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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第三章 Sランクへの道のり 中編

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085 花の名前

 零閃の狼煙一行は一週間の帰路を終え、王都のギルドに到着していた。


「リビアさんただいま!依頼達成の報告に来ました」


「皆さんお帰りなさい!依頼お疲れ様でした。それとそちらのカーバンクルは……?」


 リビアは笑顔で挨拶をした後、ミナトの肩に乗る見慣れないカーバンクルに首を傾げる。


「実は今回の依頼の帰路の時に卵から孵化したんです。獣魔登録も今日はお願いしたくて」


「あらそうだったんですね!ずいぶん懐いてるようで、可愛らしいですね」


 一時も肩から離れようとしないカーバンクルをみてリビアはにこっと微笑む。

 そしてすぐにミナトたちに向き直り、口を開く。


「では先に依頼の報告からお願いします」


 リビアの言葉にミナト達は今回の依頼で集めた魔石を並べる。

 その数は下級のゴブリンだけでも70近くはあった。

 そこにホブゴブリンなどの中級のゴブリンと、ゴブリンジェネラル、ゴブリンキングをたすと100近い魔石の量になる。


「こんなにたくさん……!それにゴブリンジェネラルの魔石が2つ!?あとこれはもしかして……」


 リビアは大量の魔石を前に開いた口が塞がらないようだ。

 そしてそのなかで一際でかく、そしてまだ色の白い魔石を指差す。


「はい、ゴブリンキングになります。戦闘の最中出現したため、やむ終えず討伐しました」


 ゴブリンキングという言葉にギルド内がざわつく。


「あいつらが?」


「まだ駆け出しのパーティだろ?」


「リーダーは魔法も使えないCランクだってよ」


 耳に不快な言葉が聞こえてくるが、別に構わない。


(どこの世界もこうゆう奴等はいるんだな)


「気にしないで下さい!みなさんの実力は間違いない本物です!自信をもってくださいね!」


 周囲の雑音を書き消すようにリビアは大きな声で元気付けてくれる。


「ありがとうございます。でも気にしてないんで大丈夫ですよ!たいした努力もしないで他人の実績を妬む奴等なんて、今まで何度もみてきたので」


 ミナトもまた、周りの冒険者たちに聞こえるようにわざと大きく喋った。


 大抵のやつは目を背け何事もなかったかのように、日常に戻り始めるが、何人かははその挑発にいらついたようだ。

 ギルド内の空気が少しひりつく。


「そ、そんなことより依頼の報告の続きですね!」


 リビアは話題を振りその場をおさめようとする。


「すみません、そうでしたね。続きをたのみます」


「はい、今回依頼には記載の無かったゴブリンキングの出現、及びゴブリンジェネラルも二体居たという事から依頼ランクの見直しを行います。ギルドマスターに確認をとりますので、少々お待ち下さい」


 リビアはそう言うと奥の部屋へと入っていった。


 ほどなくして戻ってくると話の続きを始める。


「今ギルドマスターに内容の報告書を渡してきたので、後程結果が出ると思います!その間に獣魔登録を済ませてしまいましょうか」


 リビアはそう言うとカウンターの下から羊皮紙を取り出し、ミナトに渡す。


「こちらにミナトさんのお名前と、獣魔の名前、種族をお書きください」


 リビアに促されミナトは空欄を埋めていく。


「……できました。これで大丈夫ですか?」


「確認しますね。……獣魔の名前は『リリィ』って言うんですね!素敵だと思います!種族はカーバンクルですね。では、こちらで登録の方は完了となりますので、正式にミナトさんの獣魔になりました!おめでとうございます!」


 リビアのその言葉に一行は安堵し、新たなに仲間となるリリィと喜びを分かち合う。


「ありがとうございます!やったなリリィ!」


「キュー!キュー!」


「リリィさん、これからよろしくね!」


 セイラに続き他のメンバーもリリィと挨拶をかわす。

 するとシスカがふと思い出したかのように呟く。


「そういえばまだ由来を聞いてなかったわね」


 その言葉にミナトは自信ありげな顔つきで答える。


「リリィってのは俺の故郷に咲く花の名前なんだ。真っ白な花弁と、中心の真っ赤な雄しべが特徴で、可憐に咲くその姿をリリィを見たときに思い浮かべた。それが由来さ」


「花の名前なんて、意外とロマンチストなのね」


「でも異世界の花の名前が由来なんてのは素敵ですね!」


 二人の言葉に少し照れながらも、ミナトは笑顔を見せる。

 由来についての話をしていると、奥の部屋からギルドマスターのグレンがやってくる。

 その表情はどこか険しくも、彼らが無事でいることに安堵しているようにも見えた。


「すまない、国営依頼だってのに情報の齟齬、ましてやゴブリンキングを相手にさせちまって」


 グレンはこちらに来るなり頭を下げる。


「ちょっとグレンさん!頭を上げてください!俺らは誰一人怪我なく無事なんですから!」


「いいや、お前らの命を危険にさらしちまったことは事実だ。それにもし依頼を受けていたのがお前らじゃなく別の奴等なら死んでいたかもしれない」


 なおも頭を下げ続けるグレンにシスカは声をかける。


「私たちは冒険者よ。命なんて最初からかけているわ。難易度に見合った報酬さえもらえばなにも文句はない。それにグレンさんが悪い訳じゃないんだからそんなに気にしないでくださいよ」


 シスカの言葉に顔をあげるグレンだったがその顔は少しひきつったように苦笑いを浮かべる。


「そ、それが……だな。国営依頼ってのは国から俺を通した依頼になるから、管理は俺がしてるんだ。情報などはギルド職員を派遣、もしくは偵察依頼として張り出したりする。その情報をもとに俺が依頼書を作ってるからな……」


「だとしても、偵察でしれる情報にも限界はあるわけだし、気にするほどじゃないわよ。ゴブリンキングはたしかに手強かったけど、私たちは無傷よ。苦戦するほどの相手じゃなかったわ」


 再度シスカはグレンに声をかけ、その場を落ち着かせる。

 グレンはその言葉をきき、一呼吸置いた後いつもの調子に戻る。


「ふぅ……。なにはともあれ、依頼達成お疲れだったな!Aランク相手に無傷とは大したパーティだ。さて、キングの件といい、詳しくききたいことがあるからちょっとついてきてくれ」


 一行は頷き、グレンの後を追い二階の応接室へと向かった。

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