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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第三章 Sランクへの道のり 中編

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083 ゴブリン殲滅依頼5

 ゴブリンキングを前にミナトとシスカは構えをとり、様子を伺う。

 束の間の静寂が流れ、あたりは不気味な静けさに包まれる。

 その沈黙を破ったのはゴブリンキングだった。


 グオォォォ!


 図太い雄叫びをあげると、先ほどまで恐怖で萎縮していたゴブリン達が武器をとり、雄叫びをあげながらこちらへ向かってくる。

 まだ十数匹は居るであろうゴブリンはミナトとシスカを標的にしているかのようだ。


(まさか……!)


 ミナトはすぐに勘づいた。

 ゴブリンキングは仲間をすべて前衛に差し向け、時間を稼いでいる間に後衛の三人を先に仕留めるつもりのようだ。


「シスカ、まずい!あいつの狙いは後衛だ!」


 ミナトは襲いかかるゴブリンを相手にしながら、焦りを見せる。


(後衛の三人が接近戦に持ち込まれたら分が悪すぎる……。なんとか食い止めないと!)


 シスカはミナトの表情を読み取り瞬時に考える。


「私がサポートに入る!そっちは任せたわよ!」


 シスカはそう言うと、雷光の残像を残しながら、ゴブリンの攻撃の隙間を紙一重ですり抜けていく。

 彼女の神業的な速度と繊細なコントロールが成す移動術だった。


 仲間の援護はシスカに任せ、ミナトは目の前の敵を確実に一体ずつ葬ることに専念する。


 一方クレイグ達は迫り来るゴブリンキングに近づけまいと、それぞれが魔法を放つ。

 だがその重量から予想もつかない身軽さで避けたり、剣によって弾かれたりしてしまう。


「あんな動かれたら当たらない……!」


 セイラは迫り来るゴブリンキングに焦りを見せる。

 アクアショットやウインドカッターなど、比較的スピードの速い魔法を放つが、依然として防がれてしまう。


 クレイグは範囲魔法のアーススパイクや、手数重視のファイアボールなどを放つことにより、ゴブリンキングに当てることはできるが、固い筋肉の鎧により深いダメージを追わせることは出来ず、ゴブリンキングの突進は止まらない。


 メリアはただ身構えているしかなかった。

 弓に持ちかえてしまったら、もし近距離に接近されたときに唯一対処ができる自分が機能しなくなってしまう。


(今はセイラさんとクレイグさんの魔法に頼るしかない……!)


 だが、もはや数メートルという距離までゴブリンキングは迫る。


「ヴォルカニックウォール!」


 クレイグは最後の砦として溶岩の岩壁を作り出し、時間を稼ぐ。


(後方にシスカさんが見えた。少しでも時間を……!)


 クレイグはこの溶岩の岩壁も、あの体躯のゴブリンキングならば、ミナトと同様に正面から破壊して突破してくるだろうと予想した。


 だがそれを逆手にとり、壊した瞬間を狙うようだ。

 セイラもクレイグの行動をみて何をするのか察し、同様に威力重視の魔法を放つ準備をする。


 予想通り溶岩の壁はゴブリンキングの拳により破壊される。

 王者の余裕か、最後の防御を突破したことによる勝利への確信か、壁を壊したゴブリンキングは拳を勢いのまま地面に叩きつけ、隙だらけになる。


 その隙を狙っていた彼らは即座に魔法を発動する。


「ライトアロー!」


「メテオショット!」


 セイラの放つ魔法はゴブリンキングの左肩に着弾するが、密度の高い筋肉により深くは刺さらなかったようだ。

 だがこの魔法はこれで終わりではない。


「ライトノヴァ!」


 続けざまに魔法を発動すると、肩に着弾した光の矢は光の爆弾へと変わり、爆発する。

 光熱の爆発にやられて左肩は一部皮膚がただれているが、致命傷とはなりえなかったようだ。


 だがクレイグの放つ魔法はその爆発で損傷した箇所へと正確に着弾する。

 ただれていた皮膚に溶岩の塊が直撃し、そのまま左肩から下が焼け落ちていく。


 グオォォォ……。


 ゴブリンキングは痛みにもがく。

 追い詰めていたはずの獲物が戦意を損なわないどころか、まさか自分が作戦にはめられていたとは思わなかったようだ。

 先ほどの余裕はなくなり、必死にもう片方の腕で剣を握ろうとするが、メリアの容赦ない斬撃が襲いかかる。


 ゴブリンキングの首元目掛け短剣を突き立てる。


 ザクッ!


 惜しくも腕により阻まれたが、短剣は腕に深く差し込まれた。

 その瞬間メリアは魔法を発動する。


「エアロバースト!」


 するとゴブリンキングの腕が急に膨れ上がり、内部から爆発してしまう。

 これは、圧縮した空気を体内で生成し、短剣を通して敵の内部で一気に開放する魔法だ。

 その魔法によりゴブリンキングは残された片腕も吹き飛び、攻撃手段が絶える。


 痛みにもがきながらも、この深手の傷で絶命しない上、いまだに殺意をむき出しにしているあたり、さすがはゴブリンの王といえるだろう。

 そして、最後の力を振り絞り、残された足に力を集中する。


「まさかまだ抵抗を!?」


 メリアたちは驚くが、おそらく最後の捨て身の攻撃だろう。

 持ち前の脚力で地面をけり、超速のロケット頭突きにより、一人でも道連れにする魂胆のようだ。

 その考えを察した三人は身構える。


 ゴブリンキングは足に力を込め、今にも飛び出そうとするその時……!


 ザクッ!


 ゴブリンキングの頭から血飛沫と共に剣が飛び出てくる。

 その剣は後ろから超スピードで駆けつけてきたシスカの物だった。

 手負いのゴブリンキングは後ろからの気配に気付く余裕もなく、その突きの一撃により、完全に絶命し、その場に倒れ伏す。


「はぁ……はぁ……。わたしが居なくても大丈夫そうだったわね。駆けつけ損かしら?」


 シスカは荒い呼吸を整えながらもいつもの口調で話しかける。


「手負いの魔物は恐ろしいと言いますし、最後の一撃はおそらく道連れを狙ってました。なので来てもらえて助かりました!」


 クレイグもまた魔力の消費により少しふらつきながらも、率直に感謝を述べる。

 セイラとメリアもシスカが来たことに安堵したのであった。


「ミナトさんは!?」


 セイラは心配そうにミナトの方に視線を向けるが、その背後にはゴブリンの死体の山があった。


「ミナトが下級ゴブリンに遅れをとるわけないじゃない」


「で、でもあの数を一人でやったんですか!?」


 シスカはそう言うが、メリアはゴブリンの死体の山をみて驚愕する。


 そこにちょうどミナトが戻ってくる。

 その背後には、下級ゴブリンの死体の山ができていた。


「わるい、思ったより数が居て手こずった。でも、そっちも片付いたみたいだな」


 ミナトはそう言い、ゴブリンキングの死体を一瞥する。

 その惨たらしい死体に、彼らが命を懸けて全力で戦っていたのだと伝わってくる。


「皆、お疲れ様!依頼達成な上に、ゴブリンキングの追加討伐完了だ!」

作品を読んでいただきありがとうございます。


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