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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第三章 Sランクへの道のり 中編

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087 ヴァンダルブロー

 昼食を済ませた一行は、ギルドに戻り、次に受ける依頼の話をしていた。


「グレンさんの言うとおり、なるべく国営依頼を受けたいところだけど、確かにBランクにはあまりないのね」


 シスカは掲示板に張り出されてる依頼書の、依頼者の欄を確認しながら一通り見るが、どうも国営依頼は見つからないようだ。


「グレンさんも、Aランクが主体になっていると言ってましたしね。やはり結局のところはAランクパーティにならないことには、あまり貢献度を得る機会は無いのかもしれないですね」


「まあ無いもんはないで仕方ないから、とりあえずリリィの魔法も試したいし、アンデッド系の手頃な依頼を受けたいな」


 クレイグは国営依頼が無いということに、難しい表情をするが、ミナトはすぐに思考を切り替え、無いのであれば、リリィの戦力を確認できる依頼を受けることを提案する。


「確かにアンデッド系なら、光や聖は、かなり有効性があるので、リリィちゃんの最初の依頼にはそれがいいかもしれませんね!」


「私もリリィさんの魔法に興味があるので賛成です!」


 セイラとメリアがそう言うと、シスカ、クレイグもそれを了承し、再度掲示板を眺める。


 Bランクでアンデッドともなると、単に強いだけでなく、状態異状やデバフなどの、厄介な特性をもつ魔物が多く、ミナトの純粋な物理では苦戦を強いられる可能性もある。

 その点リリィの聖属性魔法が効果的であるとわかれば、今後の戦闘において、大いに助けとなるであろうと考える。


 それを考慮し、依頼を探していると、クレイグが一枚の依頼書を手に取る。


「この、カースドナイト討伐依頼なんてどうでしょうか?騎士系アンデッドで、呪いによる能力低下の特性を持っています。これならリリィさんの攻撃力だけでなく、聖属性による呪い解除・回復効果も試せます」


「確かに攻撃に回復と両方を試せるし、難易度的にも申し分ないな。よし、それにしようか!」


 クレイグの提案を他のメンバーも了承し、カースドナイトの討伐依頼を受けることにし、依頼書をそのままリビアのところに持っていく。


「こんにちは皆さん、早速次の依頼ですか?」


「はい、リリィの力試しじゃないですけど、ちょうどいい依頼がありましたので。これ、お願いします」


 ミナトはそう言い、先ほどの依頼書をリビアに渡す。リビアはそれを受けとると、地図を用意し、詳細の説明を始める。


「こちらの依頼は王都北側にあります、丘陵地帯の旧戦場跡付近になります。カースドナイトの他に、スケルトンナイトや、リビングアーマーなども出現しますので、ご注意ください。またカースドナイトは夜間にしか出現しないとのことです。王都にあります教会からの依頼になりますので、出発前に一度お立ち寄りをお願いします」


「ありがとうリビアさん。じゃあ行ってきます」


 一行は地図を受け取り、ギルドを後にする。


「さて、教会へ向かいたいところだが……どうやら面倒くさいことになってるな」


 ミナトはギルドを出るなり、柄の悪い冒険者らしき集団に囲まれる。

 その中の、大きな斧を持った、髭面のリーダーらしき大男が口を開く。


「よう兄ちゃん、さっきはよくも偉そうなこと言ってたな。努力がどーのこーのだっけか?魔法も使えねえテメェがCランクにあがれるはずもねえだろうが!あんま調子乗ってるとやっちまうぞ」


 その言葉にシスカは怒りを露にし、今にも剣を抜いてしまいそうになる。

 ミナトはそんなシスカをなだめ、冷静に話をする。


「話があるのは俺であって他のメンバーは関係ないんだな?」


「ああ、テメェみたいな魔法も使えねえ無能力者が調子にのってんのが気に食わねえんだよ。どうせCランクまであがったのも仲間のおかげなんだろう?でもまあ、今ここで土下座して謝罪すんなら多めに見てやらんこともないがな。がはははは!」


 大男は高笑いをし、ミナトを完全に見下しているようだ。


「それで?謝罪を断ればどうなるんだ?」


「決まってんだろ。どっちが上かわからせてやるだけだ」


 ミナトは深くため息をつき、その場の緊張感を一瞬で支配するかのように、冷たい声で言い放った。


「はぁ……。相手の力量も推し測れないなんて、よくそれで冒険者やれてるな」


「あん?やっぱり一発わからせねえと駄目みたいだな。面貸せや」


 大男の言葉にミナトは了承し、シスカたちに声をかける。


「シスカ、リリィを頼む」


 ミナトはそう言うと、肩のリリィをシスカに預けた。

 シスカはミナトの意図を察し、何も言わずにリリィを受け取った。


「ところで場所はどうする?ここでやると迷惑がかかる。中の訓練場でもいいか?」


「ああ、テメェの泣きっ面を他の冒険者にもみせれるし、好都合だ」


 そう言うと、ミナトと大男の集団は、ギルドの訓練場へと向かう。

 シスカたちも行く末を見守るべく、後を追うことにする。

 するとギルドに入るなり、リビアがそれに気付き、ミナトに声をかける。


「あれ?ミナトさんおかえりなさい。一体どうしたんですか?」


「どうやらこいつらが俺と遊びたいらしいです。訓練場少しお借りしますね」


「は、はい……。大丈夫……ですか?」


 心配そうにするリビアに、ミナトはにこっと笑い「軽く捻ってきます」と言い、訓練場へと入っていった。


「あれはたしかBランクパーティのヴァンダルブロー……。あまり言い噂をきかないですね。ミナトさん大丈夫かしら……」


 リビアはミナトの背中を見守ることしか出来なかった。

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