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 日影でも浮き上がる程の肌、良い匂いと青空の下。


半分までは読んでくれたんだよね? じゃあここ位までだなぁ~~っ。ペラペラめくる輪廻、正直映画化する割には全く耳にした事ない漫画だったが……。


「この子が私の役でね、お相手というか、メインがこの子、それでこの女優さんなのね~♥ でねっでねっ、この部分だよ戸北君っ! 少し削られてるけどねぇ、きっとココは……」

――。

「ねぇ、どうしてかな……。私はそんな事言いたくないよっ、ねぇ……――」

はい、これです……――、彼氏さんだけに特別上映~~、フフフ♥


―――――「あぁ……うん、へぇ~~………~。あの、えと、個人的にはでもさ、なんか……、雰囲気だけで言うと配役逆っぽい気がするんだけど、この2人の役者さんさ」ふ……ふふふ。

「そうなの、そうなんだよねェっ! でもすっごく化粧で変えて来るよ、もうそんな方面まで開かないで~って感じなのっ。あぁ~~、メインの女優さん楽しみだな……っ」

 そういうと輪廻は立ち上がり、楽しそうに台詞を口にする。


 どうやらメインの見せ場らしい、多分この映画の終わりだろう。始まりはひずみだった、でも……。

「きっとね……、私もそう思ったんだよ、そうなりたいって……。でも色々あってなれないよ、でもきっとって思うんだ、一緒だ――!」

 光って見えた、同年代でこんなに目標がハッキリある子は初めてに思えて。


 可愛いは可愛いのまま、てっぺん目指す少女達。素直に人って綺麗に光るんだと思った。

 終わってこちらを見つめる笑顔輝く少女に……。


「うん、キレイだよね……、うん」このセリフ、このセリフはねっ……。

 焦ってうなずくしかない。

「そうそうっ、そうなの~っ♥ ねぇどうかな、だから戸北くんっ……。これね、もし私と一緒に見れなくても、絶対に絶対に見て欲しいなって――っ」

 その心打つ輝きにも、目を逸らしてしまう。何にもなれず引いてしまう可能性という現実、それが透けて見てしまう――。



「あぁうん、でも輪廻さ……、今回の女優さんはどうなの、あの………育ってるんだよね? どんな感じなのかな、2重人格になるの。意識はあったりするのかなって俺……」

「あぁうんそれは実は……、分からないのね……。正直どこまでこの力が影響するとか試してないの。ただ台本持って一度読んだら感じるから、それがどの位大変かは気づける。今回はまぁまぁだな~って」

でもそれ以外は無音だし、何もないんだ私


 壁を滑り落ちるように、ぽすんと座る隣で「大体コレでも1週間だよ……。でもそれでもあまり適当だとクォリティー落ちる、私じゃね……、私」「えー~、でもぉ~、まるっとセミの真似した時はリンちゃん、すっごく上手かったよぉ? 昔おしっこするって言ってぇ……」

「わーっ、わーーッ、なんで先輩っ、駄目です駄目ダメぇっ! 変な事言っちゃダメ~~っ!?」

 突然の乱入に大慌てする輪廻が、すこぶる顔を真っ赤にして鼻血ぴゅーーっと。


 この後も配役の話なんかで盛り上がるようになる、思った以上に会話には困らないのだと思えた。ただ彼女の演技が進む事への不安も正直……。







 がちゃっ。

「お~ぃ灯火ぃ、来たよ~……。昼練にオレが絶対必要だって、なんか急用って話だよねぇ……」

「はぃ。ではそこに座って。それでどうだったですか? 原作と台本、2つを完全に読み込みましたよね。何かこの作品のアドバイスをばと……」


 その言葉に眉根を上げる。それは昼休み――。


「あぁえと……灯火、そんだけ? でも輪廻は良いの、マイチ先輩もだし、別に急がなくてもさぁ……」あと完全じゃないからな、まだ半分見ただけだけどね。

「たった半分ですか? あぁまぁ………、仕方ないわね。それでマイチ先輩は少し用事です、そして輪廻は、あの子はフリーだわ。残るものが筋トレとストレッチとかしかないから……」ゆえに私達2人は昼でも演技なんかを研究しますよ。

 すごい、なんか椅子しかないという殺風景な部室で、すごく味気ないその無表情の地味メガネさんを前に。


「あぁ~なる程、ここ来たら2人しかいない理由はソレか~……。最初の時そうだったな、ただご飯はでも……、ご飯。キミそれだけなの、まさかもう食べた――?」

「えぇ……、少し、昨日は食べ過ぎましたね――」そう言うと素知らぬ顔で椅子の上、片ヒザ抱えバランス栄養食を口に入れる灯火。


 そして眼で促して来るから、さっさと話して欲しいらしい。なんとなく解せないが……。


「あぁうん、じゃあさ……――。アレって少女漫画だよねぇ? 多分恋愛メインなんだけど、ただ妙にバトルとか入れちゃってて、本格思考のつもりなんだろうけど男からしたら――」


―――。

――――――――――。


「なるほどです……、そう感じるんですね……―。つまり男の目線としてはソレ、だから切られてる、演出家はこの但し書きを――」

 熟考。


 ひたすら壮太そっちのけで熟考する灯火。俺が正座してる前で全くなんか一人の世界で……。

 がちゃっ。「はぁ~い、マイチちゃん登場で~~す♥って、あら……? あらあら? まるっと壮太君早いねぇ。もうトモちゃんは良いとしても、壮太君なにしてんのぉ~?」


「いや………、まさかマイチ先輩今までご飯食べてました? あっ、あのさ、灯火、ちょっと俺もご飯食べたいんだけど……」


「あっあっ、駄目だよ~、は~い……壮クン座ってぇ♥  じゃあお姉さんにもね? は~い」頑張って頑張ってぇ――。

「あぁ、ウソだろ、まさか同じ事を先輩にも、クソぉ……」

 そのまま、マイチ先輩が欲しがる役に対してのひたすら所管を述べさせられる。



 映像部、厳しい。

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