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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第三章 Sランクへの道のり 中編

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095 Bランク試験 ミナト

 一方ミナトは、クレイグと別れたのち、森林地帯から先に、湿地帯へと向かっていた。

 森が生い茂る景色は一変し、沼や湖のような水場が所々に現れ、地面は深く湿り気を帯び、踏みしめるたびに水気を帯びた泥がギチギチと音を立てた。


「歩きにくいな……。馬をおいてきて正解だった」


 ミナトはここにつく前に近隣の村にたちより、馬を預けていた。

 事前に目的地周辺はぬかるみがひどく、馬もまともに走れないと、リビアから教えてもらった甲斐があったようだ。


「リリィは空を飛べて羨ましいな」

「キュウ!キュウ!」


 ぬかるみを歩くミナトは、空に浮き、優々と着いてくるリリィを笑顔で見つめる。


「目的地はここら辺だな。あとは自力で探すか」


 ミナトは地図を見ながら周囲を確認する。

 リザードマンは水辺を好み、水中に潜んで、獲物を狩るという習性をもつため、姿が見えなくとも、油断は出来ない。


 だがミナトは奇襲を受けるつもりは毛頭なかった。

 鍛練と称し、未完成の衡波(こうは)をあたりの沼に向かって放ち始める。

 放たれた魔力の塊が沼に当たると、水しぶきをたてる。

 威力もなく、子供が水面を叩く程度の水しぶきしかたたない。


「はあぁ!はあぁ!……まだとても実用的では無いな。だが挑発としては使えるようだ」


 ミナトが連発した衡波のいくつかが、奥まった藪の陰にある、ひときわ濁った沼に命中した。

 いきなり魔力の塊が飛んできたことに驚いたのか、数匹のリザードマンが姿を表す。

 それぞれが粗末な武器や防具を身に纏い、ミナトを獲物として認識している。


「ハイリザードマンは……。いないか。まあ肩慣らしに丁度いい。リリィ、今日は見学な」


「キュウ!」


 ミナトはそう言うと、腰の剣を抜き放ち、臨戦態勢をとる。


(数は四匹。剣に槍、斧が二匹といったところか)


 ミナトは相手の武器を冷静に判断し、戦略を立てる。

 正直、今のミナトの強さだとCランク相当のリザードマンは、戦略などなくとも、簡単に屠ることが可能だ。


 だが、ミナトは常に格下相手であっても、戦略を立てているのには理由がある。

 それは武道家として、隙や油断を作らないための、ミナトなりの心構えなのだ。


 常日頃、癖のようなものとして、その思考を巡らせることにより、仮に自身よりも強大な敵が現れたとしても、毅然といつも通りに戦闘を行うことができる。

 一種のルーティーンのようなものだ。


(まずは初手でリーチの長い槍持ちを狙うか)


 ミナトは剣を構える。それはシスカの神速の突きを模した構えだ。

 対象への最短距離の一撃。


 ミナトは地面を蹴る。足元の泥は、その爆発的な推進力の前では障害にはなり得なかった。

 その瞬間刻付による身体強化、及び飛速による爆発的な推進力を得た体は、残像を残し、槍持ちのリザードマンの頭に目掛けて剣を突き刺していた。


 ザシュッ!


 リザードマンがこのスピードに反応できるはずもなく、首元の骨が砕ける不快な音と共に、一瞬にして死骸と化す。


(シスカの技を見よう見まねしたけど、なかなか使える。彼女からは学べることが多いな……)


 似たような戦闘スタイルのシスカの技はどれも洗練され、ミナトにとってはいい刺激になっているようだ。


(さて、次は……)


 ミナトは次の標的に目を向ける。

 まだ一匹目がやられたことに、目の焦点すら合わせられていないリザードマン。

 続けざまにミナトは剣持に攻撃を加える。

 剣閃を発動させた剣は、正確に首を狙い、横に一閃。


 スパアーン!


 皮膚と肉を断ち切り、骨をも切り裂く、乾いた金属音が鳴り響く。

 リザードマンの頭と胴体は無惨にも切り離され、血飛沫が舞う。

 やっとのとこで斧を構える、残った二匹のリザードマン。


 だが、剣と斧の相性は、ヴァンタルブローのリーダー、ガルムが身をもって証明してくれた。

 いかに強烈な一撃を放てる武器であっても、それを当てられる状況でなければ、ただ隙を作り出すだけである。


 剣を構えたミナトの動きを、正確に捉え、それに合わせて振りかざす。

 ましてやミナトに至っては、合気により直撃そのものを受け流すことも可能なため、大振りの武器でミナトに挑んだ時点で、敗北が決まっている。


 リザードマンは、そんなことも知る由もなく斧を振りかざす。

 ミナトはその隙を逃さない。振り上げきる直前を狙った。


 ザシュッ!


 斧は自身が振り下ろそうと思うところまで、腕を振り上げなければ、咄嗟に下にむかって振り下ろすという動作を行うことが難しい。

 人間でないリザードマンも例外ではなく、その隙に懐に踏み込まれ、斬られるまで全く反応が出来なかった。


(あと一匹……)


 ミナトは側面から斧を振り下ろし始めているリザードマンを視界に捉えていた。

 横に少し動けば簡単にかわせるが、ミナトは敵の正面に向き直り、振り下ろされる斧の側面を、剣先で軽く撫でるように振り払い、そのまま下段から切り上げる。


 ザシュッ!


 四匹のリザードマンはミナトの前に、なす術もなく、ただやられるしかなかった。


「よし、ひとまず片付いたな。けど!ハイリザードマンは出てこなかったな」


 ミナトは足元の魔石を回収しようと、剣を収め、かがんだ瞬間……!

 ギチギチと水場を囲む泥が震え、水面が突如、大波のように大きく波打った。


 そこから先ほどまでとは格の違う巨躯の個体が飛び出してきた。

 全身は洗練された防具で覆われ、槍の穂先は水滴を光らせてミナトの無防備な頭部目掛けて一直線に突き出される。

 間違いなくハイリザードマンだ。


(仲間の死すらも囮として使ったのか……!)


 完全に無防備な状況のミナトと、狡猾なハイリザードマンとの戦いが始まる。

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