですよ――っ」


 正直、現代演技においてはもう下手クソという言葉はあっても、上手い、という概念は無いに等しい。芸術とは神話だったと知らされるのだ。

 それは8割の民が大地を耕していた時代の、一部だけが追い求めれる自己満足だった。誰も彼も上手いだけじゃ通じない――。


「そこでは例えばですよ……、偽の演技してるって言われて、別人格、怪物女優って触れ込みで切り込んで良いわよ。素がただの女子高生っていうのも有り……、演技力0なんてもちろん有りだわ。正直手段なんてなんだって良いっ……」

ソレで老いた大御所とモメて絡めるんなら大歓迎ですよっ!


 実際そういったのも考えられててしかりであって、芸能界に置いてはソレは正道。飛び道具の宝庫とまで思える輪廻だ、しかし――。


「でもそんなヤツが演技者な訳がないだろう……っ!? 誰も覚えてないんだ、共演者の事も置いてけぼりでっ、ソレで誰がアイツに好感持つって言うんだ!? 機械じゃねえのかよもうッ!」

「まっ、それはそうよ―――」


――。

――――――――――。


「アイツだけが目立つんだよ……、でもその事すら覚えてねぇんだっ、やってられるかよっ! 誰が何を楽しくやれる?アイツに演技のコツなんて聞けるのかっ……?なぁ――、俺らはなんで負けたんだ、アイツなんの為に輪の中にいるんだよっ、なぁっ!?」


 義臣 年輪は無敵である。彼女が何を求め、何を練習しているのかすらも分からない。

 彼女はキャラクターそのもの、外にある限り勝てない、内に実在する人格。演技の教科書より辛い虐殺が起こる、実力以上に恐ろしい差が。


「フゥ……フゥ……、演じるアイツの目はな、ずっとずっと俺らに失望してた……。とにかくあんなのが芸術の域に入るなんて言わねぇっ……、所詮は模倣だよ、そのツギハギの塊だろ! 誰も演技者だなんて思ってねぇよぉっ!」

 その言葉にうなずくだけ。

 大して反論なんてしない2人に、業を煮やしてそのまま木島は消えて行くしか……。


「気にしないで良い。あの程度の話はずっと言われて来ました、むしろ芸がない――」

「まぁねぇ~、まるっと根底からへし折っちゃうからねぇ、リンちゃんの存在は……。青春したい子には難しいかもだ、プロの中でも吹っ切ったレベルの立ち位置だもん」

でもね

「あんなのと戦わされたらたまったもんじゃない、でも、戦うのよ――」「全然いなくなって行っちゃう、楽だよねぇ……」


 映像部、その散らかっているたくさんのゴミは、今までかけた彼女らの苦心の結晶。聞けば中学どころか小学からの物らしい、誰も彼もが背を向けても、舞台を作り上げた3人の――。


「あの子見てると萎えちゃって出ていくわよ。まぁ~ぁ? 下心だけのアナタも? フフフ。是非頑張って下さいよ、雑用君」

 友達も共演者も切り捨てる、その孤高、その孤独――。

アナタはあの子の何になれますかね……?

「さぁ行きましょうか、もう良いでしょう帰りますよ、十分だわ。それで私本を見たいんです、アナタ付き合って……。本を一冊お願いします」


「えっ、えぇええ!? まだあるのぉ――っ」


「私もねぇ~、実はまだお菓子が気になるね~。すこーし時間はかかるけど、壮太君は頑張って欲しいのぉっ♥」

 ぷにゅっと。そのままなんやかんやとせびられ、非常に痛い目を見る壮太。

 まぁただ、マイチ先輩のそのオッパイ力だけは偉大だったが――。


まぁアレが、普通の被害者とも思えますね。そもそも相容れない所で終わるんです。分かります?

 フフ――♥



 壮太を見て笑う灯火。

共Nなんて言葉は恐らくないです、共演NGですが適当で雰囲気出してます。気にしないで。

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