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「イヤ……っ、いやいやっ、戸北よ戸北ぁァッ! オマエ聞いたぜ、2度目の立候補したらしいなっ……。久しぶりにこの学校でもスゴイ奴が出たって噂だっ、もう完全な性欲モンスターなんだなぁってぇえ!?」


 いや、まぁそうね……。


 そうだよ、可愛いからああなったと言われたら、返す言葉もないよね。

 でも口は慎もうぜ、な?


 ジュースを飲む誘いと同時に、完全にコレだった。クラスどころか学校でも噂らしい。

「でもさでもさぁ……――、もしかしたらあの子達全員、食べられてたのかって……うん。それで大変だわ、あの秘密基地してた木野子ちゃんだっ。アレもう泣きはらしちゃってさぁ、生徒に紛れ込ませてたBot全排除だわなぁっ……!?」

いやぁ~、ホントあの子リアルにハッキングの才能あるわぁ♥


 一気に何人かが倒れて動かなくなったらしい、食事中や体育の時間、粘土細工しながら。今まで普通に生きてると思ってたのに倒れて、一か所へと……、4つん這いで一斉に向かう最恐のホラーを見せられ、そして。


「扉を3重にして部屋を256分割できるように組み替えて、あげく人を絶対寄せ付けないよう再度改造してるらしいぞぉっ。お前の衝撃はすごかったんだわ、まーた中学に逆戻りだってさぁ♥」


 あぁ……残念――。

 大変に残念である。そして真性引きこもりのド・ストレートだったのかよと。


 ホラーを起こすまでに至る性欲魔人な男とか、もうなんか後藤田に散々な言われ方だが。クラスの中でも一気にその立ち位置が、明らかに引かれてしまっている。


 また……、なんか遠のいた気が、あんなすごい女の子たちと一緒なのに。


「まぁでもな、安心しろってぇ。今はさすがに色目で見られるけど、その内すぐ終わるさ。義臣 輪廻の交友関係は狭いからなぁ~って、それだけだよっ、はははっ♥」

それを伝えに来たと笑い。「あぁ~~、後藤田? 聞きたいんだが、やっぱり輪廻と付き合えてるのって女子ですら限られてるのかい? 記憶が飛ぶって言うけどさ……、うん」

それでも

上手く長くいった人とかいないのかよ。


 渡されたカロリーメイトを頬張りながらジュースを飲み、温かいコーヒーの香りを撒いて「あぁ、うーん、ソレはまぁあの2人だけかなぁ……。こーはい先輩さんと高鷹ちゃんはずっといるなぁ、確かに。でもそれだけか。まぁでもホント……、あの年がら年中記憶喪失な少女と付き合うのはアレらくらいなもんさな……、だって記憶ねえんだぜ?」

どうしろってんだ。


 確かにそうだ、それでもあの仲の良さを見るに、相当な間柄だと言えた。

 つまりは……。


「少しでも輪廻のサポート得たいってなると、やっぱそこしかないか……」

「そうな、仲良くやった方が良いよなぁ~……。っていうか、あの2人を逃したらさ、最悪もしかしたらもう義臣 輪廻が覚えてるのも、名前知ってる人間なんてのさえいないかもだし、まぁそんな訳が――っ」

ひゅ……っ、かたん、かららっ……――。

 後藤田と戸北はお互いを見合い、恐怖と沈痛でうなずく。

 中学からの知り合いもほぼ全滅な人生、あれほどの美貌をもってしても同年代とはもう空気も、そしてその記憶もが違って――。


「とにもかくにも連携はした方が良いと思うぜ。ただちょっとやそっとじゃ相手してくれないだろうけどなぁ、何せアレ2人は素が相当厳しいわぁ――」

 その言葉には重みがあった。

 まぁ確かに容姿は好き好きだが、しかしあの輪廻に並んでいてそれでも消えない存在感、しかも性格も遥かに女優向きらしい。


 壮太はその飲み終えたのを捨てて、後藤田が後ろからはたき……。


「でもこれから行くんだろ~、映像部ぅっ! アレはウチの花形になったんだから頑張ってくれよ~~っ、ひっひーっ♥」










 少し雨模様の空、歩きながら来たメッセージを返す。

 彼女は無邪気だ、ソレはソレでなんか良い気分、1人で部室へと続く渡り廊下を……。


「でもなんとなくだけど、分かった気がしたんだ。輪廻がすごく無邪気で、そして親しみやすい理由を」

「えぇ……ひっどーい、私も一応芸能人さんなんだよぉっ。つぶやいてもかなりの人が良いねしますっ……、インフルエンスもりもりですからぁ!」

「まぁでも、オーラだけなら灯火の方が、ホラ……。なんて言うか、分かるだろう? 違うんだ……」


 その言葉に更に更に顔を膨らませる輪廻。

 なんとなくスタンプの連打に機嫌が悪そうである。


「あのね、あの……。まぁでも輪廻の方がその……、可愛いから、ホラ。一番なんだよ」顔真っ赤で――。

「あ゛ぁぁ゛ぁ……、、、どうだろう―――。あのね、戸北くん、あの2人の本気を舐めちゃダメだよ。本当にほんっとうに怖いんだから、ヤダー……もぉーーーーーっ」


 騒いでる一人の無垢な女優に、そのカースト最上位の少女に、この話題は結構難しいのだと教えられる。






 がちゃっ……。

「はいはいはいっ! まるっと遅いよぉっ 壮太君ッ! もっと積極的にならないと困ります……、昼休みも来なかったよねぇ…朝練もしなかったねぇっ……!? 明日は1時間前には来ましょうねっ、はいッ!」

 コーハイ先輩の激と共に、おウチに入れてくれないお姉ちゃんスタイルの構え!

 学校の廊下、普通の地味な一室の前。オッパイ揺れる。


 映像部の初日、契約と違う内容で怒られる新人、だが明らかにこーはい先輩は本気っぽいくて……。


「えぇぇ……―いや、あの……。1時間、それ授業終わってすぐ走って部活って事ですか、なんかキツ過ぎませんっ……?」

「そうだわ……。こーはい先輩、駄目ですよ。ソイツいつまで続くか分かりませんから。所詮ただの輪廻目当てのカブトムシだわ、精神安定剤ですよ……。この部屋に来るのも可愛い女子目当てです、それ以外ないのよ……」ねーー? 

そうですよね~ー……フフフ♥


「えぇぇっ、トモちゃん優しすぎるよぉっ。私壮太くんはねぇ? まるっとモットあいるびーばっくさんにしたいの、もっともっと安心の進化が欲しいのぉっ」

「いや……それ、最終段階でも難しすぎません?」「えぇぇ? まだ一段階目のつもりだよぉ? まるっとなんでぇ……?」


 止まるなよ……止まるんじゃねえぞ。


「えぇ……、それでアナタいっつも超進化させますよねぇ……。マイチ先輩のせいですからね、水泳部があんなになっちゃったのは、筋肉は浮かばないっていうのに――」

 安心の超進化だ。俺はフリーしか泳がない系男子も1年で荒波ヒャッハー、まずは海水で鼻うがいな筋肉・セーバーに仕上げるマイチ。


 ずび……ズビビビ……、口から、ヴォエエ……。


 そんな彼女は今は、エサに釣られてノコノコ入って来た男という、都合の良い保険特約が目の前にあってだ……。

 お部屋に入れてもずっと、オッパイ揺れて風が……。


「えぇ……でもでもぉ、まるっと男の子少ないから頑張って欲しいの~~っ。フツー頑張ってくれるよぉ?」

 ムッチリしてて小動物な先輩が撫でまわして来る、普通の高校生がされないような撫で方で胸部へ円を描き「もううちのりゅー君なんかね~、襲ってきた暴走族さん3人まるぅっと病院送りにしてくれたんだもん、まずはここを目指そうねぇ、うん~~♥」


「いや………、3人相手とかスゴ過ぎでしょう弟さん、多分まだ中学生くらいでしょ……。さぞや激闘を繰り広げた……、どんなガタイだ。せがまれたにしろ相当な修練積まされたんだな……―」

「ううん? 全然。だって弟じゃない、まるっとただのモモンガさんだよぉ♥」


 おぉぅ……――。


 モモンガさんも危機感をにじませる位の危うさを醸すのか、このこーはい先輩は。


「弟は時折フリスビーだと思って投げようとしてぇ~、指へし折られてるぅ……」

でもアレは守る気ないのが悪いのぉっ……。

悪いの悪いのぉっ! 胸がブルンブルンしてる、本当にデカいのは斜めに振りあがる。もうなんか、すっごく危険だと思った。


 どうやら周りにいるのがゴリラに超進化する気配があるらしい、ポケモンやってたら地獄絵図だろう。イーブイ→さらに進化の向こうへっ、プルス・ウルトラ! 私が……、来たぁああ(第一段階目)!

ケモ耳八木くんにカオぐっちゃぐちゃにされる可能性あるね。

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