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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第三章 Sランクへの道のり 中編

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096 Bランク試験 ミナト2

 ミナトは咄嗟に素手で身構える。

 無防備な体勢で剣を収めていたとはいえ、そのわずかな時間で呼吸を整え、武の構えを完成させた。


 それはハイリザードマンからすれば、最大の誤算であっただろう。

 剣を持ち戦っていた者が、素手であっても同列、あるいはそれ以上の、重い威圧感を放っている。


 だが、ハイリザードマンには槍を放つ以外の選択肢はない。

 飛び出した勢いをそのままに、ミナトの頭に向かって、鋭い突きを放つ。


 だが、ミナトはそれを正確に見極め、上半身を沈めるようにしゃがんで交わすと、反撃を加えようと、低空のまま一歩前に出ようとする。


 だが、リザードマンは槍が空ぶったところで、驚くべき機転をきかせた。

 空中で胴体を無理やりひねり、その遠心力で尻尾による、下段への凪払いを行う。

 低空で構えるミナトに対して、とても有効な攻撃手段だ。


 さすがはBランクの魔物というだけあり、それなりの経験のようなものからくる、攻撃の機転をもっているのだろう。

 ミナトは、反撃を加えるべく、動き出した瞬間だったため、回避も間に合わずに、両腕を交差させ、ガードするしかなかった。


 ドンッ!


 肺の空気が押し出されるような鈍い衝撃が、ミナトの体内に響き渡る。

 だが、咄嗟の凪払い、及び刻付により強化された肉体には、実質的なわダメージは無かったようだ。


「まさか、一撃もらうことになるとはな……。俺もまだまだ精進が足りないか」


 ミナトはそう言うと、ハイリザードマンを見据えながら剣を抜き放ち、構えをとる。


「さっきのお返しと行こうか」


 ミナトは剣を時計回りに大きく回すと、剣先を下段に構え、自身よりも後ろに向ける。

 この構えはワイバーン戦でみせた残月の構えだ。


「残月の構え、穿孔(せんこう)!」


 ミナトはそう叫ぶと、音速を越えるスピードでハイリザードマンの鎧の隙間を縫うような、正確かつ強烈な突きを放つ。

 それは斬撃というより、衝撃のほうが正しい表現なのかもしれない。


 剣は確かに突き刺さった。だが、その衝撃のあまり、ハイリザードマンは後方に大きく吹き飛ぶ。

 傷口はえぐれるように穴を空け、もはや立ち上がることも出来ず、絶命寸前である。


「一撃で決めるつもりだったが……まだ、息があるみたいだな。すまない、苦しめるつもりはなかったんだ」


 ミナトはそう言うと、苦しむハイリザードマンに止めをさした。


「ふぅ……」


 ミナトは呼吸を整えると、ハイリザードマンの魔石をしっかりと回収し、湿地帯を後にした。

 帰路の途中、先程の戦闘を振り返り、反省をする。


「相手が人間でない以上、予期せぬ攻撃パターンもあるよな……。例えば今回の尻尾による凪払い。あれは尻尾がある魔物なら、可能性を考慮するべきだったか……」


 ミナトは腕を組み、考えながら歩く。

 彼の心の中では、戦闘が何百回も再現され、改善点が導き出されていく。


「初手の槍による攻撃を、しゃがまずに、寸前で体幹を引き込み、そのままカウンター気味に反撃をした方が、仕留めきるスピードは早かったな……」


 ミナトは常に反省を繰り返し、高みを目指すことに一切の妥協を許さない。

 ただの帰り道ですら、ミナトにとっては思考による修行の場となる。

 思考による修行を行いながらも、ミナトは三日の時を経て王都に到着した。


(クレイグは順調にいってれば、先に帰ってきてるはずだが、どうだろうか)


 ミナトは先に試験を終えているであろう、クレイグの心配をする。

 だが、その心配は無用だったようだ。

 ギルドの扉を開けるなり、そこにはクレイグとシスカがテーブルに腰を掛け、話し合っている姿があった。


「クレイグ!シスカ!」


 ミナトは二人に声をかける。

 すると二人もこちらに気づいたようで言葉を返す。


「ミナトさん、お疲れ様です!試験は……聞くまでもないですね」


 クレイグは笑顔でミナトの帰還を喜ぶ。その表情から、クレイグ自身も試験に無事合格したことが伺える。


「待ちくたびれたわよ」


 シスカは皮肉を言いながらも、ミナトへ向ける視線には、隠しきれない労いの意を感じられる。


「これでも急いで片付けてきたんだぞ。リビアさんへの報告がまだだから、先に済ませてくるよ」


 ミナトの言葉に二人は頷き、了承した。

 そのままミナトは、カウンターにいるリビアの元へと足を運ぶ。


「こんにちはリビアさん!ハイリザードマン、無事討伐完了です」


 ミナトはそう言うと、ハイリザードマンの魔石を差し出す。


「お疲れ様ですミナトさん!討伐おめでとうございます!これで遂にBランクですね!異例の速さでびっくりですよ!」


「リビアさんが効率のいい依頼を、紹介してくれたお陰もありますよ」


 ミナトは少し照れくさそうに笑いながら答える。


「いえいえ、全てミナトさんの実力ですよ!では、ランクアップをしますので、ギルドカードとプレートをお願いします」


 ミナトはリビアに言われた通り、ギルドカードと首から下げているプレートを手渡す。

 リビアはそれらを受けとると、手際よく更新の手続きを始める。


「……はい、更新が完了しました!これで正式にBランクとなります。改めて、おめでとうございます!」


 ミナトはリビアから更新されたギルドカードと、プレートを受け取り礼を言う。


「ありがとうリビアさん!またすぐに依頼を受けに来ますね」


「はい、お待ちしております。依頼といえば、セイラさんと、メリアさんも、ミナトさんがいない間にランクアップの資格を得たので、先日試験に出発されましたよ」


 リビアの突然の報告にミナトは目を見開いた。


「そうだったんですね。彼女たちはAランクに……。追い付いたと思えばすぐに先を行ってしまいますね」


「でもミナトさんもこの調子ならすぐにAランクになれますよ!頑張って下さい!」


 リビアの応援にミナトは笑顔で返し、礼をいう。

 笑顔で手を振るリビアを背に、ミナトは、クレイグとシスカの元へと足を運ぶのであった。

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