081 ゴブリン殲滅依頼3
ミナト達は影から様子を伺うが、食事中のゴブリンたちはまだこちらには気付いていない。
コブリンソルジャーが四体、ゴブリンアーチャーが二体、ホブゴブリンが三体といったところだ。
「まずは私がホブゴブリンを一体倒すわ。それを合図にしてセイラとクレイグは中距離からアーチャーを倒してちょうだい。ミナトはホブゴブリンを、メリアはソルジャーをお願い」
シスカの指示に一行は頷く。
「じゃあいくわよ」
シスカはそう言うと剣を頭の横に真っ直ぐ構え、突きの構えをとる。
そして地面を一蹴りすると、雷光のごとき一閃の突きが、ホブゴブリンの頭骨を貫いた。
ザンッ!
雷魔法の強化と魔力纏いによる身体強化が発動した、神速の一撃だった。
あまりの早さに呆気にとられてしまいそうだが、それを合図にセイラとクレイグは魔法を発動する。
「アクアショット!」
「メテオショット!」
セイラの魔法は水を高濃度に圧縮し風魔法の威力に乗せて打ち放つ魔法だ。
その威力は以前ストーンゴーレムを一撃で破壊した程であり、直撃したゴブリンアーチャーは不自然な角度に体が折れ曲がり、戦闘不能になる。
そしてクレイグが放つ魔法は火と地属性の魔法で溶岩の塊を作り出し、それを打ち込む魔法だ。
スピードこそ無いものの、岩をも溶かす高温でセイラと同様にゴブリンアーチャーをしとめることに成功する。
次に動き出したのはメリアだ。
ミナト、シスカにもひけをとらないスピードでゴブリンソルジャーの群れに飛び込む。
短い短剣を両手に持ち、流れるように確実に急所を狙いう。
その動きはまるで風の踊り子のようだった。
四匹のゴブリンソルジャーはまばたきする間もなく、喉を切り裂かれその場に倒れ伏す。
そしてミナトはセイラとクレイグよりも前にすでに動いていた。
シスカが飛び出し、一閃の突きがホブゴブリンに刺さるまでのコンマ数秒の間に地面を蹴り、もう一匹のホブゴブリンに向かっていた。
勢いをそのままに、後ろ向きのホブゴブリンの首元へ拳を振り下ろす。
その一撃で頸椎は完全に破壊され、巨体は一瞬にしてピクリとも動かなくなる。
そしてその攻撃に反応して隣のホブゴブリンが一歩踏み出すが、その踏み出した一歩がゆえにミナトの合気の技の餌食になり体が宙を舞う。
突然視界が逆転したことに驚くホブゴブリンであったが次の瞬間、頭から地面に突き刺さり、こちらも頸椎の破壊により即死する。
「ふう……。みんなも片付いたみたいだな」
ミナトは呼吸整えながら回りの様子を確認する。
彼らはこれほどのかずのゴブリンをひとつの悲鳴をあげさせることなく倒してしまったようだ。
特にメリアは下級とはいえ、一人で四匹のゴブリンをあっという間に倒している。
「メリアさんすごいですね!一人で四匹もたおしちゃうなんて!」
セイラは、短剣を使った近距離戦闘も軽々とこなしてしまうメリアを褒め称える。
「い、いえ私なんてまだまだですよ」
謙遜しながらも、彼女の実力は本物だと今の戦闘で証明された。
「手早く片付けたはいいけど、さすがに今の戦闘で警戒されるわね」
「はい、奇襲はもうできないと考えた方がいいですね」
シスカとクレイグの言うとおり、先ほどの戦闘音でゴブリン共も警戒を一層高めることが予想できる。
ここからは正面突破による武力行使が始まる。
一行は坑道を駆けながら、ミナトとシスカが先頭に立ち、出くわすゴブリンを出会い頭に次々と倒していく。
警戒を高めていようが彼らのスピードの前に下級のゴブリン共はなす術もない。
坑道は入りくんでいるが、クレイグの頭の中にすべてマッピングされている。
鉱山の町で産まれ育った彼は、この程度の坑道は幾度と無く潜ってきている。
「そこを左です!次は右!」
クレイグの指示に従い、奥へ奥へと一行は進み続ける。
奥へ進むにつれ、ゴブリン数や種類も徐々に増えてくる。
中でも厄介なのがゴブリンシャーマンだ。
奴らは呪術や魔法を得意とし、見境なく味方のソルジャーも巻き込みながら火魔法を放ってくる。
この予測不可能な自爆戦術が、彼らの集中力を削ぐ厄介な要因だった。
ミナトは呼吸を整えながら発言する。
「ずいぶん奥まで来たと思うけど、ジェネラルはまだ出てこないのか?」
クレイグは頭の中のマッピングや、現状のゴブリンの数から冷静に自身の考えを話す。
「坑道の規模や、ゴブリンの増えかたから考えてもそろそろ終点のはずです。この先に待ち構えていると思います」
クレイグの推測は正しかったようだ。
幾分も進まずして、一行はゴブリンの巣とでも言うべき開けた空間に辿り着いた。
そこには大量のゴブリンと、不気味なほど隆起した筋肉の体躯を持つ二匹の巨体、ゴブリンジェネラルと思われる存在を確認する。
(単体Bランクが二体……それにゴブリンの数も多いな)
この討伐依頼がBではなくB+というのにも頷ける。
現状ゴブリンキングの存在は確認できないが油断は出来ない。
「みんな、ここからは総力戦だ!ジェネラルは俺とシスカで対応する。三人は臨機応変に回りのゴブリンを相手にしてくれ」
ミナトの指示は大雑把であったが、ジェネラルのいかにも近接特化とも言える体躯と大きな斧は、前衛本職の二人が対応するというのは正解だ。
他に関しても数が多すぎるので指示という指示は難しく、結果的に臨機応変という言葉が型にはまる。
各々が戦闘態勢をとり、ゴブリン共との総力戦が始まる。
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